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6月の外食売上は前年比111.8%。コロナ5類移行とインバウンド需要増加により回復傾向

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日本フードサービス協会は、「外食産業市場動向調査」2023年6月度の集計結果を発表した。全体売上では昨年同月よりも回復傾向にあるものの、店舗数においてはコロナ禍前である2019年の状況にまでは戻っていないという結果に。以下で外食産業全体と業態別の市場動向について詳細を見ていく。

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売上は回復傾向も、店舗数は2019年レベルに戻らず

日本フードサービス協会がまとめた「外食産業市場動向調査」の2023年6月度集計結果(有効回収事業社229社、36,500店舗)によると、全体売上は昨年同月比で111.8%、2019年同月比でも103.5%となった。これは、5月に新型コロナウイルス感染症の5類移行を受けて外食消費が増えたことと、インバウンド需要の増加があると考えられる。

一方、店舗数では前年同月比で98.5%、2019年同月比では92.8%となっており、事業基盤はまだ回復していない。

「パブ・居酒屋」などコロナ禍前の売上には届かずも、宴会利用に戻り

ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋、ディナーレストラン、喫茶の各業態別に見ても、売上、店舗数は同様の傾向が見られる。

■ファーストフード
ファーストフード業態は、全体売上で前年同月比111.2%、2019年同月比で115.6%となった。その中でも伸びているのが「和風」。一部でシニア層の店内飲食が戻ったことで、売上前年同月比117.9%となっている。また、「麺類」は都心のビルやショッピングセンター内店舗が回復傾向にあり、売上前年同月比113.1%となった。

■ファミリーレストラン
ファミリーレストラン業態は、全体売上で前年同月比111.8%、2019年同月比で93.9%となった。閉店時間を遅くする店舗も徐々に増えてきたこともあり、「洋風」「和風」「中華」「焼き肉」のいずれも売上前年同月比で110%を超えた。特に「中華」は2019年同月比115.6%となり、客足は堅調に推移している。

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■パブ・居酒屋
パブ・居酒屋業態は全体売上の前年同月比が114.7%と回復傾向にあるが、2019年同月比で66.1%となっており、まだコロナ禍前のレベルには戻ってきていない。夕方からの早い時間帯では一部で客足が2019年を上回ることもあったものの、夜遅い時間帯はまだ客足が戻っておらず、コロナ禍を経て利用する時間帯が変わったと考えられる。一方で、グループ客による宴会利用が少しずつ戻りつつある。

■ディナーレストラン
ディナーレストラン業態は、全体売上で前年同月比113.0%、2019年同月比で91.5%となった。入国制限が緩和されてからインバウンドが回復し、客数、客単価も前年同月を上回っている。新型コロナウイルス感染症の5類移行後は、「パブ・居酒屋」業態同様、企業や団体の宴会も少しずつ戻りはじめている。

■喫茶
喫茶業態は、全体売上で前年同月比116.0%、2019年同月比で96.7%となった。店舗数も前年同月比で100.6%となっており、観光地や商業施設、オフィス街での客足の戻りが影響していると考えられる。

コロナ5類移行やインバウンドの回復から、外食産業全体で前年同月よりも回復した。パブ・居酒屋業態のように、2019年と比べると店舗数がまだまだ戻らない部分もあるが、アフターコロナとなって全体的にはようやく回復傾向に入ったといえるだろう。

※参考
外食産業市場動向調査 2023年6月度 結果報告(PDF資料)

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com