「来店効果を実感した」最多はインスタ・Googleビジネス。飲食店の集客事情を調査。

2023年2月27日

画像素材:PIXTA
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく変化したライフスタイルは、外食需要の低下をもたらした。現在も国内の感染状況は一進一退を繰り返しているが、政府は新型コロナの感染法上の扱いを「5類」に引き下げると発表。本格的なウィズコロナの社会が動き出しつつある。こうしたなか、改めて集客に力を入れる飲食店も少なくないだろう。そこで今回は、飲食店経営者や運営者に対し、集客の現状に関するアンケートを実施。リアルな声をお届けしていく。

<本調査について>

■調査概要

調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:396名
調査期間:2022年12月26日~2023年1月10日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち69.7%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.3%(首都圏の飲食店の割合は67.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>

12月の来店客数、48%の飲食店が増加を実感


始めに、2022年12月の来店客数を、2021年12月と比較してもらい、どのような変化があったか尋ねたところ、「2021年12月より増えた」との回答は48%と、半数近くが客数増加を実感しているようだ。一方で、「2021年12月より減った(32.7%)」との回答も3割を超えるなど、集客に苦労している店舗も決して少なくない。
次に、2022年12月の来店客に関して、2021年12月と比べて、特に来店が増えたグループ(1組あたりの客数)と減ったグループを答えてもらった。まず、来店が増えたグループをみると、最多となったのは「2人(34.8%)」との回答。以降、「3~5人(34.3%)」、「特に増えたグループはない(21.7%)」、「1人(18.9%)」と続き、少人数での来店増加が目立つ。
対して、減ったグループでは「特に減ったグループはない(29.5%)」が最多となったが、次いで、「6~10人(27.5%)」、「3~5人(21.5%)」、「11人以上(17.4%)」との回答が続いており、大人数のグループ客の来店減少が見て取れる。2022年12月当時、行動制限は出ていなかったものの、感染拡大が懸念されており、少人数客の来店が増える一方、大人数での食事を控える動きが出たとみられる。

水際対策緩和後、インバウンド需要が回復した店舗も


2022年10月11日に新型コロナの水際対策が大幅に緩和された。そこで、水際対策緩和以降、外国人客数に変化があったかを尋ねると、61.9%が「変わらない」と回答し、多くの店舗で変化がみられなかったことが分かった。一方で、全体をみると「増えた」が10.1%、「やや増えた」が21.7%と、31.8%が「概ね増えた」と回答しており、一定数の飲食店においては影響があった様子も見て取れる。
続いて、2022年10月11日に始まった「全国旅行支援」について、開始後に来店客数の増加を実感したか尋ねたところ、「効果を感じない(対象外、加盟店ではない場合も含む)」との回答が77.3%で最多となった。「概ね効果があった」(やや効果があった=17.4%、効果があった=5.3%)との回答は、22.7%にとどまり、全国旅行支援における飲食店への効果は一部の店舗に限られたようだ。
また、2022年10月以降、各地で順次再開された「Go Toイート」の来店客数の増加効果を尋ねると、「効果があった」との回答は、6.8%。「やや効果があった(25.5%)」との回答と合わせても、32.3%の店舗にとどまる結果となった。対して、35.6%は「効果を感じない」、32.1%は「対象外、加盟店ではない」と、効果を得られていない店舗の方が多い。
さらに、現在、活用している集客手段のうち、最も効果を感じている集客手段を答えてもらったところ、最多は、「Googleビジネスプロフィール(41.7%)」と「Instagram(41.7%)」との回答で同率。また以降、「グルメ予約サイト(36.1%)」、「自社ホームページ(25.5%)」、「Facebook(19.9%)」と続いており、デジタルツールによる集客手段が上位を占める結果となった。

夜間入店・団体客が減少。 SNSの積極的な発信で顧客を獲得する店舗も


最後に、集客に関しての悩みや課題、また工夫していることを尋ねた。悩みについては、「団体客や夜の需要が減少している」との声が多く上がったほか、「時期による客数の偏り」や「SNSの運用」に課題を感じている店舗もみられた。以下に、実際にいくつかの回答を抜粋して紹介する。

■人員不足で充分な集客ができない

  • 社員が少なく、食べログなど飲食店サイトをリニューアルしたり、更新したりすることができない(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
  • 人員不足で創意工夫している暇や時間がない(東京都/イタリア料理/3~5店舗)

■夜間や団体客の需要減が深刻

  • 宴会需要がほぼなくなったり、忘年会が小規模になったりして、売上が取れない。メニューを変えて、利用しやすいようにはしたものの効果なし(秋田県/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)
  • 時短要請が終わった後も夜の集客が引き続き弱い(東京都/ラーメン/3~5店舗)
  • 多人数でのグループが減り、少人数の組で席が埋まり、総客数が稼げない(大阪府/そば・うどん/1店舗)

■SNSの運用が上手くできていない

  • SNSの更新作業が難点、予約投稿などを積極的に利用中(大阪府/専門料理/1店舗)
  • 若年層をターゲットとしているが、SNSの効果的な運用ができていないので改善したい(東京都/カフェ/1店舗)

■時期による集客の偏りを改善したい

  • 商品の特性もあるが、繁忙期と閑散期の差が激しい。年間通じて集客ができるようになりたい(東京都/和食/1店舗)
  • 混み合う日とそう出ない日の対比が酷く、混み合う日はお断りせざるを得ないお客様もいるのが、申し訳ない(神奈川県/バー/1店舗)

■その他

  • お金をかけずにできる集客方法を模索中(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 集客方法の選択肢がここ数年でかなり多様化したが、費用対効果が分かりにくいので投資がしにくいように思う。自店に合った方法の選び方をどう考えたらよいか非常に難しい(東京都/カフェ/2店舗)

一方、工夫という点では、「SNSの更新頻度」を意識している店舗が多数みられた。ほかにも、各店さまざまな対策を行っているため、一部を抜粋して紹介する。集客に悩みを抱えている店舗は、参考にしてほしい。

■SNSの更新頻度を上げる

  • Instagramの投稿頻度を上げてから新規顧客の人数が増加傾向にあると感じています(大阪府/カフェ/1店舗)
  • インスタの投稿をこまめにアップする(東京都/フランス料理/1店舗)
  • 取りこぼしをできるだけ少なくするために、営業情報をこまめにSNSへ上げている(福井県/洋食/1店舗)

■割引を実施し集客をおこなう

  • 初回来店のお客様に次回利用の割引券(東京都/和食/1店舗)
  • 会員様お得クーポン(和歌山県/カフェ/1店舗)

■テイクアウトに力を入れる

  • テイクアウトのお客様におまけをつける(愛知県/カフェ/1店舗)
  • テイクアウト商品の充実(愛知県/テイクアウト/31~50店舗)

■看板に優位性を示し、来店を促す

  • 新メニューの発信、店頭看板の充実(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 看板等で喫煙可能店であることをアピールしています(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

■その他

  • 基本的にGoogleによる検索率を上げていくことをしています。ラーメン店ですが、ラーメン以外での検索率を上げるためにワードを工夫。6か月続けて対策していくうちに、その商品の売上が上昇していきました(東京都/ラーメン/2店舗)
  • 工夫として冷凍自販機を始める予定(東京都/ラーメン/2店舗)
  • 店がせまいので、数量を決めて予約制にしている(東京都/カフェ/1店舗)

ウィズコロナが本格化する一方で、実質賃金の低下など、消費者を取り巻く国内の経済動向は厳しさを増している。社会が新たな局面を迎える今、飲食店は自店に合った集客方法を実施し、売上につなげてほしい。

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