食材相場の昨年対比から見る、葉物野菜の高騰や高級魚の低落。 価格変動には天候不順やコロナの影響も

新型コロナウイルスや天候不順などの影響により、様々な食材の価格が変動しています。今夏は長雨や猛暑の影響で、野菜の価格が高騰。さらに今年は、新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店の需要が大きく減ったことにより、和牛や高級魚の価格が下がっています。そこで今回は、昨今の食材相場の動きについて、昨年の同時期と比較しながらご紹介していきます。

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野菜は、長雨や猛暑といった天候不順の影響を受けやすい食材。2020年の夏は、長雨や日照不足、猛暑などが重なったことにより、野菜の価格が大幅に上昇しました。農林水産省が実施している食品価格動向調査では、2020年7月27日週～8月24日週までのデータにおいて、調査を行った8品目（キャベツ、ねぎ、レタスなど）全ての野菜で、平年より高い価格を示しています。

とくに価格の高騰が目立っているのが、キャベツやレタスといった葉物野菜。キャベツは昨年の同時期（2019年8月12日の週）1キロ194円だったものが、今年は1キロ302円と約55％も上昇。レタスは昨年の同時期1キロ469円だったものが、今年は1キロ894円と約90％も値上がりをしています。

こうした野菜の価格高騰は、コロナ禍で苦しい飲食店に追い打ちをかける状況となっていましたが、9月に入りレタスが平年比88％、ねぎが平年比97％と、落ち着きを取り戻し始めています。キャベツは、依然として平年と比べると高い水準ですが、徐々に価格が下がりつつあり、今後は平年並みになるとみられています。

豚肉といえば、手ごろに購入できるお肉というイメージがありますが、新型コロナウイルスによる巣ごもり需要の拡大を受け、卸値が上昇しています。

国産農産物の安定供給のため、様々な取り組みを行っている農畜産業振興機構（alic）の調査によると、8月の国産豚肉の卸売価格はどの部位も昨年同月より上昇。例えば、ロース（冷蔵品）は、1キロ1,161円と昨年同月と比較し、18.2％の値上がり。豚ばら（冷蔵品）も1キロ1,107円と、昨年同月と比べて15.4％の上昇をしています。

豚肉の価格上昇の裏で安値が続いているのが和牛です。新型コロナウイルスの感染拡大による飲食店の需要減により、高級部位の値下がりが目立っています。8月のサーロイン（去勢和牛・A-5ランク）の価格は、1キロ6,701円と昨年比90.2％。その他の部位や等級の卸売価格も昨年と比べると、低い水準となっています。

秋が旬の魚といえばサンマですが、今年は海水温の上昇により不漁。高級魚並みの価格まで高騰し、手軽に食べられる魚とは言えない状況となっています。東京都中央卸売市場によると、2020年9月2週（9月11日～17日）のサンマの中値は1キロ1,966円で、昨年の同時期（2019年9月13日～19日）と比べ、75％も上昇していることが明らかになりました。

サンマの価格高騰が叫ばれる一方で、低落をしているのが高級魚です。新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、飲食店での需要が減少。その結果、生き場を失った高級魚の価格が低落をしています。最近では、こうした状況を打破しようと、一般の消費者向けにインターネット販売を行う仲卸業者も出てきました。

天候不順に加え、新型コロナウイルスの影響も受けている昨今の食材相場。食材の高騰に、頭を抱えている飲食店経営者も少なくないでしょう。しかし、こうした食材の価格高騰は今年に限ったものではなく、毎年起こり得る問題です。今後のためにも、食材ロスの削減や天候に左右されにくい食材を使用したメニューの開発など、食材の高騰に負けない店づくりを行っていきましょう。


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