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ラーメン屋開業を考える前に!「やめとけ」と言われる理由と失敗しない流れ・資金計画を知ろう

2025年11月25日

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「いつか自分のラーメン屋を」―その夢を胸に「ラーメン 開業」と検索すると、「やめとけ」「失敗」「難しい」といったネガティブな言葉が並びます。

ラーメン店は新店が続々とオープンする一方、閉店する店も多く、経営は簡単な道ではありません。しかし、失敗する理由と成功のポイントを正しく理解し、準備すれば、夢を現実にすることは十分可能です。

この記事では、開業の厳しい現実から、資金や流れ、そして成功の鍵となる「物件選び」まで、あなたの疑問や不安を解消し、次の一歩を踏み出すための知識を徹底解説します。

この記事は、こんな人におすすめです

・「ラーメン屋の開業だけはやめとけ」と言われる理由が知りたい
・開業に必要な具体的な流れ(ステップ)を学びたい
・開業資金がいくら必要か、特に地方(田舎)でのケースも知りたい
・ラーメン店経営の難しさや、失敗する人の共通点を知っておきたい
・成功した場合のリアルな年収が気になる

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目次

なぜラーメン屋開業は「やめとけ」と言われるのか?

ラーメン屋開業が「やめとけ」と言われる背景には、明確な理由が存在します。それは、単なる噂や脅しではなく、飲食業界、特にラーメン業界が直面する厳しい現実に根差しています。

ラーメン店の経営は、想像を絶する競争率の高さ、厳しい労働環境、そして常にプレッシャーがかかる資金繰りの難しさなどがよく言われます。しかし「なぜそんなにネガティブな情報が多いのか?」「具体的に何がそんなに大変なの?」という疑問があるのも当然でしょう。

ラーメン店経営の難しさは、客観的なデータにも表れています。

一般的に、飲食店の廃業率は高く、開業から1年で約35%、2年で50%以上、3年となると約70%に達すると言われています。その中でもラーメン店は熾烈な競争環境にあることが多く、さらに厳しい状況におかれていることは想像に難くありません。

帝国データバンクが発表した調査によると、2024年のラーメン店の倒産件数は72件と前年比の3割増で過去最高を記録しました。また、同調査では3割以上のラーメン店が「赤字経営」であると回答しており、その経営の難しさが伺えます。

引用元:帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2024年)」

飲食店自体の成功率も鑑みると、ラーメン屋開業がそのまま成功することはまれで、いかに「失敗」と隣り合わせであるかを示しています。しかし、これらの理由は、裏を返せば「対策すべき課題」が明確であるとも言えます。まずは、その厳しい現実を具体的に見ていきましょう。

参照元:

▼帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2024年)」

▼帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年1-9月、速報)」

理由1:想像以上に高い「競争率」と「廃業率」

ラーメン業界は、比較的参入障壁が低いとされています。極端な話、修行経験がなくとも独自の味で勝負を挑むことが可能であり、それが多くの挑戦者を引き寄せる要因となっています。しかし、それは同時に、非常に多くの「競合」が存在することを意味します。

また、ラーメン店は人気のある数々の「チェーン店」が競合としてあることも忘れてはいけません。チェーン店には固定のファンが多くついているほか、価格帯や味においても安定感があることから、多くの人が食事を取る場所として選びます。

運よく競争相手の少ないエリアに開業できたとしても、あなたの店の隣に、新しいラーメン店ができる可能性もあります。そのような厳しい競争環境におかれた結果として表れるのが高い「廃業率」です。

飲食業界全体としても廃業率は高く、開業後3年では7割の飲食店が廃業になっており、ラーメン業界も例外ではありません。人気店に見えても、数年後には姿を消しているケースも決して珍しくありません。この高い競争率と廃業率こそが、ラーメン開業が「難しい」と言われる最大の理由の一つです。

理由2:飲食店経営につきものの「長時間労働」と「体力勝負」

「サラリーマン時代より大変って本当?」これは多くの場合、事実です。

ラーメン屋の経営、特に開業当初の小規模経営やワンオペレーション(一人での運営)を考える場合、その労働時間は想像を絶するものになります。

朝早くからスープや具材を仕込み、営業中の調理・接客、そして営業終了後の片付け、翌日の準備、売上計算、仕入れ、人を雇うなら人事などその他の雑務……。すべてをこなせば、1日の労働時間が15時間を超えることも珍しくありません。

