飲食店の6割が「月200時間超」労働。従業員はホワイト、経営者はブラック?「隠れ残業」解消のカギはIT・DXにあり
1月30日
画像素材:PIXTA
今回、飲食店ドットコムでは、飲食店経営者・運営者286名を対象にアンケートを実施。そこから見えてきたのは、従業員の労働環境改善が進む一方で、そのしわ寄せをカバーするために長時間労働を余儀なくされる経営者の姿と、効率化を阻む「アナログ管理」の実態だった。
<本調査について>
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)回答数:286
調査期間:2025年12月25日 ~ 2026年1月5日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち64.3%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は49%(首都圏の飲食店の割合は64.7%)であった。さらに、全体の55.2%が従業員5名未満の店舗であり、こうした背景が結果に影響していると推測される。<調査結果について>
従業員は「適正化」が進む一方、オーナーの6割が「月200時間超」の過重労働
はじめに、店舗における労働時間の実態について尋ねた。従業員(正社員)の平均的な月間総労働時間については、「160時間未満(35.3%)」と「200時間以上(30.1%)」に回答が分かれたものの、一定数が法定労働時間内(概ね160〜170時間)またはそれに近い水準に収まっていることがわかる。
一方、回答者自身(経営者・店長)の労働時間を見ると状況は一変する。「200時間以上」と回答した割合は60.8%に達し、従業員の割合(30.1%)の約2倍となった。
「働き方改革」や人手不足への対応として、従業員の労働環境改善に取り組む店舗は多い。しかし、その裏側では、シフトの穴埋めや管理業務などで経営者自身が長時間労働を強いられ、現場を支えている構図が浮き彫りとなった。削減したい業務は「雑務」と「数値管理」。アナログ管理が負担の要因か
では、経営者はどのような業務に追われているのか。「本来はもっと時間を減らしたい」と感じている業務領域を聞いたところ、最も多かったのは「清掃・雑務(51.7%)」であった。次いで、「売上・経費の集計/分析(31.5%)」、「シフト作成・勤怠管理(26.2%)」、「在庫管理・発注業務(23.8%)」と続く。
清掃などのフィジカルな業務は削減が難しい側面もあるが、数値管理や事務作業は仕組み化による削減の余地が大きい領域だ。しかし、これらの業務はいまだにアナログな手法で行われていることが多いようだ。「シフト作成」「発注」はいまだ“紙・エクセル”が主流。IT活用は道半ば
事務・管理業務の具体的な手法について尋ねた結果を見てみよう。「シフト作成・勤怠管理」においては、「Excel/スプレッドシート(36.7%)」と「紙やホワイトボード(26.6%)」が主流で、「専用のITツール」の利用は14.0%にとどまった。
同様に、「在庫管理・発注業務」でも「紙やホワイトボード(35.7%)」が最多となり、ITツールの導入率は29.0%であった。
一方で、「売上・経費の集計/分析」に関しては、「専用のITツール(41.6%)」と「Excel/スプレッドシート(44.8%)」が拮抗している。
POSレジの普及などで売上管理のデジタル化は進んでいるものの、シフト管理や発注といった日々のオペレーション業務では、依然としてアナログ管理が根強く残っていることが明らかになった。デジタル化の壁は「コスト」。浮いた時間は「集客」「接客」などの“攻め”に使いたい
こうしたアナログ管理の負担は、経営者の私生活をも浸食している。事務作業を行う場所・時間を聞いたところ、「営業中のアイドルタイム(69.9%)」に次いで、「帰宅後や休日(47.6%)」、「営業終了後の深夜(43.4%)」という回答が多く挙がった。
また、休日や深夜に従業員からの連絡に対応することがあるかという問いには、約35%が「毎日〜週数回発生する」と回答している。店舗にいなくとも業務から離れられない「隠れた長時間労働」が常態化していると言えるだろう。
こうした現状に対し、過半数の経営者が「人手不足・長時間労働の解決にIT/DXは重要(ある程度含む)」と認識している。しかし、導入の最大の障壁となっているのは「導入コストが高い(51.0%)」ことだ。原材料費の高騰(Q13で51.0%が課題と回答)が経営を圧迫する中、新たなコスト増には慎重にならざるを得ない実情がある。
それでも、もし業務効率化によって時間が削減できたならば、その時間を「販促・集客活動の強化(24.1%)」や「顧客へのサービス向上(20.6%)」、「経営戦略の策定(16.8%)」など、売上を作るための“攻め”の業務に投資したいと多くの経営者が考えている。
今後3年で最も深刻化すると予想される課題として「原材料費の高騰」や「人件費の高騰」が挙げられる中、ITツールに求められる機能も「ランニングコストの低さ(37.4%)」が「操作性の簡便さ(26.9%)」を上回って1位となった。コストを抑えつつ、事務作業という「守り」の時間を減らし、集客やサービスという「攻め」の時間に変えていく。飲食店が生き残るためには、この転換を低コストで実現できるDXツールの選定と活用が、今後ますます重要になってくるだろう。
飲食店経営者が集う「飲食店リサーチ」
アンケート調査結果が見れる!店舗経営に役立つ!
最近のアンケート調査結果
- 食料品消費税ゼロ化について (2026/02/03)
- 月例アンケート:2025年12月の経営状況は? (2026/01/15)
- カテゴリ
- 飲食店経営に関する調査レポート
- その他
- 新着記事
新着記事一覧へ
飲食店リサーチマガジンについて
『飲食店リサーチ』で実施した調査によって得られたデータなど、『飲食店ドットコム』が保有するデータに対し様々な考察を加えて記事を作成。飲食店の経営に役立つ情報を毎月定期配信しています。


