飲食店におけるSDGsの取り組みを調査。 フードロス対策や節電など可能な限りで対応

2022年9月16日

画像素材:PIXTA
17の目標と169のターゲットからなる「SDGs(持続可能な開発目標)」。昨今、さまざまな動きがあるが、食品やプラスチックごみの廃棄といった、飲食店にとって身近な課題の解決もSDGsの取り組みだ。 そこで今回は、飲食店経営者や運営者に対し、フードロスやプラスチックごみの削減、節電の取り組みなど、飲食店におけるSDGsについてアンケートを実施。今回はその結果を紹介していく。

<本調査について>

■調査概要

調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:445名
調査期間:2022年8月2日~2022年8月5日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち69.2%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は51.7%(首都圏の飲食店の割合は68.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>

飲食店のフードロス対策、複数の工夫を行う店舗が多数


まず、店舗で一番多いフードロス事案を尋ねたところ、最も多かったのが「フードロスをあまり感じていない(25.6%)」との回答。これに、「皮・へた・芯などの野菜くず(23.8%)」、「お客さまの食べ残し(19.3%)」、「作りすぎによる、保存不可の調理済み食品(14.4%)」、「買いすぎによる、期限切れの余剰食材(13.7%)」との回答が続く。
続いて、フードロスを防ぐための工夫について聞いたところ、半数以上の人が「食材の仕入れ量を最小にする(54.8%)」と回答し、最多に。続く「無駄な食材が出にくいメニューの開発(47.0%)」、「冷凍保存(44.9%)」、「冷蔵冷凍庫、食材保存庫の整理整頓(44.3%)」、「先入れ先出しの徹底(43.1%)」との回答もそれぞれ4割を超える店舗が実施している。また、回答者のうち約7割は、2つ以上の工夫を組み合わせて行っており、フードロス削減の意識が高いことがうかがえる。

毎日節電している飲食店は37.5%、エアコンの温度設定などを調整

近年電力不足が問題となっており、本アンケートの調査期間中である8月2日~8月5日も政府の節電要請期間(7月1日~9月30日)に含まれている。そうしたなか、店舗の節電状況を聞いたところ、37.5%が「毎日節電している」と回答。さらに15.7%が「日によって節電している」と回答しており、5割を超える店舗が何らかの節電を行っていることが明らかとなった。
続いて、「毎日節電している」または「日によって節電している」と回答した方に、具体的な節電内容について尋ねたところ、「エアコンの設定温度の調整」や「こまめな電源管理」を行っているという声が多く聞かれた。ほかにもさまざまな工夫を行っている飲食店がいるため、以下にいくつか紹介する。

エアコンの節電、温度設定調整やフィルター掃除など
  • 気温を見て、エアコンの温度を決めている(神奈川県/カフェ/1店舗)
  • エアコンの設定温度の調整と、こまめなフィルターの清掃(石川県/その他/1店舗)
  • 客入りに応じてエアコンの稼働台数を調整しています(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

こまめな電源管理で消費電力を抑える
  • 使ってないところはコンセントごと抜くようにしている。こまめな電気の消灯(東京都/イタリア料理/1店舗)
  • 使用設備を長時間使用しないときは電源を落とす(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 調光付きの照明は明るさを抑えて調整し、アイドルタイム中はエアコン・電気など必要最低限の電気を使うように心がけている(東京都/フランス料理/2店舗)

省エネ効果の高いLEDや家電の使用
  • 電球をLEDにかえる(東京都/イタリア料理/3~5店舗)
  • 照明は全てLED。エアコンは節電機能付き(熊本県/バー/1店舗)
  • エアコンを使用電力の少ない物に変え、エコモードで使用(愛知県/カフェ/1店舗)

飲食店のプラごみ削減、仕入れから意識している店舗も

プラスチックごみの問題は、海洋汚染につながるとされ、SDGsとの関わりも深い。本アンケートではまず、店舗におけるプラスチック製カトラリー(特定プラスチック使用製品に指定される、プラスチック製のフォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー)の提供状況を聞いた。すると、最も多かったのは「もともと提供していない(60.9%)」との回答。「過去1年以内に提供をやめた」との回答も1.6%あり、約6割の店舗が提供していないことがわかった。
提供している店舗は少数派で、「必要性に応じて無料で提供している」との回答が33.3%、「過去1年以内に代替素材に変えて提供している」との回答が2.2%、「有料で提供している(販売価格に含む)」との回答が2.0%となっている。なお、代替素材の切り替えについては、「飲料用ストローを紙製にしたら不評だった」、「安ければ使用したい」との声も寄せられており、飲食店の複雑な胸中が明らかとなっている。

最後に、プラスチックごみを出さない工夫について尋ねたところ、「そもそもプラスチック製品の購入を控える」や「代替素材へ切り替える」など、さまざまな工夫が寄せられた。以下にいくつかをピックアップして紹介する。

プラスチック製品の使用・購入を控える
  • プラスチックごみの出る物を仕入れない。なるべくゴミを出さないように、仕入れしている(東京都/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
  • 購入時にプラスチック製品を避ける(東京都/フランス料理/1店舗)

プラスチックではなく、木や紙の製品を使う
  • テイクアウトは、木製ナイフやフォーク、紙袋、紙カップなど使っている(東京都/テイクアウト/2店舗)
  • 変更できる物からプラスチック製を代替品に変更している(千葉県/カフェ/1店舗)

仕入れ業者に最低限の梱包を依頼
  • もともと仕入れないことや、業者さんにも最低限の包装梱包をお願いしています(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
  • 肉、魚、野菜はそれぞれの専門店へ行き、簡単な包装で済ませてもらうようにしている(熊本県/バー/1店舗)

詰め替えできる製品を使用
  • ペットボトルでの調味料を一斗缶に変え、瓶に小分けして使用している(大阪府/そば・うどん/1店舗)
  • 調味料や洗剤類は業務用を購入して詰め替え(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

プラスチック製のカトラリーや袋は、お客さまに意思確認する
  • ビニール袋の提供(お客さまが料理や雑貨のお持ち帰りしたい場合)は、お客さまにうかがいながら極力控えさせて頂いております(神奈川県/イタリア料理/1店舗)
  • お客さまに必要かどうかを聞いて、必要な人にだけお渡ししている(愛知県/カフェ/1店舗)

今回のアンケートでは、多くの店舗が可能な範囲でSDGsに取り組んでいる様子がうかがえた。今回は、フードロスや節電、プラスチックごみの問題を中心に扱ったが、ほかにもフェアトレードやMSC/ASC認証の食材を使ったメニューの提供、働き方の見直しなども、飲食店ができるSDGsの取り組みだ。まずは、自店でできることから意識してみてはどうだろうか。

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