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熟成するからこそ高品質の魚を使う。関西の人気店『鯛之鯛』に聞く、熟成魚のノウハウ

熟成肉がすっかり世間に浸透しましたが、熟成して美味しいのは魚も一緒だということをご存知でしょうか。エイジングフィッシュとも呼ばれる熟成魚が、今じわじわとブームになっています。そんな熟成魚をリーズナブルに楽しむことができると評判なのが『鯛之鯛』。梅田店、神戸店のほか11月2日に難波店もオープンした人気店です。今回は梅田店と難波店で店長を務める嶋西浩志さんに、熟成魚にまつわるお話を伺いました。
熟成魚の定義は?

これまでは「鮮度が命」と大切にされてきた生モノですが、肉と同じく、熟成魚は寝かすことで旨味が濃厚になり、味の力強さが凝縮されます。嶋西さんは、熟成魚の魅力について次のように語ります。
「熟成魚は基本、刺身でもいけますが、焼き魚でも美味しく味わい深いです。魚は熟成させることでイノシン酸が出て旨味に変わります。刺身で食べると、味が凝縮されモチモチとした触感となり、風味豊かな味に生まれ変わるのです」
ただ単純に魚を寝かせるだけでは、この旨味を引き出すことはできません。熟成魚を提供するには、一朝一夕では取得できない職人技が必要となります。大切なのは、適切な下処理、温度と湿度の管理と、プロの目利きです。
「低温0~3℃で温度管理をし、独自の手法で熟成しています。衛星面に気を付けるのはもちろんのこと、何よりも菌をしっかり殺すことが大事です。そのためには、活〆、神経抜き、血をきれいに洗うなど魚の管理が大切。また、毎日魚の状態のチェックを重ねています」
『鯛之鯛』では、神戸市近郊で獲れた新鮮な魚や九州漁港直送の素材を使用。旬を迎えた魚を熟成し、常時5~6種類用意しています。なかには10日熟成の鯛や沖かさごなど珍しい魚の熟成魚も。魚の種類によって熟成方法、食べごろの日数は違うため、食べ方もさまざま。その種類により、特製塩や胡麻油など添えるものも変えていきます。またすべての魚が熟成に向いているわけではなく、「アジ、サバなどの青魚はあまり向かないと思います」とのことでした。
広がる熟成魚ブームに懸念も「危機感はありません」
技術はもちろん、衛生面への注意が必要不可欠となるため、熟成魚を食べられる店はそう多くはありませんが、少しずつ専門店が増えてきました。
「関西でも熟成魚を扱う店が増えていますが、間違った熟成方法が食中毒につながることもあるので、そこは怖いところです」
広がっていく熟成魚ブーム。扱う店も増加中であるものの、嶋西さんは「危機感はありません」とキッパリ。その理由について、「当店にはたくさんの魚の種類があります。新鮮な魚が明石から直送されているので、それらの天然高級鮮魚と熟成魚の盛り合わせを原価率120%で提供しています」と話し、自信を覗かせます。
原価率120%、飲食業界の常識を覆す値段で提供する「お造り盛り合わせ」は、『鯛之鯛』の人気メニュー。一般的には高級な扱いになる熟成魚と、明石直送の鮮魚をなんと1人前580円で楽しむことができます。高品質の魚を安価で提供できる理由は、通常では使わないような魚の部位を隅々まで活用し、ロスを出さないようにしているから。とはいえ、赤字覚悟のメニューには、関西の熟成魚のパイオニアである『鯛之鯛』の並々ならぬこだわりと自信を感じさせます。
「価値のある魚を安く提供することが、うちの魅力だと思っています。よそとは差別化できているんじゃないかなと思いますね」
旬の魚で作った熟成魚を筆頭に絶品の魚料理を提供する『鯛之鯛』には、職人の確かな「技術と経験」がありました。注目の集まる熟成魚ですが、この「技術と経験」、さらに衛生面に配慮した環境が必要です。取り扱いを検討されている方は、安全面を第一に、品質の高い魚の確保や環境の整備について考えてみましょう。
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『鯛之鯛 梅田店』
住所/大阪府大阪市北区堂山町1‐2R&Eビル B1F
電話番号/06-6130‐8865
営業時間/17:00~24:00
定休日/なし
席数/60席
※神戸店、難波店もあり
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