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食中毒の60パーセントが飲食店で発生!? 食器・調理器具の食中毒予防

2017年7月11日(2017年12月11日更新)

-Photo by iStock.com/stephenkirsh


本格的な夏に突入し、じわじわと気温が上がっているこの季節。昨今アニサキスなどの寄生虫による食中毒が増加傾向にあるのは周知の事実ですが、梅雨時から9月頃までは細菌がもたらす食中毒が多く発生します。

飲食店が絶対に気を付けたい食中毒。しかし、食中毒の約60パーセントが飲食店で発生しているという厚生労働省のデータから読み取れる通り、すべての店で万全な衛生管理が行き届いているとはまだ言い切れないようです。食中毒予防には、食材の扱いに気を付けるのはもちろん、料理をのせる食器や、包丁などの調理器具などにも注意が必要になります。そこで今回は、食器・調理器具にまつわる食中毒予防のポイントをまとめました。厨房に立たれている方はぜひ参考にしてください。


食中毒予防の3原則「付けない、増やさない、やっつける」

まず、細菌性食中毒の主な原因菌は以下のとおりです。

・カンピロバクター(潜伏期:1~7日)
・サルモネラ属菌(潜伏期:6~72時間)
・黄色ブドウ球菌(潜伏期:1~5時間)
・腸炎ビブリオ(潜伏期:8~24時間)
・腸管出血性大腸菌<O157など>(潜伏期:2~9日)

典型的な症状としては腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱などがみられます。
これら細菌を繁殖させないためには、細菌を手に「付けない」、細菌を「増やさない」、細菌を「やっつける」の3原則を徹底することが重要性を念頭におきましょう。

食器の漬け置きは危険?

今年4月に放送された『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日)でも食器を長時間つけおきすることで、細菌が繁殖し食中毒のリスクが高まることが話題を呼びました。実際に「衛生微生物研究センター」が、「食後の食器を10時間、水につけ置きすると、ブドウ球菌や大腸菌の一種など菌の数は約7万倍に増殖する」という実験結果を出しています。ただしこれはあくまで長時間、水に漬けた場合で、1時間程度の漬け置きは問題ないとのこと。厨房用の除菌消毒剤などに漬けている飲食店も多いと思いますが、その場合は注意事項を守り、しっかりと洗い流すこと、乾燥させることに気を配るといいでしょう。

食洗器って衛生的に大丈夫?

-Photo by iStock.com/herraez

手洗いではなく、洗浄機能付き食器乾燥機を利用している飲食店も増えつつありますが、こちらは衛生管理上、適切なのでしょうか?
厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」によると、細菌の増殖を防止するために食器類を十分洗った後、水滴を拭き取り、乾燥させることは有効とのこと。また、十分な加熱により菌を死滅させることが可能なため、食器乾燥機で食器を加熱・乾燥させることは衛生面において有効であると示しています。

ただし、食洗器内の受け皿のゴミをそのままにすること、食洗器を水切りかご代わりに利用することはNG。また、必ず食洗器用の洗剤を使用しましょう。泡が立ちにくい「低起泡性」の洗浄剤ではないと、洗浄効果が期待できません。

まな板、スポンジの正しい洗い方って?

-Photo by iStock.com/Liderina


スポンジは洗剤につける回数が多いことから見落とされがちですが、食中毒を招く二次汚染の原因になることも。使用後はよくすすぎ洗剤成分を洗い落とし、また定期的に消毒をしましょう。
できれば営業終了後に漂白剤、消毒液などに漬け、除菌後はしっかりと水気を切りましょう。除菌効果のある食器用洗剤で漬けておく場合は、全体に行きわたるように浸透させ、次に使うまで置いておきます。スポンジは劣化すると雑菌が溜まりやすくなるので、定期的な交換を行いましょう。

まな板にも注意が必要です。使用の都度、洗浄剤でしっかり洗い、熱湯または次亜塩素酸ナトリウム製剤(台所用漂白剤)で、消毒しましょう。
まな板の正しい洗い方は以下のとおりです。(厚生労働省腸管出血性大腸菌Q&Aより)

1.洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 → 湯(55℃)すすぎ →沸騰水かけ
2.洗剤(台所用合成洗剤)洗浄 →水洗浄 →湯(55℃)すすぎ →次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm、1時間浸漬)

いずれの方法でも、大腸菌群は検出されなくなります。

もう一つの方法として、ふきんを使ったまな板の漂白方法をご紹介します。

1.まな板にふきんを巻き、台所用漂白剤のうすめ液に約30分つける
2.台所用漂白剤のうすめ液をつくる(1Lの水に10ml)
3.まな板に白物のふきんを巻き、1に約30分つける
4.水でよくすすいで乾燥させる

細菌の繁殖しやすいふきんも、熱湯等で消毒し十分に乾燥させましょう。


『除菌、乾燥』を十分にすることが肝

相手は目に見えない細菌なので細心の注意が必要となりますが、対策次第で安全を守ることができます。共通していることは、食器・調理器具を殺菌すること、しっかりと乾燥させること。
毎日使うものだからこそ心掛けたい、食器・調理器具類の食中毒対策。スタッフ全員に衛生管理の知識を周知させ、お客様に安全安心な食事を提供していきましょう。


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