これがほぼ毎日続くのですから、まさに「激務」であり「体力勝負」です。休みをとることもままならず、体力的な限界から経営を断念するケースも後を絶ちません。特にワンオペでの開業を考える場合、自分の時間を犠牲にする覚悟も必要になります。

理由3:常に付きまとう「資金繰り」のプレッシャー

ラーメン屋開業には、多額の「開業資金(初期投資)」が必要です。しかし、本当の戦いは開店してから始まります。日々の売上から、材料費、人件費、そして家賃といった「運転資金」を支払い、さらに初期投資の借入金を返済していかなければなりません。

「儲かっているように見えても潰れるのはなぜ?」という疑問の答えは、この「資金繰りの難しさ」にあります。たとえ売上があっても、入金サイクルと支払いサイクルのズレ、想定外の出費(設備の故障など)で、手元の現金が尽きれば(=キャッシュフローが回らなくなれば)、店は「失敗(=倒産)」してしまいます。この日々のプレッシャーが、経営者の精神を追い詰めていくのです。

ラーメン屋開業に失敗する人の共通点

「やめとけ」と言われる理由をそのまま体現し、残念ながら「失敗」してしまう人には、いくつかの共通点があります。

「自分は大丈夫だろうか?」と不安に思うかもしれませんが、これらの共通点を知ることで、対策を立てることができます。計画の甘さ、味への過信、そして経営の根幹を揺るがす「立地・物件選びの失敗」など、具体的に見ていきましょう。特に私たち物件タイムズの視点からは、物件選びのミスが経営の難しさに直結するケースを数多く見てきました。

失敗する人の共通点(1)「味さえ良ければ売れる」という思い込み

「自分は誰にも負けない美味しいラーメンを作れる。だから、味さえ良ければお客さんは必ず来る」―この思い込みは非常に危険です。もちろん、ラーメン屋にとって「味」は命であり、その追求は絶対に必要です。しかし、現代において、味だけで成功できるほどラーメン屋経営は甘くありません。

お客様が店を選ぶ理由は、味だけでしょうか? 店の清潔感、スタッフの接客態度、SNSでの見せ方、そして何より「立地(通いやすさ)」など、様々な要素が絡み合います。味へのこだわりが強すぎるあまり、原価が高騰したり、提供スピードが遅くなったり、独りよがりな経営になっては本末転倒です。「経営視点」を持ち、味と価格、サービス、そして「マーケティング」のバランスを取ることが不可欠なのです。

失敗する人の共通点(2)どんぶり勘定な「資金計画」

開業時に最もやりがちなミスが、この「資金計画の甘さ」です。「開業資金」をギリギリで用意し、開店後の「運転資金」をほとんど準備せずにスタートしてしまうケースです。

開業直後から、計画通りに売上が立つ保証はどこにもありません。むしろ、最初は赤字が続くことを想定すべきです。甘い売上予測とコスト意識の欠如は、あっという間に資金ショートを招きます。運転資金(家賃や人件費、仕入れ費の6ヶ月分が目安)を確保せずして開業するのは、羅針盤も食料も持たずに嵐の海へ漕ぎ出すようなものです。

失敗する人の共通点(3)最も重要な「立地・物件選び」の軽視

ラーメン屋の成功は「立地・物件選び」に大きく左右されます。その店舗周辺の人の流れや、特性とコンセプトに合っていなければ意味がありません。

また、家賃が高すぎる物件を選べば、どれだけ売上を上げても利益が残りません。たとえ「居抜き物件」で初期費用を抑えたとしても、前の店の設備が古く、結局高額な修理費や追加の設備投資がかさんでしまった、というのもよくある失敗です。物件選びでの失敗は、後から修正するのが非常に難しいため、ここで絶対に妥協してはなりません。

「修行なし」での安易な独立

「修行経験がなくても開業できる」というのは事実ですが、これも失敗につながりやすい共通点の一つです。他の飲食店で働くこと、すなわち「修行」で得られるのは、ラーメン作りの技術だけではないからです。

仕込みの段取り、調理スピード、接客の流れ、在庫管理、清掃方法など、実際に現場で働くことでしか学べない「店舗運営のオペレーション」こそが、最も重要なノウハウです。このような経験がないまま安易に独立すると、開店直後にオペレーションが回らず、お客様を長時間待たせたり、味にムラが出たりして、すぐに客足が遠のいてしまいます。未経験での開業は、それ自体が大きなハンデであることを認識すべきです。

ラーメン屋開業に必要な「資金」はいくら?

