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渋谷の人気店『ミニヨンTOKYO』に学ぶ、コースメニュー作りの極意

ダッチオーブン料理をメインに個性あるフレンチビストロを展開する株式会社マニフィー(東京都渋谷区、代表取締役:四ツ橋壮大氏)。今年2月にオープンしたばかりの大衆酒場スタイルの新業態『焼売酒場小川』の他、新和食&自然派ワインのビストロ『ミニヨン坂の上』、そして姉妹店として東京産食材ビストロ兼東京野菜直売所の『ミニヨンTOKYO』等、渋谷を中心に複数の飲食店を運営しています。

今回は、東京産の食材を使った多彩なメニュー展開が魅力の人気ビストロ『ミニヨンTOKYO』の店長・清藤洸希さんに、食材にこだわったコースメニュー作りのポイントや店づくりの工夫について教えていただきました。


『ミニヨンTOKYO』店長の清藤洸希氏

東京産食材に特化したこだわりのコースメニュー

東京人が地元のものを食べる「都産都消」が特徴

『ミニヨン』として2009年にオープンし、2017年に東京食材を中心に扱う現在の形へとリニューアルした『ミニヨンTOKYO』。2020年の東京オリンピックに向けた都の活発な動きがあったことや、東京野菜の生産拡大、農地・環境保全に取り組む東京野菜普及協会とのつながりがきっかけで、協会の実店舗、そして東京野菜をアピールする場所として東京食材を扱い始めたそうです。

特に新鮮さが売りの東京の食材を使い、現在店では2750円のコース、5500円のコース、そして8000円の3つのコースを提供しています。

「一番オーダーの多い2750円のコースは、アミューズブーシュ、東京野菜を使った前菜の5種盛り合わせ、東京食材の冷前菜、内の売りであるダッチオーブン料理を2種、そしてメイン料理という内容で、この内容に飲み放題がつくと5500円のコースになります。基本的には、東京の食材を必ず織り交ぜた料理を提供させていただいています。そこにミニヨングループが昔から続けているダッチオーブン料理を組み込んだスタイルです」

すべて東京食材ということで、2750円コースのメインメニューには東京しゃもを提供、さらにプラス料金で食材が変わっていくという内容。そして、残る8000円のコースはカウンター席限定な上、期間限定(6月1日~15日まで)のお試し価格で提供していました。敢えて“カウンタ―限定”という条件をつけた裏には、店独特の店づくりの工夫があります。


「他店ではできないこと、他店にはないもの」を付加価値に

「当店のシェフは私だけなので、2階席もある店内では提供する際のサービスのパフォーマンスがどうしても下がってしまうという問題がありました。これを改善するために考案したのが、カウンター限定のコースです。お客様にカウンターに座っていただくことで、私が直接料理を提供して説明をすることができる他、メインのダッチオーブン料理を2階へ運ぶタイムラグをなくすことができるので、できたてをすぐにお出しできるという利点もあります」

カウンターは一人客やワイン好きのお客で賑わう

また、このカウンター席限定コースは、「他店ではできないことや他店にはないもの」という付加価値に特化しようという店の方針から、フレンチでありながらカウンターで食べる寿司屋の発想も取り入れたのだと言います。

「食べること、飲むこと、非日常をお客様にどれだけ楽しんでいただくか、ということを軸に店づくりを行っています。できるだけ効率を上げて、その分料理に特化してお客様に満足いただけるように、今は原価をそれほど気にせずにやっていこうというのが、コースだけではなくアラカルトも含めた店の方向性です」


ポイントは、流れ、時間を意識したメニュー構成

美味しさと見た目の美しさを兼ね備えたコース

『ミニヨンTOKYO』のシェフになる以前は、大阪の一つ星フレンチレストランで本格的なコース料理の修行もしていたという清藤さん。実際にコースメニューを組み立てる際のポイントについて伺うと、次のように答えてくださいました。

