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雇用調整助成金の新型コロナによる特例措置などの現状
雇用調整助成金は、景気の変動などの経済的事情により、企業が従業員に休業・教育訓練・出向などをさせて雇用の維持をする場合に休業手当の一部を助成する制度です。さらにコロナ禍では対象条件の緩和や支給金額の割合拡大などの特例措置がなされています。大手企業も積極的に利用しており失業を防ぐ役割を果たす一方で、昨年3月からの助成金の支給決定件数は累計で約400万件に達しました。支給総額は膨らみ、財源がひっ迫してきています。しかしながら、緊急事態宣言が今夏まで延長されたため、雇用調整助成金の特例措置は対象期間が延長となり、令和2年4月1日から令和4年3月までとなりました。
令和3年5月から12月末までを判定基礎期間とする雇用調整助成金の支給額は以下の通りです。
■中小企業
支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は9/10)、上限13,500円※支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は10/10)、上限15,000円
■大企業
支給賃金の2/3(解雇など行わない場合は3/4)、上限13,500円※支給賃金の4/5(解雇など行わない場合は10/10)、上限15,000円
※緊急事態宣言下やまん延防止等重点措置など実施地域において時短要請などに応じる事業主。もしくは、最近3カ月の生産指標の平均が前年度や前々年度と比べ30%以上減少している全国の事業主
雇用調整助成金は通常、雇用保険の被保険者を対象としていますが、新型コロナウィルスによる特例措置として、雇用保険に加入していない従業員も「緊急雇用安定助成金」として、同じように助成金が受けられるようになっています。
コロナ禍で活用したい雇用関連の助成金
雇用調整助成金の他、雇用に関する助成金や給付金は、以下のようなものがあります。■新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症の影響によって事業主から休業させられたり、勤務時間を削減されたりした従業員が申請できる給付金です。シフト削減を含む休業手当は企業が雇用調整助成金を活用するのが基本ですが、企業から休業手当が支払われない、もしくは企業が支払い困難といった場合に、従業員自らが申請できる制度です。この制度を従業員が申請する場合には、事業主は休業の事実について確認するための書類の作成などの協力を行う必要があります。ただし休業手当の支払義務など金銭的な負担はありません。何らかの事情で雇用調整助成金の申請や休業手当の支払いが困難な場合などに備え従業員に周知しておくと良いでしょう。
■産業雇用安定助成金
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、出向に要した賃金や経費の一部を助成する制度です。支給される助成金は以下の通りです。・出向運営経費
労働者の解雇などを行っていない場合
中小企業9/10
中小企業以外3/4
出向元が労働者の解雇などを行っている場合
中小企業4/5
中小企業以外2/3
※いずれも上限額12,000円/日(出向元・先の計)
・出向初期経費
助成額各10万円/1人当たり
助成額は出向元・先の計。諸条件を満たす場合は5万円加算される場合あり。
雇用調整助成金の利用率はそれほど高くない
「飲食店.COM」会員を対象に行った、コロナ禍の飲食店に対する財政支援と資金繰りの状況についてのアンケート(2021年8月実施)では、雇用調整助成金を利用した企業は「42.7%」でした。意外にも雇用調整助成金の活用率はそれほど高くありませんでした。雇用調整助成金はアルバイトのシフト削減や時短勤務などの場合でも申請できますし、前述したように雇用保険に加入していない従業員も緊急雇用安定助成金として申請できます。今後の経営のためにも受けられる助成は受けておきたいものです。まだ利用していない場合はぜひ確認してみましょう。飲食業界専門の求人サイト『 求人@飲食店.COM 』では、飲食業界の求人/採用に役立つコラムなどをご紹介しています。求人募集や採用に関するご相談などもお気軽に お問い合わせください。
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