では、具体的にラーメン屋の開業にはどれくらいの「資金」が必要なのでしょうか。「結局、自己資金はいくらあればいいの?」という疑問に答えます。

結論から言えば、都心で小規模な店舗(10坪〜15坪程度)を開業する場合、最低でも1,000万円から1,500万円程度が一つの目安となります。もちろん、これは「居抜き」か「スケルトン(何もない状態)」か、立地や店の規模によって大きく変動します。何に一番お金がかかるのか、その内訳を見ていきましょう。

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開業資金の内訳(初期費用+運転資金)

「1,000万円」の内訳を知りたい」という方のために、目安の金額を解説します。開業資金は、大きく分けて「初期費用(イニシャルコスト)」と「運転資金」の2つで構成されます。

初期費用とは、開店までに必要なお金で、以下のものが挙げられます。

1.物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料など。家賃の6〜12ヶ月分が目安)
2.店舗投資費(内装工事費、厨房設備費、備品費など)
3.その他の諸経費(広告宣伝費、当面の仕入れ費など)

そして、見落としがちなのが「運転資金」です。これは、開店してから経営が軌道に乗るまでの間、店を維持していくためのお金です。具体的には、仕入れ費、人件費、家賃、水道光熱費、雑費などです。最低でも6ヶ月分の運転資金を初期費用とは別に用意しておくことが、倒産リスクを避けるための絶対条件です。

ここで、開業資金の内訳の目安を表で示します。

開業資金の内訳目安(都心・10坪・居抜き物件の場合)

費目 内容 目安金額
初期費用(合計:約500万~800万円)
物件取得費 保証金、礼金、仲介手数料など(家賃20万円と想定) 120万~240万円
店舗投資費 内装・外装工事費、厨房設備費、空調、備品など 300万~500万円
その他諸経費 広告宣伝費、当面の食材仕入れ費など 80万~100万円
運転資金(合計:約300万~480万円)
(経営安定までの6ヶ月分目安)
家賃・共益費 (月20万円 × 6ヶ月) 120万円
仕入れ費(原価) (売上予測の30%程度) 100万~150万円
人件費 (アルバイト雇用など) 50万~100万円
水道光熱費・雑費 (月10万円 × 6ヶ月) 60万円
総額(目安) 約800万~1,280万円

※上記はあくまで一例です。スケルトン物件の場合、店舗投資費は1,000万円を超えることもあります。

都心ではなく「田舎」で開業すれば開業資金は安くなるのか

田舎での開業は、開業資金を抑えられるのか、これは、ある意味では正解です。「田舎(地方)」でのラーメン屋開業は、都心と比較して「家賃(物件取得費)」を大幅に抑えられる最大のメリットがあります。内装工事費や人件費、食材の仕入れなども、都心より安価になる傾向があります。

しかし、デメリットも考慮しなければなりません。田舎では商圏(お客様がいる範囲)が狭く、集客が難しい場合があります。都心のように「歩いていたら偶然入った」という客層は期待しにくく、車での来店がメインになるため駐車場の確保も必要になるかもしれません。

また、客単価も都心ほど高く設定できない可能性があります。初期費用は抑えられても、売上を確保する難易度が上がる可能性があることを理解しておく必要があります。

自己資金だけでは足りない場合の資金調達法

開業資金の全額を「自己資金(貯金)」だけで賄うケースは稀です。「貯金だけじゃ足りない場合、どうやってお金を集めるの?」という疑問には、いくつかの方法があります。

最も一般的なのが「資金調達」です。特に、創業者を支援する「日本政策金融公庫」の「新創業融資制度」は、多くの開業者が利用しています。金利が低く、無担保・無保証人で借りられる可能性があるため、第一の相談先となります。

