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飲食店における「チェーン店」とは? フランチャイズ、暖簾分けとの違いやメリットを解説

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ブランドに統一性を持たせた上で多店舗展開を行う「チェーン店」。起業・開業を考える人にとっては、フランチャイズチェーンへの加盟も選択肢になるだろう。そこで今回は、チェーン店の種類のほか、フランチャイズ加盟にあたってのメリット・デメリットについて解説する。

チェーン店(チェーンストア)とは?

チェーン店(チェーンストア)とは、ブランドや経営方針、サービス内容などを統一し、多店舗展開していく経営形態のこと。企業活動は本社(本部)が行い、各店舗では販売に関わるオペレーションのみを行うことで経営効率を高めることが可能となる。

チェーン店は、アメリカで生まれたチェーンストア理論という経営手法をもとにしており、経営コンサルタントの渥美俊一氏が1962年にチェーンストア研究団体である「ペガサスクラブ」を設立したことで、日本でも広まっていった。ダイエーの中内㓛氏、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏、ジャスコの岡田卓也氏などが初期のメンバーとして参加しており、現在ペガサスクラブの加盟企業は約400社になっている。

チェーン店の種類

チェーン店には大きく分けて、レギュラーチェーン(コーポレートチェーン、直営店)、フランチャイズチェーン、ボランタリーチェーンの3つがある。

■レギュラーチェーン
レギュラーチェーンとは、コーポレートチェーンや直営店とも言われ、チェーン店の本社が自社の資金で運営する店舗を指す。従業員の採用や売上管理も含めた店舗でのオペレーションも本社が行う。そのため、レギュラーチェーン店舗での売上はすべて本社の売上となり、店舗の改善が必要であれば本社が直接指導することで速やかに改善を行うことが可能だ。

■フランチャイズチェーン
フランチャイズチェーンとは、本社とフランチャイズ契約を結んだ店舗を指す。フランチャイズ契約は、ブランドを使用する権利や商品・サービスを販売する権利のほか、本社からの経営サポートを受けられる加盟店契約のこと。一般的に、本社(本部)を「フランチャイザー」、加盟店を「フランチャイジー」と呼ぶ。

加盟店にはそのブランドの使用権などが与えられるものの、商品開発や宣伝などは本部が行い、加盟店は店舗のオペレーションに専念することが基本だ。また、加盟店はブランドの使用権や商品・サービスの販売権を得られる一方、売上の一部をロイヤリティとして本部に支払うことが特徴となっている。

■ボランタリーチェーン
ボランタリーチェーンとは、資本が異なる店舗同士がチェーン本部を設立することを指す。レギュラーチェーンやフランチャイズチェーンはそれぞれの店舗の経営において独自性はないが、ボランタリーチェーンは各々の店舗の独自性を保ちつつ、仕入れなどをまとめて行うことで効率化や利益向上が可能になっている。店舗どうしの結びつきはレギュラーチェーンやフランチャイズチェーンよりも弱く、ロイヤリティは発生しないことが一般的だ。

チェーン店と「暖簾分け」の違いとは?

チェーン店とフランチャイズチェーン、暖簾分けとの違いを理解していない人も多いかもしれないが、飲食店で独立開業を考えるのであれば、この違いはしっかりと理解しておきたいところだ。

前述のとおり、チェーン店には3つの種類があり、フランチャイズチェーンはそのひとつ。一般的にはチェーン店というと直営店をイメージすることが多いが、本社が店舗運営しているか加盟店が運営しているかという点で異なっている。

また、飲食店に多い「暖簾分け」は、従業員が店舗で働いた後に同じ商号やブランドで独立することを指す。チェーン店やフランチャイズチェーンで出店する場合は、その店舗で働いていたかどうかに関係ないという点が違いとして挙げられる。加えて、暖簾分けの場合は、ロイヤリティは発生しないか、発生してもフランチャイズチェーンよりも安い場合が一般的だ。

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フランチャイズチェーンに加盟するメリット

フランチャイズチェーンに加盟するメリットは、コストをかけずスピーディーに開業できる点が挙げられる。店舗契約や従業員の採用などは加盟店が行うが、ブランドの使用権や商品・サービスの販売権を得られるため、開業後も経営を安定させやすい。経営未経験であっても、本部による経営サポートが受けられるため、起業しやすいというメリットもあるだろう。

フランチャイズチェーンに加盟するデメリット

フランチャイズチェーンへの加盟はデメリットもいくつかある。例えば、店舗経営の自由度の低さがそのひとつだろう。経営未経験でも起業しやすいが、マニュアル通りの店舗経営が求められるため、独自性を出すことはできない。さらに、トラブルなどでチェーンの価値が下がった場合には、自店舗は何の問題がなかったとしても影響を受けることも考えられる。

また、加盟店は本部に対してロイヤリティを支払わなければならない点もデメリットのひとつといえる。売上が低かった場合はロイヤリティの支払いが負担になり、うまく店舗経営できないことも考えられるだろう。

しっかりとメリットとデメリットを検討した上での独立を

飲食店を開業しようと考える場合、さまざまな方法が考えられるが、フランチャイズチェーンに加盟することも選択肢のひとつとして考えられるだろう。しかし、フランチャイズチェーンには経営を安定させやすいメリットはあるが、経営の自由度やロイヤリティに関するデメリットもあるため、しっかり検討することが重要だ。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com