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メンタル疾患にかかる人は増加している
ストレスの多い現代社会では、メンタルヘルスに問題を抱える人が増加しています。日本でもメンタル疾患の人は増加しているといわれており、それに伴って休職または退職する人も増えています。メンタル疾患はストレスや過労によって発症のリスクが上がると考えられており、ハードな仕事の多い飲食店でも発症する従業員がいてもおかしくはありません。メンタル疾患は一度発症すると治療に時間がかかることもあり、休職を必要とすることも。従業員がメンタル疾患で休職したときにどう対応すべきかは、飲食店経営者なら必ず知っておきたいポイントです。
休職とは?
そもそも、休職とはどんな制度で、休業とどう違うのでしょうか。「休職」とは、会社が社内規程に基づいて従業員に長期休暇を与えること。労災以外の病気やケガ、留学やボランティアなどを理由に取得します。休職中は通常、給与は支払われませんが、休職理由によっては健康保険の傷病手当金が支給される場合もあります。
一方の「休業」は、会社都合または法律によって与えられる長期休暇で、給与や給付が支給される場合が多いです。例として、産前産後休業や育児休業、介護休業、労働災害による休業があります。
従業員がメンタル疾患で休職する場合の対応
従業員からメンタルの不調を訴えられたら、まずは精神科や心療内科の受診を促し、診断書の提出を求めます。診断書を受け取り、面談で話を聞いたうえで、療養に専念するため休職が必要なのか、仕事量の調整や配置転換などによって負担を軽減させることで足りるのかを検討し、適切な配慮を行いましょう。休職が必要と判断される場合は、休職命令を出します。その際はトラブルを防ぐため、休職制度について十分に理解できるよう説明しましょう。
休職期間中は、復職判断のために休職者の病状を定期的に把握する必要があります。ただし、病状報告が休職者の負担にならないよう、適度な頻度にとどめてください。
従業員の復職時には、本人からの情報収集(復帰の意思、産業医の意見等)を行い、復帰の可否を判断し、復帰プランを作成してサポートします。スムーズな復職のために、必ずこうしたステップを踏むようにしましょう。
復職時には、再発や新たな問題がないか気を配り、定期的な面談で状況を確認してください。復職者が負担に感じるような過度な励ましや特別扱いは避け、適度な距離感を保ちながら、本人の能力に合った業務を与えることが大切です。
退職勧告は可能?
たとえ「人材不足のため、今働けない人を雇っておくことはできない」という本音があったとしても、「メンタル疾患と診断された」という理由で従業員を解雇することはできません。解雇には客観的な合理性が必要なため、不当解雇と判断される可能性があります。ただし、次の場合は解雇することができます。
■メンタル疾患の原因が会社にない場合
メンタル疾患の原因が仕事以外で、長期間にわたって労務提供が不可能なときは、解雇が合理的と判断される場合があります。一方、メンタル疾患の原因が会社にある場合は、原則、回復まで解雇はできません。違反した場合、不当解雇として損害賠償が発生する可能性があります。■療養期間が3年以上の場合
3年以上治療が続く場合は、会社が平均賃金1200日分の補償を支払うことで解雇できる場合があります。また、会社が従業員に自主退職を促す退職勧告は自由に行うことができます。ただし、従業員の意思を尊重し、不当な圧力をかけないことが大切です。暴言や罵声、退職しないと不利益があると示唆する行為は違法とされ、損害賠償の対象になる場合があります。執拗な退職勧奨で慰謝料が認められた事例もあるため、慎重な対応を心がけましょう。
従業員のメンタル疾患は、本人が苦しい思いをするだけでなく、他の従業員や事業主の職務にも影響します。職場環境を整えて従業員の負担を軽減し、メンタル疾患を発症・再発しにくい職場をつくりましょう。
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