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締めのラーメンを食べるのはなぜ? 飲んだあとに選ばれる理由を科学的に考察

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トッピングもアルコール分解をアシストする大切な要素

ラーメンがアルコール分解を助けるという点では、スープだけでなくトッピングにも注目したい。

ラーメンのトッピングとして人気のゆで卵や煮卵だが、実は卵にはLシステインが多く含まれている。Lシステインには、アルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素を活性化する働きがあり、アルコール分解を早める効果が期待できる。宴もたけなわの頃、だし巻き卵を注文している人をたまに見かけるが、体が知らず知らずのうちにアルコール分解を早めようとしているわけだ。

また、とん骨スープや塩ラーメンで欠かせないゴマも重要な存在だ。ゴマに含まれるセサミンは、アルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素を増やすほかに、肝臓をアルコールから保護する働きがある。アルコールを分解する酵素が活発になると、活性酸素が多く生まれ肝臓を傷つけてしまうが、セサミンにはそれを修復する効果もある。

こうした理由から、お店の「締めメニュー」には、卵やゴマを取り入れてみるのも良いだろう。

締めのラーメンは「ミニサイズ」での提供を検討したい

ここまで、締めのラーメンの良い点ばかりを解説してきたが、決してメリットだけではないということも知っておきたい。

そもそも、お酒を飲み終わったあとは、飲んだ量にもよるが、すでにカロリーが十分に足りていることが多い。例えば、中ジョッキのビール1杯のカロリーは、ご飯1杯分のカロリーに相当する。日本酒なら1合、ワインならグラス2.5杯分のカロリーがこれにあたる。

また、飲酒時はおつまみとして高カロリーな食べ物を食べていることも多い。体内ではアルコールのエネルギーを優先して消費するため、残った食事のエネルギーは脂肪として体内に蓄積される。つまり、飲酒後は太りやすいタイミングでもあるのだ。

こうした事情を踏まえると、お店で提供する締めのラーメンは、小さいサイズも選択肢に入ってくる。すでにメニューに通常サイズのラーメンがある店舗は、ラーメンのサイズバリエーションを増やして、ミニサイズを売り出すのも一つの手だ。もちろん、新たに食べやすいミニサイズの締めラーメンを考案するのも良い。

ラーメンには、お酒を飲むことによって失われる糖や水分、塩分を補い、アルコールの分解を助ける成分がたくさん含まれている。ラーメンを提供する飲食店でもなくても、上で挙げたような食材を用いれば、ラーメンのような「締めメニュー」を提供できるはずだ。

夏は開放的な気分になり、ついつい飲み過ぎてしまうことも多いが、そうしたお客様に向けて体に優しい「締めメニュー」を用意しておけばきっと喜ばれるだろう。

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本間純子

ライター: 本間純子

映像制作会社を経て、フリーライターに。企業PR誌で食材の開発や世界の食文化をリポートしている。CD-ROM『日本酒の郷をめぐる~北陸編』(ポニーキャニオン)では、酒蔵をたずね、酒づくりや酒にあう土地の食などを取材、執筆した。個人的には「日本のレストランで世界一周」をたくらむ。