飲食店の店舗設計に関するアンケートを実施。内装会社選びは「信頼」を重視する結果に

「店舗設計」は、開業準備中の経営者にとって大きな“楽しみ”の一つだろう。しかし同時に、資金面や開店スケジュールなどに影響を与える得るシビアな面もある。確実に店舗設計を進めるために、まずは他店がどのように店舗設計を進めたのか知りたい経営者も多いのではないだろうか。そこで「飲食店リサーチ」では、「店舗設計に関するアンケート」を実施した。今回は、その結果をご紹介する。

■調査概要
調査対象：飲食店.COM会員（飲食店経営者・運営者）
回答数：353名
調査期間：2019年6月7日～2019年6月23日
調査方法：インターネット調査
アンケート結果：「店舗設計」に関するアンケート調査

■回答者について
回答者のうち71.7%が1店舗のみを運営している。また、東京にある飲食店の割合は53%（首都圏の飲食店の割合は74.4%）となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

内装デザインは信頼できる相手に依頼

はじめに、「店舗内装会社をどうやって探したか」を質問した。最も多かったのが「知り合いの会社に依頼した」で、49.6％を占めた。次に多かったのは「知り合いに紹介してもらった（24.4％）」だった。

上位の回答に共通するキーワードは「知り合い」だ。アンケート結果からは、7割以上が「知り合い」を頼っていることが明らかになった。「信頼」を重要視することが、納得のいく内装工事への近道だと考えている経営者が多いことがわかる。

また「マッチングサイトを利用した」という回答は9.6％あった。近年、効率よく最適な業者に出会う方法として注目が集まっている。通常、登録業者はそのサイトの審査を受けている。「信頼」できる探し方のひとつだと言えるだろう。

自店の予算をしっかり決めることが大切

次に「店舗設計施工費の総額」を尋ねた。パーセンテージに大きな差はないものの、一番多かったのは「201万円～500万円（29.2％）」、以下、「501万円～1000万円（23.5%）」「1001万円～3000万円（23.5％）」と続いた。

飲食店は多くの場合、残った内装や設備を活かせる「居抜き物件」か、ゼロから自由につくる「スケルトン物件」で開業をする。どちらを選ぶかで総額は大きく変わる。また、坪単価で価格を決定する、坪数に関係なく最低料金を設定している、自社職人の有無など、どんな業者と付き合うかによっても費用は異なるだろう。

「店舗設計施工費の総額」を考える際に大事なことは、「安く済ませよう」「他店はこれくらいかけているから…」よりも、予算の上限をきちんと決めておくことだろう。開店後の運転資金を確保できるのはもちろんのこと、予算を決めておいた方が業者との信頼関係を築きやすく、提案を多くもらうことができ、納得のいく結果になることが多いためだ。

さらに「店舗設計にかけた費用」も尋ねた。上位は、「1～20万円（24.6％）」、「21万円～50万円（15.3％）」、「51万円～100万円（15.3％）」となった。


13.6％は店舗設計に費用は「かかっていない」と回答した。一般的には、「店舗設計費用」と「施工費用」を合わせて「総額」とする。店舗設計費用は、業者が依頼者の立場になり十分に店舗づくりを考えてもらうために必要なものであり、店舗設計の段階をしっかり踏んではじめて店舗の詳細が見えてくる。

そして、詳細が見えるので、専門家である業者の説明を理解できるし、さらに相談をすることもできる。稀に「設計費用は必要ナシ」と謳う業者があるが、これは、かかっていないのではなく、施工費用と合算されているだけだと考えられる。後々トラブルに発展しかねない。費用の体系で気になることがあれば、事前に確認すべきだ。

最後に、「店舗物件をどのように見つけたか」質問をした。「知り合いの紹介」が最も多く、34.3％を占めた。「知り合い」の紹介に、信頼や縁を感じたと考えられる。


以下、「インターネット（31.7％）」、「近所の不動産会社（31.7％）」という結果になった。インターネットには「時間を有効に使える」「条件を重視できる」といった利点がある。近所の不動産会社には、その街の事情に詳しいという強みがあり、店舗探しには心強い存在になる。

この質問には複数回答があった。やはり、方法を限定せずに、物件との出会いの可能性を広げておくのがいいだろう。

店舗設計を進める際、見積りを数社とるのは一般的なことといえる。数字が出たら、アンケート調査結果の数字と比べ、大きなズレがないかどうかぜひ確かめてみよう。信頼できるパートナーと店舗設計を進めて、開店への大きな1歩としてほしい。