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2021年の外食売上、“コロナ禍元年”よりさらに市場縮小。「居酒屋」は前年比42%減

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画像素材:PIXTA

日本フードサービス協会が、2021年の外食産業市場動向調査の結果を発表した。全体の売上高は前年比1.4%減と持ち堪えたが、一昨年比では 16.8%減と市場規模は縮小が続いた。感染症対策のために10月まで営業制限を受け、飲酒業態の多くが休業に追い込まれ、特にパブレストラン・居酒屋は深刻な打撃を受けた。

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パブレストラン・居酒屋は苦戦。一方、ファストフードは好調を維持

2021年の1月に2回目の「緊急事態宣言」が、4月以降は「まん延防止等重点措置」等の規制が政府・各自治体から発令された。これにより、時短など営業制限が10月まで続いた。特に「酒類提供の制限・禁止」の要請の影響は大きく、制限期間中、飲酒業態の多くが休業。「パブレストラン・居酒屋」の売上は2020年比で 42.2%減、コロナ前の 2019 年比では 72.8%減と落ち込みが顕著にあらわれた。10月後半からの制限解除後を含む第4四半期では夜の需要が戻らず、厳しい状況が続いた。

一方「ファストフード」は、業態の強みであるテイクアウト・デリバリーの需要に支えられ、2020年比4.8%増と好調。2019年比でも1.8%増で、全業態の中で唯一コロナ前を上回った。特に伸びたのはハンバーガーショップなど「洋風」で9.3%増。「持ち帰り弁当/回転寿司」も3.9%増と堅調だった。

なお、業態別では「ファミリーレストラン」が8.2%減、「ディナーレストラン」は10.1%減、「喫茶」は0.1%増だった。

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店舗数は3.6%減、客数は2%減

店舗数は、全体にコロナの影響が出て3.6%減だった。2度目の緊急事態宣言が1月、3度目は4月に発令されたため、一年間のうち前半の減少幅が大きかった。特に制限に苦しんだ「パブレストラン・居酒屋」では、2度目の緊急事態宣言時の第1四半期、3度目の第2四半期で減少幅が15%前後と大きかった。2020年比では13.3%減で、全業態の中で「パブレストラン・居酒屋」だけが10%以上の減少率となった。

客数全体は第2四半期で大きく伸びた。これは対比の2020年4月に1回目の緊急事態が発令されたためで客数が伸びたとは捉えられない。「パブレストラン・居酒屋」の客数は営業制限の有無に影響されたため、増減幅が非常に大きかった。

2年目のコロナ禍となった2021年。緩急はあったものの、長引く営業制限が響き、市場の縮小が続いた。一方でファストフードが2年ぶりに前年売上を上回ったことは、テイクアウト・デリバリーがコロナ禍で重要な取り組みであることを改めて示した。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」