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コロナ禍の飲食店で増加した「おひとりさま」客。集客メリットや店づくりのコツは?

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画像素材:PIXTA

近年、『焼肉ライク』など“一人客”に特化したチェーン店が人気だ。ファミリーレストランやカフェでも個人用のブース席を設けた店舗が増えてきており、飲食店が「おひとりさま客」の積極的な獲得を図るケースは珍しくない。今回は、飲食業界が一人客に注目している背景と、一人客に愛される店づくりのポイントを解説する。

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増え続ける外食市場の「おひとりさま」

かつて外食は、ファミリー層やカップル、友人同士など、“誰かと楽しむ”ことが一般的とされてきたが、近年はライフスタイルの多様化により「一人客市場」が拡大を続けている。矢野経済研究所が2020年に発表した「おひとりさま関連市場の動向調査(2020年)」によると、2019年度は市場規模を7.9兆円と見込んでおり、2015年度と比べるとおよそ1兆円増えている。

一人客が増加した大きなきっかけとして挙げられるのが新型コロナウイルスの流行だ。2021年6月にホットペッパーグルメ外食総研が発表した資料によると、コロナ禍である20年4月~21年3月に一人外食を行った人は全体の45.9%にも上った。感染拡大予防のため「黙食」「個食」が推奨されたことから、一人での飲食店利用はより一般的になったと考えられる。

飲食店が一人客を獲得するメリットは?

■来店・リピート率が高い
一人客はフットワークが軽く、店の雰囲気や店頭掲示のメニュー次第で気軽に入店をしてくれる。また店を気に入り、普段使いしてくれるようになればリピーターとして定着してくれる。

■回転率が高い
食事が済んだあと話し込んだりすることのない一人客の回転率は、多くの場合、団体客よりも高い。

■工夫次第で客単価も上げられる
一人客は食べたいものを自由に注文するため、客単価は平均以上になることも。デザートやドリンク、一人客向けのハーフポーションのメニューなどを用意しておけば、客単価を上げやすいターゲットとして考えることもできる。

これらのメリットは業態やサービスによって左右される要素も大きいが、一人客は飲食店にとって「良いお客」になってくれる可能性を秘めているといえるだろう。

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おひとりさまに優しい店づくり「3つのポイント」

■おひとりさまが利用しやすい席を設ける
カウンター席や2人用テーブルなど、一人客が利用しやすい席・配置を設定しよう。隣席とも適度な距離を保ち「一人の時間」を過ごしやすい環境が好まれやすい。また、客席へのコンセント設置や、Wi-Fiの設定なども一人客が店を利用する大きな理由になる。しかし、回転率が下がることもあるため、店舗の方針によって検討する必要がある。

■「おひとりさま歓迎」をわかりやすく表示する
一人客にとって、初めての店は心理的なハードルが高いため、店舗側から積極的に「おひとりさま歓迎」であることを示すことは重要だ。店舗のホームページやSNSでの発信や、店頭の掲示物などに一言記載することで利用しやすくなるだろう。

■おひとりさまでも頼みやすいメニューをつくる
料理のシェアができない一人客に対応したメニューがあれば、一人客の満足度は高まる。通常メニューより安く・量が少なめになっている「おひとりさまサイズ」や、小鉢やデザートを追加できるサービスを設定することで、単価アップにもつなげられる。

一人客に店舗を利用してもらうためには、従来の店づくりとは異なる視点に立つ必要がある。まずは自店舗の一人客がどのように店を利用しているか分析し、ニーズに合った店づくりをしていこう。

参考:
HOT PEPPERグルメ外食総研「一人外食」の実態調査
株式会社矢野経済研究所「おひとりさま関連市場の動向調査を実施(2020年)」

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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