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雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、景気の変動などの経済的事情により事業の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を休業や出向、教育訓練の受講などさせることにより雇用を維持した場合に支給される助成金です。正社員はもちろん、パート・アルバイトの従業員にも適用されます。新型コロナウイルスの発生後によく目にするようになりましたが、以前からある制度です。まずは、新型コロナウイルス発生前の雇用調整助成金の制度について解説します。
雇用調整助成金を受けるには条件があります。雇用保険適用事業主であること、直近の3カ月の生産量や売上が前年同期と比べ10%以上減っていることが必須です。また、対象となる従業員も雇用保険被保険者であることや、申請するには事前にどのくらいの期間、何人の従業員を休業させるかなどの計画書の提出が求められています。
雇用調整助成金で支給されるのは、休業・教育訓練・出向、いずれの場合も、中小企業は支給賃金の2/3、大企業は1/2の金額。ただし、雇用保険基本手当日額の最高額8,335円もしくは、雇用保険基本手当日額の最高額×330/365で算出される金額が1日の上限額です。
加えて、教育訓練を行なった場合には従業員1人に対し1日1,200円が加算されます。ちなみに、会社都合で従業員を休業させる場合には、賃金平均の6割を支払うことが法律で定められていますので、中小企業なら、6割の賃金のうちの2/3を雇用調整助成金で負担してもらえるということになります。
新型コロナウイルス特例措置の内容
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス発生前からある制度ですが、新型コロナウイルス発生期間に関しては、以下のような条件の緩和など様々な特例措置がなされてきました。・計画書の事後提出を認める
・直近1か月の売上の前年比5%以上低下で申請が可能
・雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める
などです。
さらに、令和2年6月には、従業員1人あたりの1日の支給額の上限8,330円が15,000円に、解雇などを行わない企業は助成の割合が10割に拡大されるなどの拡充もなされていました。
延長される特例措置の条件や内容は?
長引くコロナ禍により、雇用調整助成金の新型コロナウイルスの特例措置自体も延長され、令和3年7月末まで適用されることになっています。新型コロナウィルスの特例措置は、時期により条件や支給内容が若干異なることがあります。令和3年6月現在、支給の条件に関しては前述した通りで変わりませんが、支給額は以下の通り。令和3年4月より、緊急事態宣言下地域や事業状況が厳しい事業主と、そうでない場合とで支給額が若干異なっています。
■中小企業
支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は9/10)、上限13,500円※支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は10/10)、上限15,000円
■大企業
支給賃金の2/3(解雇など行わない場合は3/4)、上限13,500円※支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は10/10)、上限15,000円
※緊急事態宣言下やまん延防止等重点措置など実施地域において時短要請などに応じる事業主、もしくは、最近3カ月の生産指標の平均が前年度、もしくは前々年度と比べ30%以上減少の全国の事業主
手続きの流れ・注意点
雇用調整助成金の手続きの申請用紙や必要な書類は厚生労働省のHPよりダウンロード、及び確認ができます。提出先は、事業所の住所を管轄する労働局またはハローワークです。郵送の提出も可能ですが、郵送事故防止のため、簡易書留など配達の記録が残る方法で郵送しましょう。また、申請には期限があり、「支給対象期間」の最終日の翌日から起算して2か月以内なので注意しましょう。飲食業界専門の求人サイト『 求人@飲食店.COM 』では、飲食業界の求人/採用に役立つコラムなどをご紹介しています。求人募集や採用に関するご相談などもお気軽に お問い合わせください。
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