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ジビエ肉を無許可で販売して逮捕。飲食店が知っておきたいジビエ肉の仕入れ・調理の注意点

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画像はイメージ。画像素材:PIXTA

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無許可でジビエ肉を販売したとして、ベトナム国籍の2人が食品衛生法違反の疑いで逮捕された。ジビエ肉を食肉として処理・販売するには、食肉処理業・食肉販売業の許可を得なければならない。今回は、飲食店がジビエ肉を仕入れ、調理する上での注意点を紹介する。

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ジビエ肉を販売するには食肉販売業許可が必要

無許可でジビエ肉を販売したとして、ベトナム国籍の男女2人が10月に逮捕された。2人は、SNSで食肉の画像を掲載して販売しており、大分市内の男性に、イノシシ肉とシカ肉の合計27kgを販売したとされている。この2人はほかにもジビエ肉を500件以上発送していたと見られ、警察は余罪を捜査している。

ジビエ肉を処理する場合、自家消費目的であれば解体・処理施設の営業許可は求められない。しかし市販する目的であれば、食品衛生法で定められた食肉処理業・食肉販売業の営業許可施設が必要だ。逮捕された2人は県知事の食肉販売業許可を得ずにジビエ肉を販売したとされ、食品衛生法違反の疑いが持たれている。

栄養価が高く滋味深い味わいで、昨今人気が高まっているジビエ肉。一方で、野生鳥獣は寄生虫や腸管出血性大腸菌、E型肝炎ウイルスなどを持っている可能性があり、食中毒のリスクもある。そのため、一般的な加工肉以上に衛生管理には十分注意しなければならない。

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飲食店がジビエ肉の仕入れ・調理で注意しておきたいこと

では、飲食店がジビエ肉を仕入れるときや、調理する際にはどのような点に注意したらいいのだろうか。まず仕入れにあたっては、食肉処理業の許可を受けた施設かどうかを確認する必要がある。猟師から直接仕入れたり、食肉処理業の許可を受けた施設以外で解体・処理されたジビエ肉を仕入れたりすることは避けなければならない。誰がいつどこで捕獲してどのように解体・処理されたのか、金属探知機で銃弾の残留がないことが確認されているか、といった情報もあわせて確認しておこう。

調理時に注意したい点は、ジビエ肉専用のまな板や包丁などを使用し、調理後には必ず洗浄・消毒を行うようにすることだ。さらに、ほかの食材との交差汚染を防ぐために、別の容器に入れて10度以下での冷蔵保管が必要になる。

また、ジビエ肉は必ず加熱して提供することが大切だ。前述のとおり、野生鳥獣は食中毒のリスクがあるため、生食は絶対に避けなければならない。提供する際は、肉の中心温度が75度で1分以上加熱する必要がある。75度以下で加熱する場合は、75度で1分以上加熱するのと同等になるよう、加熱時間を長くする。ただし、65度以下では死滅しないウイルスもいるため注意が必要だ。

ジビエ肉は味わいや栄養価において非常に魅力のある食材だが、扱いには十分注意しなければならない。食中毒などを起こすことなくジビエ肉を安全に提供するためには、飲食店側も注意点をしっかり理解しておく必要がある。ジビエ肉を提供する際は、事前に厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」をチェックしておこう。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com