インバウンド需要に応える！ 今さら聞けない「ハラル」「ヴィーガン」の基礎知識

ここ数年、訪日外国人の増加とともに耳にするようになった「ハラル」や「ヴィーガン」という言葉。最近、そのハラル対応の飲食店や、ヴィーガンメニューを提供する店が増えています。そもそもハラルやヴィーガンとは、何のことなのでしょう。

photo by Kari Sullivan「Fruit salad on a rainy morning」

イスラム教の教えに則った食品を「ハラル（許された）食品」、非ハラル食品のことは「ハラム食品」と呼びます。豚、肉食動物、は虫類、昆虫類、さらにこれらからの副産物はハラムであり、食べることは禁止されています。

また水中でも陸上でも生きられるカエルやカメ、カニなどの生物も禁止です。このほか、アルコール飲料、アルコールが添加されている醤油や味噌もダメです。牛・羊・鶏等はハラルの食材ですが、イスラム教の作法に沿って屠殺されていなければなりません。イスラム教の戒律に違反していないと認定された食品には、ハラル認定マークが付いています。

このハラルという言葉が最近、日本でもよく聞かれるようになりました。その理由としては、インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒の訪日がここ数年増えているからです。敬虔なイスラム教徒である彼らは、日本で食事をする場合でも教えに則った食品を口にしなくてはなりません。そこでハラル対応している飲食店に需要が集まっているです。

そもそもマレーシアやトルコ料理店など、彼らの家庭の味を提供するレストランの多くがハラル対応をしていますが、最近は和食店でもムスリムフレンドリーなメニューを用意する店舗が増えてきました。

たとえば、西麻布にある『くすもと』はハラルメニューが食べられる本格和食レストランで、ランチ時のデリバリーでも対応しています。また、『美濃吉 東武池袋店』は京懐石料理の老舗ですが、ムスリム御」を提供しており、京都ハラール評議会よりムスリムフレンドリーレストランとしての証明書も発行されています。渋谷にある『花咲かじいさん』も、ハラル対応のしゃぶしゃぶを提供するなど、増えるムスリム客のために様々な業種の店が対応を始めています。

ベジタリアン（菜食主義者）は、肉や魚を食べない人、というのは一般常識になっていますが、日本でも耳にする機会が多くなってきたヴィーガンとは、絶対菜食主義者・純粋菜食主義者のこと。ベジタリアンと混同されることが多いですが、ヴィーガンは卵や乳製品も一切口にしません。さらに洋服、靴や鞄においても、毛皮、皮革、ウール、シルクなど動物を使用した製品の一切を拒む人々もいるほどの厳格な菜食主義者です。

また、洗顔料やボディソープ、コスメ用品も動物性油、ハチミツ、牛乳、卵の成分が抽出されていないものを使うなど、生活全般において「動物性の素材を使わない」のがヴィーガンの生き方なのです。この徹底した食のスタイルが、近年のヘルシー志向とヨガなどのワークアウトとリンクし、女性を中心に流行りだしています。ハリウッド女優のナタリー・ポートマンやオスカー俳優のジャレット・レト、ハリウッド俳優のウディ・ハレルソンなどは厳格なヴィーガンとしても有名です。

そうはいっても、ストイックで質素な料理ばかりではありません。たとえば中目黒のヴィーガンカフェ『レインボーバードランデブー』では、無農薬玄米と野菜、豆を使用した弁当を手作りで提供。ヴィーガン食でありながら、お腹にも満足感が得られるとあって人気を博しています。また表参道にある『ピュアカフェ』では、ヴィーガン仕様のタルトやマフィンを提供。“食べる楽しさ”はそのままに、健康的なメニューを提供しています。

以前の日本では、宗教による食事制限や、その人のライフスタイルに合わせた“食”についてあまり考える機会がありませんでした。しかし現在はライフスタイル重視の時代、そしてインバウンド需要も高まっています。特に外国人客の獲得を目指す飲食店は、こうした新たなキーワードを知識として蓄え、店としての対応策を講じておく必要があります。一度、スタッフ全員で話し合ってみるといいかもしれません。

さて今回は「ハラル」と「ヴィーガン」について詳しく紹介しました。ハラル、ヴィーガンに対応する食材については、仕入れ業者に話を聞いてみるのも一案です。
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