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長期採用が難しいなら、短期や日雇い人材を
休業や時短営業の要請が続く中、新たなスタッフの採用は店舗にとっても求職者にとっても不安が多いことでしょう。こうした課題を解決するひとつの手段として、短期間や日雇いなどで採用することが考えられます。副業解禁の流れや働き方の多様化が進む中、短期間や日雇いで自分のスケジュールに合った働き方を求めている人は増えていますし、ブライダル業界やホテル業界では配膳業務を短期間や短時間、日雇いのスタッフに任せることも多いため、一定のスキルを持った人材を採用できる可能性は多いにあります。
有期雇用も雇用契約のひとつ
雇用契約は大きく無期雇用、有期雇用と分けられ、無期雇用には正社員が、有期雇用にはそれ以外の働き方が分類されます。一般的なアルバイトやパートのほか、日雇い、労働期間が数日から数カ月程度の単発アルバイトや短期アルバイトと呼ばれるものも有期雇用にあたります。有期雇用契約は、「改正労働契約法」のルールに基づくものでなければなりません。
■有期雇用契約のポイント
1)雇用期間が例え一日限りであっても、労働基準法などの法律が適用されます。企業は労働条件を明示しなければいけません。労働者が安心して仕事をできるようにするためにも、企業側がトラブルを未然に防ぐためにも大切なことです。<明示すべき条件>
・労働契約の期間
・就業場所と従事する業務
・始業時刻と終業時刻、休憩時間、所定労働時間を超える残業の有無、休憩時間
・休日や休暇
・賃金の決定方法や計算方法、支払い方法、昇給の有無
・退職に関すること (解雇の事由を含める)
2)労災保険は、有期・無期の雇用には関わりなく、すべての従業員が対象となります。一方、雇用保険・社会保険は、それぞれの加入条件を満たした場合のみ加入します。 (週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば、雇用保険に加入。契約期間が2か月以上であれば、社会保険に加入する)
3)更新の有無に関しては、「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はない」から明示し、更新時にはその判断基準(労働者の勤務遂行能力や態度・会社の経営状況など)も明示しなければいけません。
4)有期雇用契約の期間の上限は原則3年と定められています。また、有期労働契約は、企業が更新を拒否した場合、契約期間満了で雇用は終了します。ただし、労働者保護の観点から「実質的に無期雇用契約しているのと同じ」「労働者側が契約は更新されると思うに足る理由がある」ケースで従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。
5)有期であれ、期間中は自社を支える従業員です。無期雇用者とあまりにも大きな待遇差がないように努めなければいけません。
6)閉店や倒産で雇用を維持できないやむを得ない理由が生じた場合は契約を解除できます。労働基準法第20条に従い、30日前の予告もしくはそれに代わる解雇予告手当を支払います。
長期雇用になったら無期契約になる
短期間や日雇いでの契約を想定していても、長期の契約になるケースもあるでしょう。その前に知っておきたいのが、2013年4月1日以後に締結した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、有期契約労働者には「無期労働契約への転換申込み」をする権利が発生することです。そして申込まれた場合、企業は無期労働契約の締結を拒否できません。有期雇用契約と試用期間は異なる
採用側は「試用期間」と「有期雇用契約」が全く異なることも理解しておきましょう。試用期間とは、正社員として採用し、社員の能力や適性を評価し、本採用の判断をするための期間です。一方、有期雇用期間は期間が満了して雇用契約は終了します。
有期雇用でキャリアを積んでいる人は、さまざまな環境下での労働を経験しています。自社の職場環境の改善の手がかりをくれることもあるでしょう。短期間や日雇いの人材は、コロナ禍に限らず、活躍が期待されるはず。この機会に前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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