2024年飲食店の年末繁忙期に向けた準備状況を調査。高単価メニューの取り入れ傾向増える
2024年11月20日

<本調査について>
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)回答数:316
調査期間:2024年10月3日~2024年10月15日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち71.5%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は48.4%(首都圏の飲食店の割合は64.5%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。<調査結果について>
飲食店の約9割が10月以降に準備を開始。年末特別メニューの考案など
最初に、12月の繁忙期に向けた準備や取り組みについて、取り掛かる時期を聞いた。最多は「2024年11月から」で37.3%。次いで「2024年10月から(33.9%)」、「2024年12月から(17.4%)」と続き、飲食店の約9割が10月以降に準備を始めていることが分かった。
次に、12月の繁忙期に向けてどのような準備を行っているか(もしくは行う予定か)尋ねた。最も多かったのは「年末特別メニュー・コースプランの用意」で、44.3%。さらに「グルメサイトやSNSでの集客(37.0%)」、「スタッフの補充(正社員・アルバイト)(31.3%)」と続いた。

上質な肉や海鮮など特別感のある食材の使用で単価アップに期待
上記で「年末特別メニュー・コースプランの用意」と回答した店舗を対象に、準備する予定の年末用メニュー・コースについて尋ねた。結果は「2~4名用コースプラン」が最多で58.6%となり、次に「5名以上用コースプラン(45.7%)」と続いた。
あわせて年末の特別メニューやコースプランなどで使用を検討しているこだわりの食材、また目玉となるメニューについて自由回答で聞いたところ、121件の有効回答が得られた。そのうち最も多かったのは、「高級食材を含む肉や海鮮」を挙げた回答で52.1%。次いで、「鍋料理(15.7%)」、「季節のイベントを意識したメニュー(11.6%)」と続いた。
高級食材を含む肉や海鮮(52.1%)
- 四国のブランド豚や鶏を使用したオードブルで単価アップを狙う(和歌山県/カフェ/1店舗)
- 白トリュフ、カニ(東京都/イタリア料理/1店舗)
- 短角牛フィレ肉、フランス産黒トリュフ、フォワグラ、赤座海老など(東京都/フランス料理/1店舗)
鍋料理(15.7%)
- ブリしゃぶ鍋(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 名古屋コーチンを使用した味噌鍋(愛知県/和食/1店舗)
- 変わり種のおでん(大阪府/イタリア料理/1店舗)
季節のイベントを意識したメニュー(11.6%)
- 和牛を使ったクリスマスディナー(東京都/バー/1店舗)
- 年越しそばメニュー(奈良県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 仕入れ品ではない手作りのおせち各種(10種類程度)。いくらの醤油漬け、鮎の甘露煮など(京都府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
果物やスイーツ(5.8%)
- いちごを使ったもの(東京都/バー/1店舗)
- 手作りデザート((東京都/カフェ/1店舗)
飲み放題・コース(5.0%)
- カップル用コースプランの地鶏(埼玉県/中華/1店舗)
- プレミアム飲み放題にて日本酒をそろえる(大吟醸クラス)(長野県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
その他(9.9%)
- リエットなど、原価はかけず手をかけた料理(大阪府/フランス料理/1店舗)
- お一人様メニュー(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
また、アルコールドリンクやソフトドリンクについても同様の質問を行ったところ、92件の有効回答が得られた。そのうちの最多は「高単価または希少性の高いアルコールドリンク」と、シャンパンやスパークリングワインなどの「パーティー感のあるアルコールドリンク」との回答で、いずれも23.9%。続いて、「地酒・自家製ドリンク(8.7%)」、「ノンアルコールドリンク(6.5%)」という結果になった。
高単価または希少性の高いアルコールドリンク(23.9%)
- 高額なブルゴーニュの白ワインとボルドーの赤ワイン(東京都/フランス料理/1店舗)
- 年末特有の演出として高単価商材を毎年充実させている。ワインや日本酒、焼酎など(東京都/和食/2店舗)
- 日本酒特別プラン。レアな日本酒飲み放題(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
パーティー感のあるアルコールドリンク(23.9%)
- クリスマスツリーをイメージしたカクテル(東京都/バー/1店舗)
- 金箔入りスパークリング(東京都/カフェ/2店舗)
- 季節のフルーツを使用したカクテル(ノンアルコールを含む)をご用意します(東京都/フランス料理/1店舗)
地酒・自家製ドリンク(8.7%)
- 地元の酒「鷹の夢」(愛知県/和食/1店舗)
- 自家製アーモンドミルクのチャイティー。栃木県真岡市のとちひめを使ったイチゴミルク(東京都/その他/1店舗)
- 自家製サングリア、自家製瀬戸内レモンサワー、ウイスキーのリンゴ漬けハイボール(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
ノンアルコールドリンク(6.5%)
- アルコールのだめな人向けの、全国の有名なご当地サイダー(神奈川県/カフェ/1店舗)
- ノンアルコールワイン、100%フルーツジュース(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
ホットドリンク(3.3%)
- ホットワイン(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 冬なので、温かい飲み物の拡充(大分県/テイクアウト/1店舗)
その他(33.7%)
- アレンジコーヒーメニュー(東京都/カフェ/1店舗)
- ドリンクは普段通りのものを年末特別価格で提供します(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
44%の飲食店が、今年の年末は「昨年と同じぐらいの盛り上がり」と予想
次に、先の質問で、繁忙期に向けて導入を検討している業務効率化のための機器やサービスが「ある」と回答した17人に、具体的にどのような機器やサービスを導入する予定か自由回答で聞いた。最多はモバイルオーダーなど「オーダーシステム」に関する回答で、58.8%。さらに「予約管理システム(17.6%)」、「厨房用機器(11.8%)」、「配膳システム(5.9%)」、「AIを使った採用テクノロジー(5.9%)」と続いた。また、年末の催しや店舗の工夫についての告知方法を聞いたところ、やはり「Instagram」が圧倒的多数で68.4%との結果に。次いで「グルメサイト(37.0%)」、「Facebook(34.2%)」、「Googleマイビジネス(32.0%)」となった。

