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上昇気流・笹田社長が語る2024年外食業界予測。集客の鍵は「客の心を癒す」店づくり

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4.4坪ながら「立呑み」×「中華」という異色のコンセプトで連日満席の『立吞み中華 起率礼』

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「店員」と「客」という垣根を超えて、一緒に楽しめる関係性が求められるように

2024年以降、飲食店、特に居酒屋に求められる資質ついて笹田氏は「トレンドをキャッチすることも大切ですが、一緒になって楽しいことを共有できるホスピタリティがより求められていくでしょう。すでに繁盛店は、店員とお客さまという垣根を超えて、パートナーのような関係性を築いています」と話す。金銭の授受は発生するものの、繁盛店のオーナーやスタッフは、そういった友人のようなお客がたくさんいるという。

そしてもう一つ飲食店に求められるのが「心が癒される場所」であること。「あの店に行けば美味しい料理とお酒が楽しめる」というようにただ単にお客のお腹を満たすだけでなく、「あの店に行けばあの店員さんたちや、常連さんたちと話せて楽しい」「あのお店の空間や雰囲気が好き」など、「あのお店に行くとホッと安らいで心が満たされる」と思ってもらうことが大切だという。空腹だけでなく、心を満たす体験を提供できるかどうかが、今後より重要になってくると笹田氏は予測する。

実際、近年では料理やドリンクの魅せ方を工夫するだけでなく、内装や器、BGMやサービス、接客にまでオリジナルの世界観を反映させた個性的な店が増えてきた。美味しい料理やドリンクを楽しめるだけでなく、「あの店に行くと心が休まる」とお客に思ってもらえる店づくりを行うことが、集客の鍵となりそうだ。

立ち飲み不毛の地だった学芸大学に2022年にオープンし、今では2.8坪月商400万円を売り上げる『立呑み 鉄砲玉』

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お客に合わせたら商売にならない。自分が「面白い」と思うことを追求する店がトレンドに

人々の価値観が多様化し、先行きが読めない今の世の中。2024年はより一層「本当に面白いと思うことを、腹を据えて発信していくお店に人が集まる」と笹田氏は予測する。

「価値観が多様化して、大衆的なトレンドが生まれなくなったいまの時代、お客さまに合わせようとしても商売を繁盛させるのは難しいでしょう。むしろ強い思いのもと、自分たちなりに面白いと思うこと、良いと思うことを突き詰めている人やお店に共感が集まってきています。思いがあるお店かどうかは、お客さまにも伝わるはずです。今後は『トレンドを追う人』よりも、『自分が良いと思うことを実行し続けた人』が、共感を呼び、それがやがてトレンドになっていくのではないかと思います」

そういったムードが加速することで「この立地で〇〇は流行らない」などのジンクスも崩されていくのではないか、と笹田氏は話す。

“路地裏から世界を沸かそう”をミッションに掲げ、今年で創業20年を迎えた株式会社上昇気流。2024年は強い思いを持った飲食店事業者の個性をより一層引き出しながら、サポートしていきたいと笹田氏は意気込む。アフターコロナとなった2024年は、飲食業界の新たな転換期となりそうだ。

■株式会社上昇気流
https://www.josho-k.com/

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。