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適正メニュー価格の決定方法とは? 原価率、利益率、FD比率、FLコストの考え方を解説
飲食店でメニュー価格を決める際には、複数の観点から検討する必要があります。いくらで提供するかが、お店の利益や経営状況に直結するからです。今回は価格検討の際にとても重要なポイントとなる原価率、利益率、FD比率、単品FLを解説するとともに、メニュー価格をどう決定するべきかをご紹介します。

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価格決めの基本となる「原価率」とは
まずは原価率を考えてみましょう。原価率とは「売上に対する原価の比率」のこと。飲食店にとっては、食材やドリンクの原材料費などがこれにあたります。これらは、以下のような計算式で表すことができます。
原価率(%)=売り上げの原価÷売上高×100
例えば仕入れに60円かかったものを100円で売るとすれば、60÷100×100=60 つまり原価率は60%ということになります。しかしながら、60%の原価率は一般的な飲食店として、あまり良いとはいえません。
飲食店における原価率の目安は、30%が望ましいという定説があります。原価が30%を超えると、その他のコストを削らなければ赤字になってしまう可能性があるため、一つの指標として掲げられているのです。
先ほどの計算で原価率を30%に抑えるように設定する場合、売値をXとすると60÷X×100=30となり、X=200。つまり、200円で売れば、原価率を30%に保つことができるということになります。
FLコストで人件費まで考えよう
原価率の目安は30%ですが、飲食店の経費はそれだけではありません。サービスをしてくれる従業員にかかる人件費もまた、大切なコストの一つです。そこで食材、人件費のことまで含めて考えるのが、「FLコスト」。これは原価とオペレーション負荷に目を向けたもので、Fはフードコスト、Lはレイバーコスト(人件費)を指します。レイバーコストはだいたい20~30%ほどが目安となっており、FLコストは全体として50~60%が目安とされています。
料理は原価に加えて仕込み作業で人件費がかかるため、FLコストは上がる傾向にあります。対してドリンクは、原価が低く、仕込みや下準備もほとんどないためFLコストは低くなります。そこで、料理やドリンク全体のFLコストを平均して50~60%に抑えるように考えるのが良いでしょう。
FLコストを数値化して見ることは、メニュー価格だけでなく、仕込み作業やオペレーションを見直すきっかけになります。例えば、樽生ビールはコストは高いですが、樽から注ぐだけなのでオペレーションの負荷は大きくありません。対してサワーは、原価率は低いけれど、スタッフが作る必要があります。自店の環境にはどちらが適しているか、価格はどれくらい差をつけるべきか、ということを検討するうえで役立つことでしょう。
FD比率が店の課題を教えてくれる
メニューごとのFLコストを考えることはとても大切ですが、この数値だけで見えてこない課題があります。その課題に気付かせてくれるのがFD比率です。
FD比率とは、売上高に占める「F」ood(料理)と「D」rink(ドリンク)の比率を見るための指標です。一般的には、料理とドリンクの原価率を比べると、ドリンクの方が低いため、料理よりもドリンクの比率を上げることで利益を増やせると考えられます。
しかし、業態によって目安にすべきFD比率は異なります。たとえば食事を中心とするレストランであれば料理(F)の比率8割ほどが目安となりますが、ドリンクを中心とするバーやカフェは、ドリンク(D)の比率8割ほどが目安となります。自分たちの店では料理とドリンクがどんな割合で出ているかをチェックし、売上目標だけでなくFD比率目標を立てると、「もうワンドリンクを勧めよう」などオペレーションでやるべきことが見えてきます。

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飲食店の利益率の目安は?
利益率とは「売上に対する利益の比率」であり、利益÷売上高×100で考えることができます。飲食店における利益率の目安は10~15%といわれており、原価や人件費、経費、家賃等を差し引いてこの利益を出す必要があるため、原価率、FLコストなどを検討する必要があるというわけです。
しかしながら、必ずしも原価率、人件費を目安通りに抑えなければならないということではありません。戦略さえあれば、原価率を高めに設定すること自体は悪いことではないからです。例えば立ち食いステーキチェーン『いきなり!ステーキ』では、食材にこだわって肉の原価率を高めに設定し、その分他の経費を上手く抑える工夫をしています。原価率を高く設定する場合は、原価率が低いメニューを作ったり、原価以外の部分でコストカットできる部分を検討したりと、上手にバランスを取って工夫をすることが大切といえそうです。
メニュー価格の正しい考え方を身につけることは、売上アップに繋がるだけでなく、お客様の満足度を高めることにも良い影響を与えてくれます。メニューを改めて見直し、価格を考え直してみるのはいかがでしょうか。
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