その上で、今年の年末商戦はどの程度盛り上がると思うか予想してもらった。その結果、「昨年(2023年)と同程度」との回答が44%と最も多く、「昨年より下がることはない(「昨年と同程度」+「昨年より好調に推移する」)」と予想する人は72.5%にのぼった。以下に、それぞれの回答の理由をピックアップする。
昨年より好調に推移する(28.5%)と回答した理由
- 2024年はこれまでに比べ、すべての月において予算を超えてきているため(新潟県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 宴会需要が増えてきているから(岡山県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 観光客が増えた(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)
昨年と同程度(44.0%)と回答した理由
- ポテンシャルは昨年以上にあるが、直近の経済不安でプラマイゼロになると予想(埼玉県/イタリア料理/6~10店舗)
- 客足の戻りも頭打ちに見えるから(東京都/アジア料理/1店舗)
- 昨年末も既にコロナが収束済みだったので、変化はないと見ています(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
昨年より低調に推移する(14.2%)と回答した理由
- 曜日の並びが悪い(大阪府/和食/11~30店舗)
- 物価高騰で外食に使うお金が絞られそうなので(東京都/焼肉/3~5店舗)
- 不景気、飲み会の減少(東京都/バー/1店舗)

最後に、年末商戦に向けての課題や悩み、意気込みについて、自由回答で尋ねた。その結果、「人員確保への注力・懸念」に関する声が25.3%と最も多く寄せられた。その他「集客への注力・懸念(14.2%)」、「物価高対策とコスト増への不安(10.3%)」「売上や利益向上への注力(7.1%)」に関するコメントも見られた。以下にピックアップして紹介する。
人員確保への注力・懸念(25.3%)
- 人を揃えて何としても前年比を超える(大阪府/和食/11~30店舗)
- スタッフは補充したいですね。今年の総決算として頑張りたいです(東京都/バー/1店舗)
- 今年もアルバイトスタッフの確保が難しいと思われます。年々ひどくなっています(埼玉県/その他/3~5店舗)
集客への注力・懸念(14.2%)
- 1人でも多くの方へ情報発信したいです(東京都/洋食/1店舗)
- 貸切パーティーをもっと取っていきたい(東京都/その他/6~10店舗)
- 思ったよりもインバウンドの集客に苦戦している(東京都/お弁当・惣菜・デリ/6~10店舗)
物価高対策とコスト増への不安(10.3%)
- 食材などの高騰が悩み。前年以上に売上を伸ばして、高騰した分もペイ出来るようにしたい(東京都/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
- 値上げをしたいけれども、なかなかセンシティブなので悩んでいます(東京都/イタリア料理/2店舗)
- 物価高騰がどこまでいくのか。それに対して世の中の人がどれぐらいお金を飲食店に使ってくれるかが不安(和歌山県/カフェ/1店舗)
売上や利益向上への注力(7.1%)
- 昨対超えは必須で頑張ります!(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 売上は同じくらいとれるだろうが異常な物価高のせいで利益率は激減するであろうことが悩み。価格はできるだけ上げたくないのでポーションを減らしたり、仕入先や食材を見直すなどしてコントロールしていくつもりです(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
- 2019年の好調期を超えるような売上をとれるようにしたい(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
体調管理について(5.3%)
- インフルエンザなどの流行、自身の体調管理(京都府/バー/1店舗)
- スタッフの体調不良がなどが毎年不安要素ですが、健康に年内を乗り切れるよう頑張りたいと思います(東京都/フランス料理/2店舗)
- 体調不良によるパフォーマンスの低下や、臨時休業なく駆け抜けたいです(東京都/カフェ/1店舗)
その他
- スタッフの個の力の向上、育成に励む(東京都/その他/51~100店舗)
- ワークライフバランスを保てるように、年末だからといって無理せず営業したいと思っている(広島県/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
- テイクアウトも増やしていきたい(大阪府/アジア料理/2店舗)
コロナ禍がもたらした影響は収まってきた一方で、依然として止まらぬ物価上昇と実質賃金の低下、人手不足の問題が顕在化してきている。以前と比べて消費者の行動様式は縮小したという見方もあるが、年末年始を外食で楽しみたいというニーズが高まる今、いかに効率良く集客・営業できるかが課題となりそうだ。
飲食店経営者が集う「飲食店リサーチ」
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