スタッフを正しく評価しよう！ 飲食店スタッフの評価制度のつくり方と導入のメリット

スタッフの評価制度を整える最大の目的は、給与額の決定や昇給の基準を明確にすることです。もし、その基準が曖昧だと、従業員の間に不公平感が生まれてしまうことがあります。
たとえば、能力がほとんど変わらず同じ仕事をしているAさんとBさんで、Bさんだけ時給が高い、といったことも起こってしまいます。Aさんがそのことを不公平に感じ、モチベーションに影響することもあるでしょう。下手をすると、より能力を評価してくれる職場へ移ってしまうこともありえます。


このような事態を防ぐためにも、きちんと評価制度を整えておくことが大切です。スタッフ自身に「給料を上げるために必要なこと」（=給料を上げる方法）を理解してもらえますし、モチベーションアップにもつながります。また、スタッフの満足度が上がれば、離職防止や定着率のアップにつながります。求人広告を出す際には、店のアピールポイントの一つにもできるでしょう。

また、評価制度を整えるメリットはスタッフのモチベーションアップだけではありません。スタッフ一人ひとりのできることとできないことを本人や周囲が明確に把握することで、それぞれの足りないところや伸ばすべきところがわかります。課題がはっきりすれば、スタッフの成長速度も上がり、店舗のサービス向上にもつながるでしょう。

「評価制度を整えるにあたって何をしたらいいのか分からない」という人も多いと思います。ここでは評価制度の作り方をポイントごとに紹介します。

■評価シートを作成する

評価制度のカギとなるのが「評価シート」です。
評価シートは従業員の能力レベルや次のレベルに必要なことを具体的に把握することができるツールです。
評価シートを作る際は、例えばスキル編と仕事に対する姿勢（メンタル）編に分けて評価のチェック項目を作り、一覧にまとめてみましょう。
スキル編であれば「お客様を禁煙席・喫煙席などのご要望に応じながら順番どおりに席に案内できる」「オーダー業務の際にお勧めメニューを言える」など、姿勢編であれば「遅刻をしない」「指示に対して迅速な行動ができる」などが考えられます。

加えて、評価シートに沿いながら評価するためにも、できるだけ要素を細かく切り出してみましょう。さらに、〇か×、もしくは、〇か×か△などシンプルに評価できるようにするとわかりやすいでしょう。
（社員とアルバイトがいる場合は仕事内容にも差があるので、それぞれに作成しましょう。）

ちなみに厚生労働省のHPには、人材育成に有効なチェック形式の評価シート「職業能力評価シート」があり、無料でダウンロードが可能です。業種ごとに分かれており外食産業用のものもあるので、初めて作成する場合には参考にしてみると良いでしょう。また、評価シートはまず従業員に自己評価をしてもらい、その後に店長や社員が評価をすると、フィードバックしやすくなります。

職業能力評価シート（外食産業）

■昇給について明確にする

アルバイトの場合は時給の下限と上限を決めたうえで、チェックシートの評価をレベル分けし、時給と連動させておくとわかりやすくなります。社員の場合は、役職などによっても給与が異なるため、別に基準を作成しましょう。

■社内や店舗内できちんと周知しておく

評価する人が複数いる場合は、人によって評価の基準が異ならないように注意が必要です。評価をする側で評価基準をしっかりと擦り合わせておきましょう。さらに評価される側の社員やアルバイトには、仕事を正当に評価して給与アップなどにつなげるための制度であり、ダメ出しをするためのものではないことを共有しておくとスムーズです。

長く働いてもらうには、きちんとした評価制度を準備することが大切。導入していない店舗は、この機会に評価制度を検討してみてはいかがでしょうか。


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