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「採用お祝い金」とは?
採用お祝い金とは、企業への入社が決まったときに求職者に支給するお金のこと。飲食店の採用活動でもしばしば導入されます。採用お祝い金は、採用者に、企業が直接支払います。以前は転職サービス(職業紹介事業者)に企業が紹介手数料を支払い、転職サービスが採用者にお祝い金を渡すことも少なくありませんでしたが、職業安定法に基づく指針が改正され、2021年4月以降、転職サービスが採用お祝い金を支払うことは禁止されました。
採用お祝い金を支払う飲食店のメリット、デメリット
採用お祝い金を採用活動に活用すれば、飲食店はより多くの応募を獲得できます。応募数が増えた分だけ、優秀な人材を得られる可能性は高くなるでしょう。人材不足に悩んでおりできるだけ早く人を雇いたい店舗や、優秀な人材をもっと集めたい店舗にとってはメリットが大きい制度と言えます。一方、お金につられて入社を決めた人材は離職しやすい傾向があるのも否めません。また、せっかく採用活動に予算を割いても、「お金で人を集めた」という悪いイメージがつくこともあります。メリットとデメリットを比較して慎重に検討しましょう。
求人原稿での採用お祝い金の提示の仕方
採用お祝い金は入社のモチベーションをアップさせる制度のため、求人原稿でその旨を効果的にアピールする必要があります。求人原稿の待遇欄にありがちなのが、「採用お祝い金あり」といった簡素な表記です。採用お祝い金が支払われるとわかっても、金額や詳しい支給要件が不明なままでは応募の動機にはなりません。
求人原稿に記載するなら、採用お祝い金の金額や支給要件などの詳細を事前にきちんと定めておきましょう。「入社後〇日間勤務した場合に支給」「対象期間の労働日のうち、9割出勤した場合に限って支給する」といった要件を決めておけば、採用祝い金をもらったらすぐ辞めてしまうような悪質なスタッフの採用を防ぐ効果も期待できます。
採用お祝い金の支払いは法律上の義務でなく、企業が自社の利益のために活用するものです。そのため「いくら以上支払う必要がある」というルールはなく、店舗や企業ごとに自由に金額設定はできます。
金額を決める際は、同じ業界に属する他店がどのくらいの金額を支払っているのか、競合調査しておくことが大切です。ここで足並みを揃えておけば、少なくとも「採用お祝い金の金額」によって求人競争で負けることはありません。
実際に採用お祝い金を支払うには
採用お祝い金の金額や支給要件が固まったら、就業規則に明記しましょう。常時10人以上の社員がいる事業場では、採用お祝い金について明記した就業規則を事業場に置いたり、データで保存して常時アクセス可能な状態にしたりして、社員に通知しなければならないため注意が必要です。もし、採用お祝い金の支給に従業員からの申請が必要な制度設計にする場合は、申請手続きに必要な書類を整え、手続きをあらかじめ制度化しておくことが欠かせません。申請が必要な制度にして手続きにひと手間をのせれば、採用お祝い金目当ての求職者を多少減らすことができるでしょう。
採用お祝い金を求職者のインセンティブを高めるために使うなら、公平に支給されるような制度設計が欠かせません。担当者個人の感情を排して、いつ、どんな条件で支払うのかをルール化し、対象となる従業員の間で共通認識を持つことが大切です。
自分たちで決めたルールを無視し、求職者に不利益を押し付けるのは、店舗や企業への信頼を失墜させる行為です。そうした情報は求職者間でも共有されることを念頭に置き、必ず平等な対応を取るようにしてください。
採用お祝い金は経理上どう処理するべきか
採用お祝い金が課税対象となるかは、支払い方や意味合いによって変わります。採用お祝い金が「入社後に発生する労務の対価」であれば、契約金と見なされ課税の対象に。企業では、給与と同様に源泉徴収する必要があります。一方、労務の対価ではなく、企業からの贈与である場合は一時所得と見なされます。50万円以下なら非課税になり、源泉徴収も不要です。採用お祝い金は求職者にとって魅力的な制度なので、メリット・デメリットを見極めて活用していきましょう。
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