「コースを組む上で一番留意していることは、『流れ』です。例えば、前菜からものすごく手の込んだものが続き、メインが引き立てられなかった場合、メインに対する期待外れはコース全体のイメージにもつながってしまいます。美味しいことは大前提ですが、あくまでもメインを引き立てるための前菜の流れというのは大事にしています。

それから、どれくらい前菜で時間を使うかということも意識していますね。店にはコースを注文するお客様だけではなく、アラカルトを注文するお客様もいらっしゃいます。それらのすべての料理を一人で作るということを考えたとき、前菜を食べ終わるまでにかかる時間によって、次の料理を仕込める時間が決まってくるので、一口食べて終わってしまうようなメニューは極力避けてコースを組んでいます」
また、生産量の少ない東京食材をメインにしていることから、食材の仕入れ状況も日々変わることが多いという同店。そうした食材の変動に対応できるよう、安定しない食材に関しては、具体的な食材名をメニューに表記しないといった工夫もしているそうです。

デメリットは、工夫次第でメリットに変わる

さまざまな工夫とこだわりの上で作られるコースメニューですが、コースであることのメリットはどんなところにあるのでしょうか。

「一番のメリットは、オーダーを受けてから作り始めるアラカルトと比べて、前もって準備ができる点です。料理のクオリティが下がらないぎりぎりのラインで、前もって準備をしておくことで、当日の営業がスムーズになります。また、料理を待っている時間も、お客様にとってはどんな料理が出てくるかを待つ楽しみに変わるので、お客様もお店もwin-winの関係が作れると思います。あとは、ロスを減らせることですね。使うものが決まっているので、何をどれくらい仕入れて仕込もうというのが組みやすいです」

一見いいことずくめのように感じられますが、デメリットもあるとのこと。ただしそれは、意外にも店づくりの本質につながっているようです。

「メニューがコースに傾くと、アラカルトで仕込みをしていたものが悪くなったり、食材の捌けるバランスが悪くなったりというのはあります。その点に関しては、食材を他のメニューに組み込んだり、当日だけの特別メニューとして提供するなど、こちらで食材をうまく組み合わせながら、バランスよく食材を捌けるように工夫しています。先程の仕入れの話もそうですが、安定しないことを逆にうまく使っていくような売り方をしています。

全体の店づくりについても、同じことが言えます。店では創業以来、コースメニューはコースとは呼ばず、セットメニューと呼んでいます。人数分のお皿で提供するのではなく、セットで出してお取り分けいただくスタイルです。できる範囲で料理を取り分けてお出しすることもありますが、あくまでもシェアしていただくもの。キッチンやホールの負担はだいぶ変わってきます。また、店は古い上に敷地も狭いため、オーブン以外に火口が2個しかありません。その限られた設備をどう効率よく使おうかということも、セットメニューに秘められた店のコンセプトです」

コンセプトを軸に据えながら、挑戦しつづける店でありたい

少数精鋭のスタッフで、コンパクトなキッチンや店内をどう効率よく使っていくか、お客様に迷惑がかからないようにするにはどうすべきかに注力した店づくりを徹底している同店。最後に、清藤さんが目指す店の今後のビジョンについて語っていただきました。

「東京野菜というものに縛られて、できることが少なくなっていた時期も自身の中であったのですが、今後はそれだけに縛られず、基本のコンセプトを残したまま自分の料理の幅をもっと広げて行きたいと思っています。それこそベースはフレンチですが、そこにいろいろなエッセンスを加えながら、うまく昇華できればと考えているので、いろいろなものに挑戦していきたいです」

郷土料理「ポムリヨネーズ」をモダンにアレンジ。

今ある素材を最大限に活用し、アイデアと工夫でより価値あるものを生み出していくこと。メニューやサービスに一貫するそんな姿勢が、小さな空間に限りない可能性を感じることのできる店づくり、さらには人気店の誕生へとつながっているのかもしれません。『ミニヨンTOKYO』の進化に、今後も注目していきたいところです。


『ミニヨンTOKYO』
住所/渋谷区渋谷3-14-5
練和/03-3486-3244
営業時間/月~土 18:00 – 23:30
定休日/日曜 祭日


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