その他にも、地方自治体が設けている「制度融資」や、国や自治体が提供する「補助金・助成金」(事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金など。時期や条件による)を活用する方法もあります。ただし、融資を受けるには、次のステップで解説する「事業計画書」の作り込みが極めて重要になります。

飲食店の開業で利用できる補助金・助成金を調べるには、開店を予定している土地の地方自治体や商工会議所、ミラサポPLUSなどが役に立ちます。

また、以下の記事でも飲食店開業に使える補助金・助成金について解説しています。

▼【2025年8月最新】飲食店の開業に使える補助金・助成金を一挙紹介!

個人開業 vs フランチャイズ(FC)開業。どう違う?

ラーメン屋開業を考えたとき、ゼロから自分の店を作る「個人開業」と、既存のブランドの看板を借りる「フランチャイズ(FC)開業」という選択肢があります。開業方法で悩む方も多いため、ここで双方のメリット・デメリットを解説します。

個人開業のメリット・デメリット

メリットは、何といっても「自由度の高さ」です。自分のこだわり抜いた味、内装、サービス、価格設定など、すべてを自由に決めることができます。経営が軌道に乗り、利益が出れば、そのすべてが自分の収益となる(ロイヤリティの支払いがない)のも大きな魅力です。

デメリットは、この記事で解説してきたように、開業時の負担がすべて自分にかかる点です。コンセプト設計から資金調達、物件探し、メニュー開発、知名度ゼロからの集客まで、すべて自分で行う必要があり、成功の難易度は高くなります。

フランチャイズ(FC)のメリット・デメリット

メリットは、「成功しているノウハウとブランド力を活用できる」ことです。すでに確立された人気ラーメンの味とブランド、運営マニュアルが提供されるため、未経験者でも比較的失敗しにくいのが特徴です。本部による物件選定のサポートや、開業時の研修、集客支援を受けられる場合も多く、個人開業に比べてスタートダッシュがしやすいと言えます。

デメリットは、「自由度の低さ」と「コスト」です。加盟金や保証金といった初期費用に加え、売上に対して毎月「ロイヤリティ(ブランド使用料)」を本部に支払う必要があります。また、メニューや食材、運営方法も本部のルールに従う必要があり、自分のオリジナリティを出すことは基本的にできません。

夢を実現する!ラーメン屋開業までの7つの流れ

ラーメン屋開業は、思いつきで始められるものではありません。「何から手をつければいいか分からない」という方のために、開業までの全体像を具体的な「流れ(ステップ)」で示します。コンセプト設計から始まり、物件探し、資金調達、各種手続き、そして開店準備まで、明確なステップを踏むことで、失敗のリスクを減らすことができます。

ステップ1:コンセプトと事業計画の策定

「いきなり物件探しちゃダメなの?」―ダメです。全ての土台となるのが「コンセプト設計」です。これは、「誰に(ターゲット)、何を(どんなラーメン)、どのように(価格帯やサービス)」提供するかという、店の根幹を決める作業です。

例えば、「近隣のサラリーマンに、平日のランチで、早く安く満腹になれるこってり系ラーメンを提供する」といった具体的なイメージです。このコンセプトが曖昧だと、味も、価格も、「立地」も決めることができません。

コンセプトが決まったら、それを具体的な数値に落とし込んだ「事業計画書」を作成します。売上予測、必要な資金、返済計画などをまとめ、資金調達(融資)の際にも使用する最重要書類です。

ステップ2:最重要!立地調査と物件探し

コンセプトと事業計画が固まったら、いよいよ「物件探し」です。しかし、やみくもに探すのではありません。まずは、自分のコンセプトに合ったターゲット層が、その「立地」に実在するかを調査(商圏調査)します。平日の人通り、休日の人通り、昼と夜の人口、競合店の状況などを自分の足で確認します。

その上で、条件に合う「物件」を探します。初期費用を抑えられる「居抜き」か、ゼロから理想の店を作れる「スケルトン」か、それぞれのメリット・デメリットを理解し、家賃が事業計画に見合っているかを厳しくチェックします。

