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労務のプロに聞く! 「アルバイトスタッフが離職しない店づくり」とは

2019-12-17 18:22:16.0 人材採用コラム 離職防止

目次

飲食店の求人を探すなら

外食業界は長きにわたって人手不足に悩まされ続けています。ただでさえ忙しい業界であるにもかかわらず、働き手がいないというのは深刻な問題です。しかし、この人手不足の現状は、単純に飲食店で働きたい人がいないことだけが原因というわけではありません。むしろ働きたいという人は一定数以上いる一方、入ってすぐに辞めていく人も圧倒的に多いというところから、結果的に人手不足に陥ってしまう店舗が多いのです。

なぜ、スタッフは辞めてしまうのか。そして飲食店におけるアルバイトスタッフの定着率を高めるには、具体的にどのようなことをしていけばいいのか……。今回はこうした面を探るべく、さまざまな店舗企業の労務環境改善をサポートする株式会社リーガル・リテラシーの代表取締役社長・黒部得善さんに話を伺いました。


株式会社リーガル・リテラシーの代表取締役社長・黒部得善さん

人は採れている。でも、残らない

黒部さんは飲食店の人手不足の原因について次のように分析します。

「この20年、飲食店において『人が余る』という時代はありませんでした。とはいえその実情は、入社したはずの多くのアルバイトスタッフが、短期間で辞めていってしまうというところにあります。

弊社が行ったリサーチでは、ある会社に採用された全パート・アルバイトスタッフ348人のうち、232人が調査期間中の一年間で退職したという結果も。これってすごい数字ですよね。ところがこうしたデータをよく見てみると、多くの人が辞める時期には規則性があることに気が付くんです。それは入社後の1週目、4週目、8週目。店舗によっては12週目にもその傾向があることを考えると、大体この3ヶ月の間に店側としても何らかの対応をすべきだということが見えてくると思います」

辞めてしまう理由は、「その店」の人や雰囲気。最初の3か月が肝に

そもそも、飲食業の現場はハードです。繁忙期とあれば休憩もそこそこに一日中動き回り、体力的にきついこともあるでしょう。そんな労働時間の長さや、見合っているとは言い難い給与額などが退職の引き金になっているのかと思いきや、実際の理由はもっと私的な部分にあると言います。

「新生活を迎える4月頃を除けば、飲食店のパートやアルバイトに応募される方のほとんどは飲食業経験者なんです。つまり、業務そのものが大変なのは承知のうえ。それよりも『人から感謝される』などその先の喜びに価値を見出しているから、転職してでも再び飲食の仕事に携わろうとしているわけです。そういったところに立ち返ると、辞めてしまった直接的な理由は飲食業特有の労働条件などではなく、店固有の雰囲気や人間関係にありそうだということが分かります」

しかし、そこに特別陰鬱なムードや、威圧的な人物の存在が認められないのであれば、決定的なミスマッチ感を抱かせてしまった原因はどこにあるのか……。面接から入社3か月の間に行われるごく一般的なコミュニケーションを振り返りながら、どのタイミングで店側とアルバイトスタッフの間に”ズレ”が発生するのか、改めて確認していきます。

入社1週目対策:すべてにおいて「雑」な店側の対応を見直そう

アルバイトスタッフ応募者が失望感をおぼえ始めるのは、早くも採用面接の段階からなのだとか。

「面接の際、応募者との会話もそこそこに『それで、いつから働けるの?』と、確約ばかりを得ようとするケース、よくありますよね。こういう場合の応募者は、そんな店長の急いたテンションに圧倒されてしまい、店に対して少なからずマイナスの印象を抱いてしまいます。

また、我々が店舗の店長やアルバイトスタッフを対象に実施した調査によれば、『初出勤時に名札や制服、ロッカー、靴などが準備されていたか』という質問に、YESと回答したスタッフの割合は、たったの58.2%でした。これが100%に遠く及ばないという時点で、新人の受け入れ態勢が物理的にも整えられていない実情をうかがい知ることができます。

さらには、既存スタッフに『何月何日、誰々という名前の新人が来る』という情報すら共有されていないことも。確かにこんな雑な対応では、1週目で気が滅入ってしまうのも無理はないと思います」

■応募者に語らせる面接を。

どんなに忙しくとも、備品など揃えておくべきものを揃えておくことは言うまでもありません。新人の名前や初回出勤日などを事前に周知しておくことも当然でしょう。それ以前にしっかり準備しておきたいのは、黒部さん曰く「抜かりない面接の段取り」とのこと。

「良い面接とは、相手に話をさせる面接。店長ばかりが一方的に話すような状況は、本来最も避けるべきだと思います。大切なのは、相手が何かを語りだしてくれるような話題をふること。さらに、それに対してこちらもきちんと受け答えができること。  

