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「ガチ中華」と「町中華」ブームの要因とは? 違いや流行の理由を解説

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近年、本格的な中国料理を出す「ガチ中華」と呼ばれるジャンルの飲食店が注目を集めている。本場中国の味さながらのメニューを提供するさまざまなお店があり、ガチ中華のエッセンスを取り入れた居酒屋なども人気だ。一方で、日本人に馴染み深い「町中華」も息の長いブームが続いている。そこで今回は、ガチ中華と町中華について解説すると共に、流行の理由や話題となっている店舗なども紹介していく。

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「ガチ中華」とは? 中華料理とは違うの?

「ガチ中華」には、しっかりとした定義があるわけではないが、中国人が自分たち好みの本場の味で作った料理や、その料理を出す飲食店のジャンルを指すことが多い。ガチ中華は、中華圏の人たちが実際に食べているような本格的な“中国料理”、またはそれらを提供するお店の総称であり、日本人向けに味付けされた“中華料理”とは一線を画す存在だ。

なお、上述した通り、日本では中国料理と中華料理は異なるジャンルの料理として扱われることがある。細かく区別しないこともあるが、日本人好みにアレンジされた中国の料理のことを中華料理、中国の本場の味を再現した料理を中国料理とすることが多い。この基準に当てはめると、ガチ中華は中国料理を提供するお店となる。

中国料理と言うと、北京料理・四川料理・上海料理・広東料理の四大料理が有名だが、ガチ中華で食べられる中国料理はこれら以外にもある。ガチ中華では、東北料理、雲南料理、湖南料理などの中国の地方で食べられている料理や、現地のレストランで出されるような現代的な中国料理を提供するお店もある。

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日本で「ガチ中華」が流行っている要因は?

ガチ中華がブームとなった理由の一つが、日本に住む中国人の増加だ。出入国在留管理庁の発表によると、2022年末時点の在留中国人の数は76万人を超える。このように、日本で生活する中国人が増えたことで、彼らをメインターゲットとした飲食店が登場するようになった。

また、日本人の味覚が変わり、四川料理などで使われる麻辣味が受け入れられるようになったことも大きい。さらに、コロナ禍で海外渡航が制限されたことも追い風となっている。中国に行ったかのような気分を手軽に味わえることから、需要が増加したと考えられる。

「ガチ中華」はここでわかる! 話題店を紹介

ガチ中華と呼ばれる飲食店とは、具体的にどのような店なのだろうか。下記では、ガチ中華と呼ばれる話題の店舗をいくつか紹介する。

■池袋『友誼商店(ゆうぎしょうてん)』
『友誼商店』は、池袋にある中国輸入食材店で、ガチ中華ブームの火付け役とも言われている。店内には、フードコート「友誼食府(ゆうぎしょくふ)」が併設されており、複数の中国料理店が出店している。四川料理や上海料理など、さまざまな地方の中国料理を一度に楽しむことができるため、いろいろなガチ中華を食べ比べることが可能だ。

■『味坊集団』
都内に11店舗を構える『味坊集団』は、ガチ中華ブームを牽引するグループだ。店舗ごとにテーマが異なり、神田の『味坊』では東北の家庭料理、御徒町の『羊香味坊(やんしゃんあじぼう)』では東北の羊肉料理、三軒茶屋の『香辣里(しゃんらーりー)』では湖南料理といったように、各店舗で中国各地の地方料理を楽しめる。2023年7月には、11店舗目となる『商館味坊』を人形町にオープンした。

■『海底撈火鍋(かいていろうひなべ)』
『海底撈火鍋』は、世界で1,200を超える店舗を展開している一大火鍋チェーン。日本でも新宿や池袋、心斎橋をはじめ、10店舗を展開している。充実したサービスが特徴で、無料でキッズルームやネイルサービスなどを利用できる。変面ショーやカンフー麺のパフォーマンスなどもあり、エンターテインメント性の高い火鍋店だ。

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もう一つのブーム「町中華」とは?

ガチ中華に先んじて人気を集めてきたのが、「町中華」だ。町中華もきちんとした定義があるわけではないが、昔から地元の人たちに親しまれている中華料理をメインとした庶民向けの食堂のことを指す。創業年が古いお店が多く、近年では、店主の高齢化や後継者不足などの問題に直面しているところもある。

町中華で出される料理は店舗によって異なるが、日本人好みの味に改良した中華料理を中心に提供していることが多い。ガチ中華が中国人が好む味付けなのに対し、町中華ではラーメンやチャーハン、餃子といった、日本人にとって馴染みの深い中華料理を提供している。

また、町中華で特徴的なのが、中華料理をメインとしながらも、それ以外のジャンルの料理を提供している店舗が多い点だろう。カツ丼やカレー、オムライスのほか、定食メニューを置いている店舗などもある。なかには、こうした中華料理以外のメニューが人気を博すなど、中華料理の枠にとどまらない飲食店となっているところもある。

「町中華」の人気店とは?

では、町中華ではどのような店舗が人気となっているのだろうか。以下では、都内で話題となっている町中華を紹介する。

■神楽坂『龍朋』
まずご紹介するのは、神楽坂にある町中華『龍朋』だ。メニューには、ラーメンや回鍋肉、麻婆豆腐をはじめ、さまざまな中華料理が並んでいるが、特に人気を集めているのがチャーハンだ。大きめのチャーシューがごろごろと入ったチャーハンは、日本一と言われることもあるほどの味わい。チャーハンを目当てに訪れる人も多く、ランチタイムには行列ができている。

■大山『丸鶴』
大山にある『丸鶏』は、メディアで取り上げられることもある町中華の名店。名物のチャーシューチャーハンは、コショウが効いた味わいと、大きなチャーシューがたっぷりと入っているのが特徴だ。これ以外にも、レタスやとび子を使ったチャーハンを販売しているほか、ラーメンなどの麺類も扱っている。また、ネットで冷凍チャーハンの予約販売も実施しており、お店に行けない人も『丸鶏』の味を楽しむことができる。

■新宿『岐阜屋』
西新宿の思い出横丁にある『岐阜屋』は、1947年にスタートした中華居酒屋だ。かつて製麺業を営んでいたことから、自家製麺を使ったラーメンなどを提供している。リーズナブルな価格帯のメニューが多く、ラーメン(並)は1杯480円と、ワンコインあれば食べられる。ほかにも、餃子や木耳卵炒め、炒飯など、定番の中華料理が楽しめる。

中国のよりディープな地方料理を追求するガチ中華、そして親しみのあるメニューで人気を博す町中華。現在もさまざまなメディアで取り上げられており、依然として注目度が高いグルメトレンドだと言える。最近では中華料理店のみならず、これらのエッセンスを取り入れた居酒屋もオープンするなど、外食シーンに小さくない影響を与えている。これからどのように発展していくか、引き続き注目していきたい。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。