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飲食店には覚えるべき仕事が盛りだくさん
飲食店の仕事は、決して簡単ではありません。例えばホールでは、来店したお客様の案内、注文、料理の提供、清算、テーブルの片付けといった複数の業務を並行して行います。 集中力や臨機応変さ、お客様に好印象を与える接客スキルが必須です。キッチン担当者も、手際よく、しかしミスなくおいしい料理を完成させる必要があるため、常にプレッシャーにさらされています。いずれの仕事も、一つひとつの仕事内容をきっちり覚えたうえで、正確に段取りよくこなさなければなりません。
ところが、仕事を習得するスピードは個人差が大きく、教わったことをその場で実行できる人もいれば、何度教えても覚えられない人もいます。同じ失敗を繰り返してしまう人もいるでしょう。
とはいえ、そうした従業員を責めても得られるものはありません。やる気を失うか、退職してしまうだけです。育成担当者はうまくいかなくても感情的にならず、どんな従業員でも仕事を覚えられるよう指導方法を工夫する必要があるのです。
最近話題の「リフレクション」が人材育成成功のカギ
リフレクションとは、「振り返り」「内省」という意味。過去を振り返り、過去から学ぶことを指します。近年、このリフレクションが組織を成長させる手法として注目を集めています。リフレクションでは、ある行動や決断がどのような結果をもたらしたのかを振り返り、その原因を分析します。そして、次に同じような状況が起こったときに備えて対策を立てるのです。
こうしたプロセスは、誤った行動や決断を責めるのとは大きく異なります。何かミスをしたときにリフレクションを行えば、従業員は失敗を糧により良い方法を模索できるようになり、成長が促されるでしょう。
リフレクションの一種「KPT」の実践方法
飲食店でも取り組みやすいリフレクションの手法に「KPT」があります。「Keep（継続／良かったこと）」「Problem（問題点／改善すべきこと）」「Try（挑戦／次に取り組むこと）」の頭文字を取ってこのように呼ばれています。KPTでは、ホワイトボードや紙を使って最初に「良かったこと」、次に「改善すべきこと」を書き出し、この2つの内容を踏まえて「次に取り組むこと」、つまり対策を考えます。
ここで気をつけたいのが、対策を具体的なタスクにまで落とし込むこと。「オーダーミスに気をつける」といった心がけに留まるものではなく、「ダブルチェックを行う」など、わかりやすく実行可能な対策を考えましょう。
KPTは、従業員と一緒に取り組むのに向いている手法です。ミスをしがちな従業員に対しては、詰め込み型の指導を行うのではなく、こうした手法で一緒に改善点を考えてあげましょう。
育成担当者自身にもリフレクションは有効
人材育成を成功させるには、育成担当者の管理業務も改善する必要があります。うまくいかない指導や管理の方法を繰り返しても、人材は育たないからです。管理業務の改善に役立つのが、リフレクションの一種である「PDCA」です。「Plan（計画）」「Do（実行）」「Check（評価）」「Act（改善）」のプロセスを繰り返すことで、業務の質を向上させることができます。
PDCAでは、まず目標とあわせて具体的な計画を書き出し、実行します。実行して結果が現れたら、それらを書き出して「何がうまくいった／うまくいかなかったのか」「良かった点／改善すべき点」などの軸で評価し、具体的な改善策を考えます。
具体的な改善策を出し終わったら、その内容をもとに、2サイクル目の計画の書き出しを行うのがポイント。計画から改善までのサイクルを常に回すことで、改善効果を持続的に得ることができるのです。
リフレクションを人材育成に取り入れる際のポイント
リフレクションを行うときは、過去の失敗に固執せず、これからのことに重点を置くことが大切です。「あのときこうしていれば」という後悔に囚われず、客観的な視点で現状を分析するようにしてください。また、ありがちなのが、原因を究明したのに、具体的な行動を起こさないケース。明確な改善策を生み出し、確実に実行して業務を改善することが目的だと忘れないようにしましょう。
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