我々が労務サポートを行う中で提案しているのは、個性診断テストといったものを先に受けてもらい、そこから話題を見つけていくという手法です。ポイントは、相手の答えからこちらが無理に話を広げていくのではなく、『この質問にあなたはこう答えているけれど、これってどういうこと? 詳しく聞かせて』といった具合に、一連の会話ができそうな話題を相手から語りだしてもらうという点。この人は自分に興味を持ってくれているんだ、ちゃんと話を聞いてくれるんだという安心感を与えられれば、面接は成功です」

入社4週目対策:何が分からないのかすら分からない人を「放置」しない

入社から4週目ともなると、そろそろ慣れてきたとみなされる時期。しかし実際は基本的な対応ができるだけで、全体像は見えていないなど、多くの場合まだまだの時期なのです。

「それまでのシフトの日数にもよりますが、入社して約1か月なんて、本来分からないことだらけなんです。でも、忙しい飲食店の現場では『分からないことがあったら何でも言ってね』という声かけに終始してしまうことが多い。結果、ミスをする新人スタッフに対し『なぜ聞かないの?』と……。でもこれって、何が分からないかすら認識させられていないことが問題なんですよね。これはもはや、放置しているのと同じことなんです」

■良い意味で過信せず、あらゆる事態を経験させながら見守り続ける

ある程度の業務をこなせるようになった4週目頃のアルバイトスタッフは、一見すると十分に戦力として機能しているように見えます。しかし店長や既存のスタッフは、この時期の彼らの仕事を過信しないことが大切です。手間はかかるかもしれませんが、自信を育てるためにもさまざまなタスクを任せつつ、しっかりと様子を見守る姿勢を忘れずに。何かあれば、すぐに駆けつけてサポートすることで、確かな信頼関係を築くこともできるでしょう。

 

入社8週目対策:スタッフへの「画一的なアプローチ」をやめよう

この頃になると、各アルバイトスタッフが「自分はこの仕事で、こんなふうに活躍したい」というそれぞれの希望を抱き始めます。これに対し多くの店長は、一片通りの対応でモチベーションアップを図ろうとしがちなのだとか。黒部さんは、この点のすれ違いを指摘します。

「そもそもモチベーションというものが有効に機能し始めるのは、一通りの仕事に慣れた入社8週目以降。それまではモチベーションより安心感を与えて、働くうえでの心の土台を確立することが最優先なんです。それなのに入社早々から『ありがとう』『頼りにしてるよ』といった承認欲求を満たす言葉ばかりを適当に投げかけて、内面をサポートしたつもりになっているケースが非常に多い。不安が払拭しきれていないアルバイトスタッフと、なぜか承認欲求ばかり満たそうとする見当違いの店長とでは、見ている方向が違いすぎるんです」

■一人ひとりを「観察」して深く知り、それぞれのやる気のツボに合った対応を

それぞれ性格が異なるように、やる気のツボも十人十色。たとえば、社内での販促キャンペーンなど、仲間同士で和気あいあいと競い合うことに熱くなれるタイプもいれば、黙々と料理を追求することにやりがいを見出すタイプもいます。

「だからこそ、個人個人が現場でどんなことを楽しんでいるか、どこに対して仕事の面白さを感じているかということを常に観察し、知っておくことが大切。その上で定期的に面談を行い、一人ひとりに合ったやる気のツボを刺激することで、確かなモチベーションアップにつなげられればベストですね。各スタッフを観察するという労務は、相手に『自分のことをしっかり見てもらえている』という喜びや安心感を与えることでもあります。つまり、相手をしっかり見てあげること自体が、モチベーションを上げる役割も果たしているのです」

各所で働き方改革が進みつつある昨今。飲食店も例外ではないからこそ、人員を安定させることで、先進的な制度が機能し始める環境を整えていきたいものです。黒部さん曰く「1週、4週、8週のタイミングでフォローすべきことがきちんとできていれば、3か月間という期間に限り、アルバイトスタッフの大量離脱はゼロにもできる」とのこと。まずは、相手に興味を持ち、これまで以上にしっかり向き合っていくことから始めてみましょう。

黒部得善(くろべ・とくよし)

1974年名古屋市生まれ。1997年明治学院大学法学部法律学科卒業。同年社会保険労務士合格。大野実事務所で修業後、2002年9月㈱リーガル・リテラシー創業。飲食店の「長時間労働だから人が辞めるのか、人が辞めるから長時間労働なのか」を解決すべく、労務AI技術を活用して“3か月以内のPA離職0人”のサポートを提供。著書に『お店のバイトはなぜ1週間で辞めるのか?』『就業規則がお店を滅ぼす』(ともに日経BP社)がある。

 
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