2018年は魚に注目！ 吉祥寺の人気店『魚秀』に聞く、今気になる魚トレンド

『魚秀』店長の松永貴志さん

消費者の舌が肥え、次々と目新しい食材にスポットが当たる食の世界。飲食店経営においては、トレンドといわれる食材を店の魅力につなげていきたいところです。そこで2018年は、肉ブームに飽食気味の消費者をターゲットに「魚」に注目してみてはいかがでしょうか。

オーナーや板前自らが全国の港に足を運び、ときには漁船に乗って魚を仕入れるこだわりの人気店『吉祥寺 魚秀』の松永貴志さんに、魚のトレンドについて話を伺いました。

まず松永さんが上げたのが「ノドグロ」です。北陸新幹線開通により、広く知られるようになった高級魚ノドグロは、近年のトレンド魚の一つです。テニスの錦織圭選手が「ノドグロが食べたい」とコメントするなど、その認知度が高まるきっかけもありました。そのため、ここ2、3年で東京都内でも食べられる店が急増しています。かつてはなかなか仕入れルートがなかったのですが、北陸ブームで仕入れやすくなったのも、取扱店が増えてきた理由です。

「もともと高級魚だったこと、取り扱いたい店が増えてきたことなどから、じわじわと価格も高騰しています。ブームが来る前から金沢直送のノドグロを取り扱っていますが、最近はインターネットで“東京 のどぐろ”と検索して、『魚秀』に来てくださるお客様も多いですね。実際、店に入荷するとすぐになくなってしまう魚のひとつでもあります」

既存の調理法がトレンドにつながる可能性も

旬のある魚は、通年仕入れができないものもあり、トレンドを作りにくい食材の一つかもしれません。しかし「見せ方・伝え方を工夫することでトレンドや目新しさを作ることはできるのではないでしょうか」と松永さん話します。例えば、最近のブームは熟成魚。熟成魚は、新鮮なまま出すのではなく、少し寝かせることでさらなる魚の旨味を生み出す調理方法です。「クエやブリなどでうちでも実際にやっています。ただ、魚を寝かせて旨味を出すことは、きちんと魚を扱ってきた店では昔からやっていた技術です」

お客様に「楽しさ」を提案するのも大切

食材自体のトレンドを追うことも大切です。ただ、お客様が今まで知らなかった魚の食べ方を提供することも、『魚秀』では大切に考えています。

「例えば、カツオならタタキにするか刺身にするかで食べるのが一般的。カツオのたたきはポン酢で食べるものと思っている方も多いかもしれません。でも『魚秀』では、それだけでなく、塩たたきにしてお出しします。また、同じ刺身でもわさび醤油だけではない食べ方をご提案しています。例えば貝であれば酢味噌やレモン塩、塩で。寝かせた魚であればすだちをかけて召し上がっていただく。そんな風に新たな刺身の美味しさに気づいていただけるよう工夫しています。今まで食べたことがない味を提供するのも大切なことです」

ほかにも、魚を提供する際に、お客様に食べ方を選んでいただくことも「楽しさ」につながるそう。例えば『魚秀』では、刺身にしても美味しい鮮魚であっても、ほかの食べ方を提案しています。「『半分は焼きにしますか』『煮付けも美味しいですよ』というように食べ方を選んでいただく。そうすることで1匹の魚の美味しさを、いろいろな料理で味わっていただけます」

いかがだったでしょうか。旬のある魚はトレンドを作り出すのが難しいと感じるかもしれませんが、工夫次第で“売れる”ヒントがたくさん眠っているのです。魚には、今まで当たり前にやっていたこと、今までお客様が知らなかった食べ方を提案し、新たなトレンドを作り出す可能性が大いにあるのではないでしょうか。

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『魚秀 本店』
住所／東京都武蔵野市吉祥寺本町1-23-6
電話番号／0422-22-1233
営業時間／17:30〜25:00
定休日／不定休
席数／24席