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店内飲食・テイクアウトの食中毒対策は、春から万全に。 万が一のときの対応も
新型コロナウイルスの感染対策とともに意識したいのが、「食中毒対策」。気温や湿度が高くなると、細菌性食中毒の発生が多くなります。そこで今回は、飲食店が店内飲食やテイクアウトで食中毒を発生させないために意識したい取り組みをご紹介します。本格的に気温が高くなる前に、改めて自分の店舗の食中毒対策を見直しましょう。
画像素材:PIXTA
食中毒の半数以上が「飲食店」で発生
厚生労働省によると、2020年に発生した食中毒の内、原因が判明しているものの54.6%が飲食店で発生しています。食中毒の原因は様々で、細菌やウイルスのほか、アニサキスなどの寄生虫が原因となることも。どれも1年を通じて発生しますが、とくに冬場はウイルス性食中毒、梅雨や夏場は細菌性食中毒に注意が必要です。
飲食店で発生する食中毒の多くは、設備や食材の衛生管理が不適切だったり、食材の加熱が不十分だったりすることが原因です。では、飲食店で食中毒を発生させないためには、どのような対策を行なえばいいのでしょうか?
飲食店で食中毒を発生させないためには?
飲食店の食中毒予防では、3原則である、食中毒の原因を「つけない」「増やさない」「やっつける」を意識することが重要になってきます。
■つけない
食中毒の原因菌やウイルスを食材に「つけない」ようにするためには、調理前に手洗いをしっかりと行うほか、調理道具やキッチンの衛生管理を徹底しましょう。また、別の食材に原因菌やウイルスがつかないように、食材ごとにまな板や包丁を使い分けるなどの工夫も必要です。
■増やさない
食中毒の原因菌を「増やさない」ためには、食材や調理済み食品の適切な温度管理が大切です。20~50℃は食中毒の原因菌が増殖しやすい温度なので、長時間常温で放置するなどはNG。食材ごとに適した温度で保存を行うほか、調理済みの食品に関しても10℃以下または65℃以上で管理しましょう。
■やっつける
食中毒の原因菌やウイルスを「やっつける」ためには、食材をしっかりと加熱しましょう。加熱することで死滅する細菌やウイルスも多いです。中心部を75℃で1分以上加熱することを目安としながら調理を行いましょう。
こうした食中毒対策を確実なものにするために有効なのが、「HACCP(ハサップ)」です。HACCPは、国際的に認められている衛生管理手法で、飲食店も2021年6月1日から原則HACCPの考え方を取り入れた衛生管理が求められます。
HACCPでは、衛生管理計画の作成、実行、記録により、衛生管理の“見える化”を行います。どのような衛生管理を行っているか見える化することで、食中毒のリスクを軽減させることにつながります。
画像素材:PIXTA
テイクアウトやデリバリーの注意点は?
お客さんが食べるまでに時間がかかるテイクアウトやデリバリーは、店内飲食のときよりも、食中毒が発生するリスクが増します。食中毒対策としては、店内飲食のときと同じく、食中毒の原因を「つけない」「増やさない」「やっつける」という対策が基本ですが、テイクアウトやデリバリーだからこそ、気をつけなければならないこともあります。
例えば、生や半生のものは食中毒のリスクが高いため、テイクアウトやデリバリーのメニューとしては不向きです。十分に加熱した食材を使ったメニューなど、テイクアウトやデリバリーに適したメニューを考案しましょう。
また、盛り付けの際は清潔な手袋を用いるなどして、食中毒の原因菌やウイルスがつかないようにします。冷ます必要がある食品は、小分けにして速やかに冷ますようにしてください。食中毒の原因菌が増殖しないよう、テイクアウトやデリバリー用の保冷剤を用意するのも良いでしょう。
なお、お客さんにはできるだけ早く料理を食べきるように伝えましょう。口頭で伝えられない場合は、注意書きを書いたシールなど用意するのもおすすめです。
万が一、食中毒が起こった場合は?
ここまで、食中毒対策について紹介しましたが、もし自分の店舗で食中毒が発生した場合はどうすれば良いのでしょうか? 「食中毒の可能性がある」と、お客さんから店舗へ連絡が入った場合は、医療機関を受診するように伝えてください。
その際、いつ頃来店し、何を食べたのかなども聞いておくと良いでしょう。そのうえで、保健所に報告をします。飲食店が原因となる場合は、保健所の立ち入り調査が行われるため、落ち着いて対応するようにしましょう。
食中毒は、一歩間違えれば、命に関わることもある病気です。とくにこれから気温や湿度が上がると、より一層、細菌性食中毒が起こりやすくなります。万が一ということがないよう、改めて食中毒対策を徹底するように意識しましょう。
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