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【10月】飲食店の売上動向調査。約4割が19年比で「減収・減益」の一方、回復の兆しも

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画像素材:PIXTA

2022年10月はアルコールや調味料、また公共料金に最低賃金など、引き続きあらゆるものが値上げされた。一方で新型コロナウイルスへの警戒感が薄れつつあったなか、全国旅行支援などの影響で人の動きが活発化。さらに水際対策の大幅緩和で、およそ3年ぶりに外国人観光客が国内を訪れた。

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こうした状況で、飲食店経営はどのような影響を受けただろう。弊社の調査サービスである「飲食店リサーチ」が行った、2022年10月の売上動向に関するアンケート調査結果から読み解いていく。

■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:379名
調査期間:2022年11月22日~2022年11月29日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち72.8%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は47.5%(首都圏の飲食店の割合は70.7%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

売上高は徐々に回復へ。コロナ禍以前を超えた飲食店は28.2%

2022年10月の売上に関して、新型コロナの影響がなかった2019年同月と比べて尋ねると、最多は「70%」との回答で17.2%。一方で、「100%以上」と回答した飲食店は28.2%に上った。9月の同調査データと比較すると、7.8%の上昇がみられる。

次に、2019年同月と比較した10月の売上と利益について尋ねたところ、「減収・減益」と答えた回答が39.3%と、全体のボリュームゾーンだった。一方で、続く回答としては「増収・増益」が12.9%、「減収・増益」が11.1%と、増益だったとの答えが他よりもわずかに多い。あらゆる仕入れが値上がりとなった10月、価格転嫁で利益率を確保できたか否かによって、結果が二極化している可能性がある。

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続く人手不足と価格高騰の実感。比例して高まるDX導入への意識

現状の課題や悩みについて尋ねると、コロナ禍への憂いや不安の声は少ない。むしろアフターコロナに向けた、次の課題に対する悩みが中心だった。以下では今回の調査で特に顕著だった課題について、いくつかピックアップして紹介する。

■アフターコロナにおける売上作りや集客策
・コロナ収束後の集客・売上拡大をどうするか(東京都/居酒屋・ダイニング/1店舗)
・コロナ後の社会変容への対応(大阪府/イタリア料理/2店舗)
・集客、来店率をコロナ以前に戻すには、どうのような集客方法があるのか考察中(神奈川県/カフェ/1店舗)

■人手が足りない。何らかのスキルを持つ人材が欲しい
・とにかく人手不足(東京都/寿司/1店舗)
・調理ができる社員の確保(東京都/居酒屋・ダイニング/1店舗)
・デジタルに強い人材の獲得(広島県/そば・うどん/6〜10店舗)

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■仕入れ価格高騰による利益率の減少と価格転嫁への葛藤
・原材料費の高騰で利益が減少しているが、安易に販売価格に上乗せはできない(石川県/その他/1店舗)
・経費高騰による利益の確保が課題ですが、単純に値上げをしたところで実際に消費者の感覚はまだ追いついていない状況にあると思います(神奈川県/イタリア料理/1店舗)

■DX導入で経営の効率化を図りたい
・セルフレジでキャッシュレスにしたい。時給1,200円のため、できるだけ効率的に人を使いたいから(神奈川県/お弁当・お惣菜・デリ)/1店舗
・インターネットでの販売を増やしたいと思っている。店舗を増やすと家賃や人件費が大変なので(東京都/テイクアウト/2店舗)
・在庫管理や発注業務をデジタルツールで業務効率化を図りたい(東京都/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)

インフレや円安などの経済危機、慢性化した人手不足は、相変わらず飲食店の経営を苦しめている。今後は、コロナ禍を経て大きく変化した消費者意識にいかに対応していくかが、飲食店経営者の共通課題になるだろう。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。