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冷凍食材市場が拡大中! 再確認したい生鮮・冷凍食材のメリットとは
近年、冷凍食材を取り巻く環境が激変しています。急速冷凍の技術の革新にともない、これまで冷凍には向かないとされてきた食品も冷凍して流通させることが可能になりました。昨年日本に上陸したフランスの冷凍食品専門店『ピカール』では、料理そのものをそのままの食感・質感で急速冷凍し販売しており、食卓でプロの味を再現することができるため、大きな話題となったのは記憶に新しいところです。

Photo by iStock.com/igorsm8
技術の進歩に大きな影響を受け、いま、飲食店の仕入れ事情は大きく変わろうとしています。また、数年前から深刻な状態に陥っている人手不足の影響により、加工済み食材の導入を考えているお店も多いかもしれません。昨今の業界の大きな流れをふまえ、生鮮食品・冷凍食品を選択するメリット・デメリットを今一度、確認してみたいと思います。
生鮮食材市場の傾向、メリット・デメリット
低温で輸送を行う低温物流は、最初に1970年代、次に1990年代に大きな変革期を経て、現在に至っています。特に1990年代に起こったクール便宅配へのニーズ増加は大変大きく、今の低温物流の基盤が出来上がりました。
現在起こっているのは、第3の変革期と呼ばれるものです。背景には一般の消費者向けも含む冷凍食品市場が拡大したこと、コンビニエンスストアでのチルド総菜の充実などがあげられます。輸送体制の強化と同時に、冷蔵倉庫と呼ばれる温度管理可能な保管倉庫も規模が拡大しています。
一方で、通常の流通ルートを通らない生鮮食品も増えてきました。朝採れ野菜を早朝出荷し午前中には店頭に並べる「地産マルシェ」のような試みや、いくつかのお店で共同トラックを出し、港で水揚げされた海産物を店に直送するような動きも多く見られ、飲食店経営者の生鮮食材に対する意識の高さを窺えます。
ここで、生鮮食材を取り扱う場合のメリット・デメリットを整理しておきましょう。
■メリット
・パリッとした食感の葉菜類をはじめ、生鮮食材でしか楽しめない歯ごたえや美味しさがある。
・香りや苦みなどに富み、季節感のアピールがしやすい。
・仕入れルートの工夫などで他店では味わえない新鮮な魚介類などの提供が可能となった場合、顧客への訴求力を高め、他店との差別化を図ることが出来る。
■デメリット
・魚の捌きなど食材の加工に手間と技術が必要な場合が多く、それが味わいの違いに直結しやすい。
・集客の状況等により、食材を無駄にするリスクが非常に高い。
・加工済み食材よりストック場所を取り、また、ものによっては高湿冷蔵庫など専用の保管庫が必要。食材の保管状態により、安全性の確保が難しい場合があり、食中毒などのリスクがある。
冷凍食材市場の傾向、メリット・デメリット
冷凍技術の開発において、日本のみならず各国で目覚ましい技術革新が続いています。たとえば急速冷凍テクニックであるCAS冷凍という方法を用いると、従来、冷凍が難しく食感や質感が損なわれるとされてきたウニなどの食材も、その状態・美味しさのまま冷凍・解凍ができるようになりました。また、食材の保管に使われる冷凍庫は通常マイナス20度ですが、温度をマイナス60度まで下げることができ、食材の劣化を防ぐ業務用冷凍庫なども販売されています。
このような技術の発展に比例し、冷凍ができる食材の種類もじつに多様化しています。冷凍食品協会の統計によれば、野菜だけをとっても169種類もの冷凍野菜が流通しているとのこと。最新の冷凍技術では、レタスなどの一部の野菜を除いてほとんど全ての野菜が冷凍可能となりました。
同時に、一手間も二手間もかかる仕込みを済ませた状態の加工食材も、実に多様化しています。ここ数年の人手不足に苦しむ飲食店やホテルの厨房では、裏ごしに時間がかかる野菜のピューレや何時間も煮詰めるフォンドボーなどを冷凍に切り替えることも多いようです。
ではこちらも、メリットとデメリットを確認してみましょう。
■メリット
・調理時間が短縮できる。結果として、時間以外にも人件費や光熱費を圧縮できる。
・必要な量だけを解凍できるため、食材のロスを大きく削減できる。また、生ごみが出ないため、ごみの量を減らすことができる。
・腐敗や食中毒の原因になることがなく、安全に使用できる。
■デメリット
・食材により、解凍・調理のテクニックが必要。解凍状態によって、料理が水っぽくなったり調理中の油はねが起きたり、加熱のし過ぎにより食感が損なわれることがある。
・加工済み食品を使用した場合、他店とのメニューの差別化が難しくなる場合がある。顧客にとって冷凍食材を使用するのは良いイメージではなく、オリジナリティを出すには、工夫が必要。
いかがでしたでしょうか。どんなお店でも食材の保管場所や人的リソースには限界があるもの。お店の事情にあわせ、生鮮食材と冷凍食材をうまく利用し、お客様にとって魅力的なメニューを提供していきたいですね。
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