「良い物件ってどうやって探すの?」という疑問には、専門家の活用が近道です。私たち「飲食店ドットコム 店舗物件探し」のような飲食専門の物件情報サイトでは、ラーメン屋開業に適した居抜き物件を探すことができます。

▼飲食店ドットコム 店舗物件探し

ステップ3:資金調達(融資の申込み/助成金の申請)

物件の目星がついたら、事業計画書を持って金融機関へ「資金調達(融資)」の相談・申込みを行います。なぜこのタイミングかというと、物件の契約には多額の初期費用が必要であり、融資の審査には「どの物件で開業するのか」という具体的な情報が不可欠だからです。

日本政策金融公庫などに「融資の申込み」を行い、面談を経て審査を受けます。この際、自己資金をどれだけ用意できているか(一般的に開業資金総額の3分の1程度が目安とも言われます)も、返済能力を示す上で重要視されます。

また、事業計画書ができたタイミングで利用できる助成金の申請も行うとスムーズです。

ステップ4:店舗設計・内外装工事

融資の目処が立ち、物件の契約が完了したら、「店舗設計」と「内外装工事」に進みます。コンセプトに基づき、お客様が快適に過ごせる客席はもちろん、スタッフが効率的に動ける厨房の動線(オペレーション)を考慮した設計が重要です。

設計図が完成したら、施工業者と契約し、工事がスタートします。居抜き物件であっても、看板の付け替えや、厨房設備の追加、内装の部分的な変更などが必要になることがほとんどです。

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ステップ5:必要な資格取得と各種届出

店舗の工事と並行して、開業に必要な「手続き」を進めなければなりません。ラーメン屋を開業するには、まず「食品衛生責任者」の資格が必須です。これは、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受講すれば取得できます。

さらに、店の工事が完了する目処が立ったら、管轄の「保健所」に対して「飲食店営業許可」の申請を行います。保健所の担当者による店舗の立ち入り検査を受け、基準を満たしていれば許可証が交付されます。

また、深夜0時以降もお酒を提供する場合は、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」の提出が必要です。

▼深夜営業や24時間営業には許可が必要? 深夜営業のルールを解説

ステップ6:仕入れ先の確保とメニュー開発

ラーメンの味を支える、麺、スープの材料(ガラや野菜)、チャーシューなどの具材、調味料といった食材の「仕入れ先」を開拓します。品質、価格、配送ロットなどを比較検討し、安定供給してくれる業者を選定します。

並行して、最終的な「メニュー開発」と価格設定を行います。看板となるラーメンはもちろん、サイドメニューやトッピング、ドリンクなども決定します。「原価計算」を正確に行い、利益を確保できる価格に設定することが重要です。

ステップ7:スタッフ採用とオペレーション訓練

一人(ワンオペ)で運営するのでなければ、「スタッフ採用」と教育が必要です。求人広告を出し、面接を経てスタッフを確保します。

そして、オープン前に最も重要なのが「オペレーション訓練」です。採用したスタッフと共に、実際にお客様が入ったことを想定し、注文から調理、提供、レジ、片付けまでの一連の流れを何度もシミュレーションします。「開店準備」が万全でないと、オープン直後に混乱し、お客様に悪い印象を与えてしまいます。

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気になるラーメン屋開業の「年収」のリアル

開業の厳しさや流れを理解した上で、やはり気になるのは「実際、どれくらい稼げるの?」「サラリーマンより稼げる?」といった「年収」のリアルでしょう。

結論から言うと、ラーメン屋経営者の「年収」はまさにピンキリです。店の規模、売上、利益率によって大きく異なり、赤字続きで年収300万円未満のケースもあれば、経営が軌道に乗り、多店舗展開などによって年収1,000万円をはるかに超えるオーナーも存在します。

一般的な目安としては、個人経営で店舗が軌道に乗った場合、年収400万円〜600万円程度が一つのボリュームゾーンと言われることがありますが、これはあくまで「一般論」です。重要なのは「売上」ではなく、手元に残る「利益(年収)」をどうやって最大化するか、その仕組みを理解することです。

ラーメン店経営の年収(利益)が決まる仕組み

「売上が多くても儲からないのはなぜ?」―それは、年収(経営者の取り分)が、単純な「売上高」ではないからです。

経営者の年収は、会計上「営業利益」(あるいはそこからさらに税金などを引いたもの)にあたります。これは、「売上高」から、全ての「経費」を差し引いたものです。

経費には以下のものが含まれます。

1.原価(材料費)
2.FLコスト(F=Food:材料費 + L=Labor:人件費)
3.家賃
4.水道光熱費
5.その他諸経費(広告費、消耗品費、借入返済など

特に飲食業では、売上高に占めるFLコストの比率(FLコスト比率)をいかにコントロールするかが、利益(年収)を確保する上で極めて重要になります。

サラリーマンと飲食店経営の違いは?

