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「ジョブ型」「メンバーシップ型」とは?
日本では、主にメンバーシップ型の雇用が一般的です。一番わかりやすいのは、新卒採用で雇用されるケースでしょう。新卒採用では、入社段階では何の仕事をするかは決まっておらず、入社後の研修などから適性を見て配属先が決定されます。また、入社後は部署の移動や転勤などを繰り返しながら、会社を支えるゼネラリストとして長期的に育成していくシステムです。一方、ジョブ型雇用は、特定の職務やポジションに対して人材を雇用する方法。採用する際は、「ジョブディスクリプション」に具体的な職務内容や職務の目的、目標、責任、権限の範囲、必要な知識、スキル、経験、資格などを明確に記載し、それに沿って人材を採用します。そのため、年齢や学歴よりもスキル重視の選考です。また、入社前に担当する職務や勤務地も決められているため、入社後に他部署へ移動することはありません。
メンバーシップ型の雇用が中心の日本ですが、メンバーシップ型一色では、スペシャリストが不足するといったデメリットがあることをふまえ、経団連がジョブ型雇用の比率を高めていく指針を示しています。
このような背景から近年ジョブ型雇用が注目を集め、実際に取り入れる企業も少しずつ増加。さらには、年功序列型の賃金制度に無理が生じてきたことや、ワークライフバランス、リモートワークの浸透も後押しとなり、今後もその傾向は強まりそうです。
ただし、ジョブ型、メンバーシップ型にはどちらにも、以下のようなメリット・デメリットがあるため、経営者はそれをふまえて雇用を行う必要があるでしょう。
メンバーシップ型雇用のメリット
メンバーシップ型雇用のメリットは、例えば以下が挙げられます。■雇用が安定している
仕事に人材を割り当てるのではなく、人材を確保し仕事を割り当てるため、特定の職務がなくなっても社内で調整し、雇用を維持することが一般的です。
■フレキシブルに人員配置ができる
会社の都合や経営方針により、人員を動かすことができ人材を有効活用できます。
メンバーシップ型雇用のデメリット
従業員はスキルを磨きながら長期で働くことができ、企業は労働力を維持しやすいのがメンバーシップ型雇用です。ただし、以下のようなデメリットもあります。・スペシャリストが育ちにくい
・研修や教育コストが発生する
・従業員に転勤・配置転換を受け入れてもらう必要がある
・入社後にミスマッチが起きる可能性がある
ジョブ型雇用のメリット
一方でジョブ型雇用のメリットは、以下が考えられます。■雇用のミスマッチを防げる
業務内容が明確であることが基本なため、入社後にやりたい仕事と違ったなどのミスマッチが起きにくくなります。■ブラックな職場環境になりにくい
仕事の範囲が明確なため、メンバーシップ型と比べ労働環境は管理しやすいといえます。■スペシャリストが育成できる
ジョブ型雇用のもっとも大きなメリットです。ジョブ型雇用のデメリット
スキルの高いスペシャリストの能力を活かし、生産性アップが望めるのがジョブ型雇用です。ただし、以下のようなデメリットがあります。・職務がなくなれば解雇せざるを得ないことも
・新卒者やスキルが低い人材が仕事につくことが難しい
・採用の難易度が上がる
飲食店での雇用はどちらがいい?
日本でもジョブ型雇用が増えているとはいえ、まだまだメンバーシップ型の雇用が主流。スキルの高い人材ばかりを採用することは難しく、配属店舗や担当業務を決めずに新卒採用するのも一般的です。ただし、日本でジョブ型の雇用を取り入れている企業も、すべての雇用をジョブ型にしているわけではなく、専門性の高い一部の職種に対してジョブ型の雇用を取り入れていることがほとんど。
飲食業でも、シェフやマネージャー、店長など、スキルや経験が必要な職種に対しては、細かなジョブディスクリプションを作成し、ジョブ型雇用を取り入れてみるのがおすすめです。入社後のミスマッチが悩みになっている場合や、思うように人材が採用できない場合に試してみてはいかがでしょうか。
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