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繁盛店へ導くための「メニューづくり」の大前提。開業希望者が押さえるべき3つの軸とは?

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11月に掲載した、飲食店開業に際しての「コンセプトづくり」に続き、今回は「メニュー開発」についてポイントをご紹介したい。

メニューづくりで押さえておきたい3つの軸

メニューを決めるといっても、やみくもに提供したい商品を決めていては机上の空論で終わってしまう。実現可能で、且つ魅力的なメニューの考案には以下の3点を意識しよう。

まず、一つ目は顧客満足の視点。言うまでもないが、来店客に満足してもらえるメニューの考案が必要だ。そのためにはオリジナリティーや話題性といったものが必要になってくる。

そして二つ目は、そのメニューを実現させるための開業準備と初期投資だ。出したいメニューによって出店地域や店舗、厨房のレイアウトが具体化する。さらに仕入業者の選定、スタッフの人数など細かい内容が決定すると、初期投資費用も決まってくる。

最後の三つ目は、開業後の経営指標。原価率や人件費のほか、顧客の満足度は来客数や回転率、売上高に反映される。以上の3点を踏まえメニューを考えよう。

メインメニューとサブメニュー

具体的なメニューづくりの手順として、まずメインメニューとサブメニューに分けて考えよう。メインメニューは店の顔となるいわゆる「看板メニュー」。あの料理を食べに、あの店に行こう……と言われるようなメニューを考案したい。サブメニューは、ドリンクメニューやおつまみ、サラダ、デザートなどメインに付随するメニュー。メインメニューとのバランスや、関連性などを意識して決めよう。

■メインメニューづくりのポイント
メインメニューは、店の顔。必ず守りたいのはコンセプトに沿ったメニューであることだ。コンセプトづくりの際に考えた、ターゲットや場所(時間帯)、価格などイメージしながら考えていこう。

メインメニューは、他店にないオリジナリティーや話題性のあるインパクトが必要になるが、一方でわかりやすさも重要だ。つまり、誰でもある程度のイメージがわく馴染みのあるものに、オリジナリティーや個性をプラスして他店との差別化を図るということが重要になる。

そうした魅力的なメインメニューの考案には、五感に訴えかける演出が不可欠となる。顧客は五感によって「美味しさ」を感じるのだ。この場合の五感とは、見た目、食感、匂い、味、音のこと。どれかひとつではなく、五感すべてを満たす料理を考案したい。

また、料理の魅力はメニューの名前にも反映させ、食べる前からその料理の「美味しさ」を想像できるように演出したい。美味しさを伝える言葉は、“もちもち”、“とろとろ”、“ふわふわ”、“カリカリ”などの食感に訴えかけるものや、“限定”、“朝どれ”、“直送”、“特選”などの新鮮さ、希少性をイメージさせるものをはじめ様々ある。メインメニューのプランに合う魅力的なネーミングを考えよう。

■サブメニューづくりのポイント
サブメニューの役割は、メインメニューを引き立てるものであることと同時に、来店客に選択肢のバリエーションを提供するということだ。サブメニューは、先ほども挙げたとおり、ドリンクやおつまみ、サラダ、デザートなど多岐にわたる。それぞれの業態に合わせて、よりメインメニューを引き立てることのできるサブメニューを考えよう。

例えば、ラーメン店やうどん・そばなど、メインがはっきりと決まっている業態ならトッピングやボリュームの増減をサブメニューとし、メインメニューの楽しみ方に幅を広げることができる。様々な組み合わせを選べることにより顧客の満足度が上がり、リピート率も増えるだろう。

イタリアンやフレンチなど、メインメニューがいくつかある場合には、サラダやスープ、デザートにこだわり、食前食後の選択肢を増やすことで顧客の満足度につながる。居酒屋のような業態の場合には、一品料理がどれもメインでありサブである場合が多いので、すぐに提供できる、いわゆる“とりあえず一品”のメニューを作ったり、アルコール類に注目し、他店にはない種類を仕入れてみるのもいいかもしれない。

原価と販売価格の決定

メインメニューとサブメニューが決まったら原価を算出しよう。原価が算出できたらメニューごとの販売価格を決めていく。この時大切なのは、顧客満足と利益を両立させなければいけないことだ。小規模経営の飲食店の場合は、多少高めの値段設定でもいいかもしれない。しかしその分、質の良いメニューの提供が必要になってくる。

原価率はおおよそ30%前後に抑えておきたいが、すべてのメニューを一律30%にするのではなく、看板メニューには原価をかけ、サブメニューでコストを抑えるなど、メリハリのあるメニューづくりが必要だ。

メニューづくりは、様々な要素から多角的に検討しなければならない。開業後の成功を決める重要なポイントなので、しっかり考えて失敗のないメニューづくりを心がけたい。

■参考
翔泳社『自分でパパッとできる はじめての飲食店開業&経営』

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。