ラーメン屋経営者とサラリーマンの決定的な違いは、収入の「安定性」です。サラリーマンは、業績による変動はあっても、毎月決まった固定給が保証されています。

一方、経営者は良くも悪くも不安定です。売上が落ち込めば、自分の取り分(年収)をゼロにしてでも、従業員の給与や家賃を支払わなければならないリスクがあります。

しかし、そのリスクの裏側には青天井の可能性があります。自分の努力と戦略次第で、サラリーマン時代には到底稼げなかった額を稼ぐことも可能です。1店舗目の経営が軌道に乗れば、2店舗、3店舗と多店舗展開することで、年収を飛躍的に伸ばす夢も持てるのが、経営者の醍醐味です。

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ラーメン屋開業を成功に導く3つの鍵

これまでラーメン店経営の厳しい現実から、具体的な流れ、資金、年収のリアルまで解説してきました。「色々大変なのは分かったけど、じゃあ成功するには何が一番大事?」という疑問に答えます。

ラーメン開業を「失敗」ではなく「成功」に導くためには、無数の要素がありますが、絶対に外せない「鍵」は3つあります。それは、「明確なコンセプト」「綿密な資金計画」、そして「失敗しない立地・物件選び」です。

成功の鍵1:戦う場所を決める「コンセプト設計」

成功の第一歩は、戦う場所(市場)と戦い方(戦略)を決める「コンセプト設計」です。これは、単に「美味しいラーメンを作る」ということではありません。

重要なのは、「誰に(ターゲット)」を明確にすることです。例えば、「健康志向の30代女性」なのか、「安くガッツリ食べたい20代学生」なのか。ターゲットが違えば、求められる味、価格、店の雰囲気、そして「立地」も全く変わってきます。自分の強みと、市場(お客様)のニーズが合致するポイントを見つけ出し、「差別化」されたコンセプトを打ち立てることが成功の羅針盤となります。

成功の鍵2:命綱となる「無理のない資金計画」

どれだけ素晴らしいコンセプトがあっても、それを支える「資金計画」が杜撰では、すぐに息切れしてしまいます。特に重要なのは、先にも述べた「運転資金」の確保です。

開業資金の全額を融資に頼るのではなく、「自己資金比率」を高める努力も必要です。これは金融機関からの信頼にもつながります。そして、事業計画を立てる際は、売上予測はなるべく悲観的に(低く)見積もり、経費予測は楽観的に(高く)見積もるくらいが丁度良いのです。この「無理のない資金計画」こそが、開業後の荒波を乗り越えるための「命綱」となります。

成功の鍵3:成功を左右する「立地・物件選び」

そして、これら2つの鍵を現実の形にするのが、「立地・物件選び」です。

・コンセプトに合ったターゲットが、本当に集まる「立地」なのか
・その場所で、事業計画通りの売上が見込めるのか。
・家賃は、売上予測に対して高すぎないか(一般的に家賃比率は売上の10%以内が目安)
・無駄な改装費が発生しないか
・厨房設備は効率的に配置できるか

上記のような点を見極めることが、長期的な成功の基盤となります。味は開店後も改善できますが、立地と物件は簡単には変えられません。だからこそ、ここが成功を左右する最大の分岐点となるのです。

ラーメン屋開業の夢、正しい一歩は「物件探し」から

ラーメン屋開業は「やめとけ」と言われるほど、確かに厳しい道です。高い競争率、激務、資金繰りのプレッシャーという現実は直視しなければなりません。

しかし、なぜ「失敗」するのかを正しく学び、明確なコンセプトを立て、無理のない資金計画と正しい「流れ」で準備すれば、その「夢」を現実にすることは決して不可能ではありません。

