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飲食店が「サービス料」を導入する際のポイント。消費税は掛かる? トラブルを防ぐためには?

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飲食店の中でも高級店などでは、サービス料として飲食代の10~15%程度の金額を請求する店舗もある。中にはサービス料について説明せず、トラブルになるケースも見られるが、法的には問題ないのだろうか。今回は、サービス料についての法的な考え方と、導入にあたって注意すべき点や計算方法について解説する。

サービス料について明確に規定した法律はない

飲食店で食事をした際には、飲食代以外にサービス料を請求されることがある。飲食代以外に請求される料金としては、席料、チップなどがあるが、実質的にはお通し代も席料に近いものだといえるだろう。

サービス料の金額は飲食代の10~15%、席料は300~500円で、お通し代の場合は席料と同様の金額でちょっとした料理がついてくることが多い。チップは飲食代の10~20%程度が一般的だが、サービス料とは異なり、来店客が任意で支払う。また、サービス料は店の売上になる一方、チップは店員の収入となるという違いがある。

このサービス料について、飲食店によっては何の説明もなく請求する場合があり、トラブルに発展することもある。なお、現在の日本では、サービス料について明確に規定した法律はない。

商法では「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる」とされていが、サービス料を請求する飲食店のほうが少なく、商慣習ともいえない。そのため、何の説明もなく請求した場合、トラブルとなってしまうことがあると考えられる。

しかし、サービス料について説明や明示がなかったとしても、来店客が異議を申し立てなければ、「黙示の合意」があったとして請求してもよいこととなっている。とはいえ、客が満足するかどうかはまた別問題であるため、サービス料を導入したいと考えるのであれば、トラブルにならないような準備をしておくべきだろう。

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納得してサービス料を支払ってもらうには準備が必要

サービス料を請求すれば10~15%の売上増が見込めるため、飲食店にとって大きな金額であるのは間違いない。しかし、黙示の合意があったとしても、納得してサービス料を支払ってもらえなければ店の評判に影響を与える可能性もある。そうした事態を避けるためには、サービス料を導入するだけでなく、納得して支払ってもらえるような準備をすることが必要だ。

前提として、お客が納得してサービス料を支払えるだけのサービスを提供することが必要になる。大衆店でサービス料を支払わなければならない場合、お客は他店と差別化できるだけのサービスを期待しているはずだ。相応のサービスを提供せず、ただサービス料を追加しただけでは納得してもらえることはないだろう。

その上で、サービス料が発生することを予約時や来店時に説明しておくことが大切だ。レシートに項目として記載する必要もあるが、請求時に説明しても納得してもらえない可能性がある。先にしっかり説明をしておくと同時に、飲食代とは別にサービス料がかかることを、メニューにも明示しておくといい。

サービス料を導入することが結果としてプラスになるのかどうかを考え、導入するということになれば、納得して支払ってもらえるように準備や説明をしておきたい。

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サービス料は課税対象。サービス料を請求する場合の計算式は?

では、サービス料はどのように計算すればいいのだろうか。サービス料は課税対象になるため、飲食代にサービス料を加えた金額に消費税がかかる。計算式は下記のとおりだ。

■サービス料を請求する場合の計算式
請求金額=(飲食代+サービス料)×1.1(消費税10%)

例えば、飲食代が2万円でサービス料が10%だった場合、サービス料は2,000円。飲食代とサービス料の合計2万2,000円に消費税10%を加えて、請求金額は24,200円となる。

先に消費税分の金額をのせてからサービス料を計算したり、サービス料の10%と消費税の10%を足して20%をかけたりすると、違う金額になることもあるので注意が必要だ。

サービス料は、導入すれば売上アップにつながるため魅力的にみえるかもしれない。しかし、まずは来店客に納得してもらえることが重要だ。サービス料を導入することでどのような効果や影響があるかを考え、導入する場合はしっかりと準備・説明を行うようにしよう。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com