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「転職ガチャ失敗」と言われやすいのはこんな職場
「転職ガチャ」が「ハズレ」とされるのは、採用者と飲食店側のミスマッチが起こっているとき、つまり採用者の希望が満たされなかったときです。具体的に、希望していた職種につけなかった、遠方の系列店に配属された、働いてみたら想定よりも仕事を休みにくかったといった場合は、採用者が「転職ガチャ失敗」だと思う可能性が高くなります。
また、内定から入社までの期間が長すぎるのも、入社後の「転職ガチャ失敗」という感情を呼び起こす一つの原因になります。実際に働くまでに期間が空くと、期待や不安が膨らみ過ぎてしまい、働き始めてから知る現実とのギャップで「こんなはずではなかった」と感じやすくなるのです。
店側と採用者の重視するポイントには差が生まれやすい
「転職ガチャ失敗」、つまり採用のミスマッチを防ぐために、飲食店側は採用活動において自社・店舗の紹介に力を入れる傾向があります。例えば、求人広告で店舗の魅力を語るのに力を注いだり、企業理念の説明に文字数を割いたりしている企業も少なくないでしょう。しかし、2023年11月30日に株式会社リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター(JBRC)』が発表した「 求職者の動向・意識調査 」の結果からは、企業側の想定とは異なる採用者の実態が見えてきます。
「求職者が仕事探しで絶対条件としていたもの」という質問では、「勤務日数(58.5%)」「勤務地(54.5%)」「勤務時間帯(50.4%)」といった働き方関連の回答が上位に挙がる結果に。以下「仕事内容(職種)(44.1%)」「職場の雰囲気」と続きます。
一方、企業側が求人広告でアピールしがちな「給与(36.6%)」「福利厚生(22.6%)」といったポイントは、それほど重視されていません。「会社の理念・ビジョン」を重視して職場を選ぶ人はたった9.3%に過ぎず、採用者の意識との「ズレ」が感じられます。
企業理念はわかりやすく伝える
「採用者にとっては理想の働き方が叶うことが重要であり、企業理念等を重視して職場を選ぶ人は少ない」という点については理解できたでしょう。とはいえ、やはり「自社・自店の理念に共感してくれる人を採用したい」と思うものではないでしょうか。企業理念を深く理解し、自社に愛着を持って働いてくれる人材は、意欲的なうえ、長く定着してくれる可能性も高いからです。採用の段階で企業理念を十分に理解してもらうには、企業側から求職者に歩み寄る必要があります。そもそも、企業理念は抽象的な概念であることが多く、簡単にはイメージを掴みづらいもの。求人広告に企業のミッションやビジョンを表す言葉をそのまま載せるだけでは、見た人にはうまく伝わっていない可能性が高いのです。
求人広告に企業理念を載せたいときは、具体的でわかりやすい言葉で説明した文章を添えましょう。また、採用面接時にも、そのままの言葉ではなく、嚙み砕いた言葉で伝えることが肝心です。
勤務日数、勤務地、勤務時間帯といった働き方の面で採用者の希望を裏切らないことは大前提で、企業側が伝え方を工夫し、採用者が企業理念を理解したうえで入社できるようにすれば、採用のミスマッチはグッと減るはずです。「転職ガチャ失敗」を引き起こさないために、ぜひ意識してみてください。
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