そして、その成功の大きな鍵を握るのが、あなたのコンセプトを実現するための場所、すなわち「立地・物件選び」です。

この記事で不安が少しでも解消され、次の一歩を踏み出す勇気が出たなら、まずは「どんな物件があるのか」を見てみることから始めてみませんか? 私たち「飲食店ドットコム 店舗物件探し」は、ラーメン屋開業を目指すあなたを全力でサポートする、飲食専門の物件情報サイトです。

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Q&A

Q1. 「居抜き物件」と「スケルトン物件」、どちらを選ぶべきですか?

A1. 一概にどちらが良いとは言えず、あなたのコンセプトと資金計画によります。 「居抜き物件」のメリットは、厨房設備や内装が残っているため、初期費用(内装工事費・設備費)を大幅に抑えられる点です。デメリットは、自分の理想通りのレイアウトにしにくいことや、残された設備が古く、結局修理や買い替えで費用がかさむリスクがあることです。 「スケルトン物件」のメリットは、ゼロから自由に店舗設計ができるため、コンセプト通りの理想の店を作りやすい点です。デメリットは、内装やインフラ工事に多額の費用と時間がかかることです。 まずは居抜き物件を中心に探しつつ、コンセプトの実現が難しい場合はスケルトンも視野に入れる、というのが現実的な進め方です。

Q2. 売上予測はどのように立てればよいですか?

A2. 甘い予測は失敗の元です。できるだけ現実的、あるいは少し悲観的に立てることが重要です。基本的な計算方法は「客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数」です。 まず、コンセプトから「客単価」(例:ラーメン800円+トッピング150円=950円)を決めます。次に、物件の「席数」(例:15席)を確認します。 最も難しいのが「回転数」(1席に1日何人座るか)です。これは立地や競合店の状況から予測します。例えば、ランチタイム(2時間)で1.5回転、ディナータイム(3時間)で1.0回転など、時間帯で分けてシミュレーションします。 (例:950円 × 15席 × 2.5回転 × 26日営業 = 月商 約92.6万円) この数字をベースに、平日と週末で分けたり、開業当初は予測の7割程度で計算するなど、堅実な事業計画を立ててください。

Q3. ラーメンの「味」で差別化するのは、もう難しいのでしょうか?

A3. 難易度は非常に高いですが、不可能ではありません。ただし、「味」だけで勝負しようとすると、莫大な研究開発費と時間が必要になります。「豚骨魚介系」「家系」「二郎インスパイア」など、既存の人気ジャンルの中で、ほんの少しの「違い(個性)」を加える方が現実的かもしれません。 それ以上に重要なのは、「味」と「それ以外の要素(価格、立地、接客、店の雰囲気)」を組み合わせた総合的な「体験」で差別化することです。「あの立地で、あの価格で、あの接客で、この味が食べられるなら満足」と感じてもらうことが、リピーター獲得の鍵となります。

Q4. 開業資金のうち、自己資金はどれくらい準備すべきですか?

A4. 多ければ多いほど良いですが、一つの目安として「開業資金総額の3分の1程度」と言われることが多いです。例えば、総額1,200万円の開業資金が必要なら、400万円程度は自己資金で用意したいところです。 これは、日本政策金融公庫などの融資審査において、事業への本気度や計画性を示す重要な指標となるためです。自己資金が少ない(あるいはゼロ)でも融資を受けられる可能性はありますが、審査は厳しくなります。また、自己資金が多いほど借入額が減り、開業後の返済負担が軽くなるため、経営の安定にも直結します。

Q5. やはり修行経験は必須でしょうか?

A5. 法律上「必須」ではありませんが、成功のためには「ほぼ必須」と考えることを強く推奨します。本文(h3 「修行なし」での安易な独立)でも触れた通り、修行で学ぶのは技術以上に「店舗運営のノウハウ(オペレーション)」です。仕込み、調理、接客、在庫管理などの流れを実地で学ばずに開業するのは、失敗のリスクを自ら高めることになります。もし未経験から始める場合は、フランチャイズ(FC)に加盟するなど、ノウハウを補う仕組みを検討すべきです。

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