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ワールドビールの魅力や仕入れのポイントは? 人気ビアバー『カタラタス』店主を取材
居酒屋での「とりあえず、生!」という光景はもはや過去のもの? 最近は大手メーカーのビールの低迷が続いています。そんな中、少しずつ存在感を高めているのがワールドビールです。地域ごとの特色や造り手の個性を感じられるビールは、画一的なビールに飽き足らなくなった人から人気で、「オクトーバーフェスト」をはじめとするワールドビールのイベントも多数開催されています。また、飲食店の中にも「ワールドビールを扱ってみたい」と思う人は増えているようです。

『カタラタス』で扱うワールドビール
ビールが苦手だった松下さんを変えた運命の出会い
━━もともと仕入れ業者としてお酒の納品を行っていたそうですが、最初からビールが好きでたまらなかったのでしょうか?
「ビールはどちらかといえば苦手なお酒でしたが、ある日ベルギービールの『リンデマンス ファロ』に出会い、飲んで衝撃を受けました。ランビック(自然発酵)ビールに少量の氷砂糖を加えたものなんですけど、黒酢と梅酒を混ぜたような甘酸っぱいデザートのような味わいで、その時はビールと知って驚きました。そこからワールドビールに興味を持ち始めました」
━━仕入れ業者から、『カタラタス』のオーナーに転身した理由は何ですか?
「もともと酒屋で営業として働いていたのでお酒にはずっと関わってきたのですが、自分が販売したお酒をエンドユーザーがどのように楽しんでいるのかずっと興味がありました。ここ『カタラタス』では、私が卸したお酒をお客様がいつも楽しそうに飲んでいて、このように“直接エンドユーザーと接する仕事をしてみたいな”と思い、勤めていた酒屋を退職し、『カタラタス』に入店したんです。6年後に縁があってお店を買い取らせていただくことになりました」
━━今は何種類くらいのワールドビールを扱っていますか?
「6タップある生樽は常時入れ替えていますが、ボトルと合わせて100種類から120種類ほど取り扱っています」
━━ビールはどのように仕入れているんですか?
「たくさんある輸入元さんが世界中のビールをご紹介してくれるので、その中で美味しそうだな、面白そうだなと思ったものを仕入れています。輸入元さんや酒屋さん主催のビールの試飲会もありますが、基本的には輸入元の担当者と直接やりとりをして仕入れることが多いですね」
━━松下さんはどのような基準でビールを選んでいますか?
「私が扱う基準は、味はもちろんですが、お客様の好みの味に合わせたり、醸造所のコンセプトに強く共感したものを選んだりすることが多いです。たとえばエールスミス社は、どのビールもバランスが良く飲み飽きない、非常に完成度の高いビールを作っています。アメリカの会社ではありますが、昔ながらのイングリッシュスタイルのビールなどは特に気に入っています。私が大好きなミッケラー社は自社の醸造施設を持っていませんが、素晴らしいレシピを考え、世界中の醸造所と協力してビールの生産をしています。その土地や醸造所のカラーを生かしたオリジナルビールはいつも私たちを驚かせてくれます」
ワールドビール初心者の方に楽しんでもらうためのステップ

取材した『カタラタス』の店主・松下智典さん(左)
━━いろいろなビールがありますが、日本人にも親しみやすい銘柄ってありますか?
「日本人になじみのある味わいはチェコの『ピルスナー・ウルケル』が代表的です。日本の大手ビールメーカーの作る金色のビール『ピルスナー』は、世界各国でも作られているポピュラーなスタイルですが、その元祖がチェコのピルゼンで生まれた『ピルスナー・ウルケル』です。世界中のどの醸造家も認めるビールだと思いますよ。」
━━ワールドビールが初めてという方も来店されますか?
「うちのお店には、ビールがあまり得意じゃないという方もよくいらっしゃいます。『ここならおいしいビールに出会えるから』と常連さんが連れてきてくれますが、そういう方におすすめすることが多いのはフルーツの味わいのビールです。ベルギーのリンデマンス社が作るフルーツを使った甘酸っぱいビールは、ビールだと思って飲むとびっくりされます。フルーツのビールが気に入って頂けたら、次は小麦を使った白ビールにフルーツジュースを混ぜて作られたものや、『ヒューガルデン ホワイト』や『ブルームーン』などのオレンジピールやコリアンダーを使った爽やかなホワイトエールをおすすめしています。甘いカクテルのようなものから、徐々に本格的なビールにステップアップしていくことで、次第に飲めるようになっていくんですね」
━━お客様のビールに対する知識、そして好みがどんどん広がっていきそうですね。
いちばん美味しく感じる温度は、銘柄によってさまざま
━━ワールドビールは色々な専用グラスがあります。専用グラスとそうでないもので味わいは変わりますか?
「変わりますよ。例えばグラスを傾けたときに、鼻が一緒に入るような広口のグラスは、口に含んだ瞬間、香りも一緒に楽しむことができます。また、ドイツの白ビール専用グラスは泡のもちが良くなるように作られています。私たちはビールを最大限に楽しむために、なるべく専用グラスを使うようにしていますね」
━━提供するときの温度管理も注意が必要ですか?
「時々ご要望がありますが、ギンギンに冷やすのだけはやりたくありません(笑)。あれはせっかくのビールの味がわからなくなってしまうんですよね。ビール好きなお客様の中には、手のひらで温めながら飲む方もいらっしゃいます。ビールによっては10度前後が適しているものもあれば、15度くらいが一番おいしく飲めるものもあります」
━━最適な温度はラベルに書いてあるのでしょうか?
「そういう記載はないです。それぞれのビールを飲みながら『このくらいの温度が、一番香りが強かったな』とか『味わいが感じられたな』『泡立ちがキレイだったな』というのをひとつずつ試して、最適だと思う温度で提供しています」
ワールドビールを美味しく提供する上で一番大切なこと

『カタラタス』の店内の様子
━━最後に、ワールドビールをこれから扱いたいと思っている飲食店の方へアドバイスをお願いいたします。
「今は世界中のビールがたくさん日本に入ってきていますが、自分が好きなものを提供するのが一番だと思います。お客様においしく飲んでいただく上で一番大事なことは、そのビールに対する愛情だと思います。『このビールはどうしてこんなに美味しいんだろう』とお客様に質問された際に『こういう理由でおいしいんですよ』と、しっかり語れることが大事だと思っています。これから飲まれるお客様に『このビールのこういったところに注目して飲んでみてくださいね』と声をかけるだけでも、そのビールをもっと楽しく飲めると思います。嗜好品ですから楽しみ方は人それぞれありますが、少しでも楽しく、美味しく飲んでいただくお手伝いをすることが私たちの仕事だと思います」
━━よく知らない「売れ筋」のビールよりも、本当に惚れ込んだ一本をよく研究して提供する方が美味しく飲んでいただけるということですね。
今回は渋谷のビアバー『カタラタス』の松下智典さんにお話を伺いました。ワールドビールを扱う際にはぜひ参考にしてください。
また「飲食店ドットコム 食材仕入先探し」では、ワールドビールを扱う卸業者を多数ご紹介しております。ワールドビールの仕入れ先をお探しの方は、「酒・ドリンク」の仕入れ先一覧よりご覧ください。
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