
画像素材:PIXTA
最低賃金とは?
最低賃金とは企業が労働者に支払わなければならない最低限の時給です。労働者に対して、最低賃金以上の賃金を得ることを国が保障するために定められています。最低賃金は地域ごとに異なりますが、産業や職種にかかわりなく、また、パートやアルバイト、正社員など雇用形態は問わず、各都道府県で働くすべての労働者とその事業主に対して適用されます。例え事業主と労働者で合意の上であっても、最低賃金以下の賃金は法によって無効とされ、事業者には最低賃金との差額の支払い義務が生じます。また、違反企業には罰則もあります。
平成29年3月28日の働き方改革実現会議で決定した「働き方改革実行計画」では、 GDP成長率にも配慮しつつ、最低賃金を年率3%程度を目途に引き上げ、全国加重平均1000円になることを目指すとしています。
現在の全国平均は902円。毎年、国の審議会が目安を決め、それをもとに各都道府県が実際の金額を決定し、10月頃に新たな最低賃金が適用されます。リーマンショックが起きた2009年と、新型コロナウィルス感染症の影響があった2020年度は見送られましたが、それ以外では、近年は毎年引き上げられてきました。
具体的にどのくらいの値上げになる?
2021年度の引き上げ額は28円。この額は2002年度に最低賃金が時給で示す現在の方式となってから過去最大で、上げ幅は3.1%です。各都道府県が目安通りの金額を引き上げると、東京は1,041円、神奈川は1,040円、大阪は992円になります。また、全国で最低額である秋田や沖縄などの地域は、現在の792円から820円となり、全ての地域で最低賃金が800円以上となります。
値上げを決定した背景や、値上げ後の反響など
最低賃金の引き上げは、労働者にとって朗報ですが、飲食業など未だ新型コロナウィルスの影響を受けている業界にとっては深刻な値上げ幅といえます。厳しい状況の中での引き上げに疑問を持つ経営者は少なくないでしょう。今回の値上げはコロナウィルスの収束を見越した判断といわれており、妥当であるという専門家の意見もいる一方、インターネット上などでは「中小企業には厳しい」などの意見も上がっています。
また、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会は、連名で「昭和53年度の目安制度開始以降で最高額となる大幅な引き上げとなったことは極めて残念であり、到底納得できるものではない」とコメントを発表。さらに企業の廃業や労働者の解雇など深刻な影響が出かねないと反対の声を上げています。
今後、10月からの適用を目処に各都道府県ごとに金額が決定されます。飲食店経営者は、新型コロナウイルスの状況に加え、最低賃金の行方にも注目しておく必要があるでしょう。
飲食業界専門の求人サイト『 求人@飲食店.COM 』では、飲食業界の求人/採用に役立つコラムなどをご紹介しています。求人募集や採用に関するご相談などもお気軽に お問い合わせください。
【関連記事】
■ 2019年10月の最低賃金引き上げで東京都は1,000円超えに! 飲食店がすべき対策は?■ 飲食店の人件費はどう考える? 給料・ボーナスを決める基準や算出方法をチェック