この記事は、こんな方におすすめです。
- ・バイトリーダーについて理解を深めたい
- ・バイトリーダーを設置するメリットが気になる
- ・バイトリーダーに向いているのはどういった人なのか確認したい

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「バイトリーダー」とは?
バイトリーダーは、アルバイトスタッフのトップとして統括やフォローを行います。一般的にアルバイトスタッフの統括は店長などの社員が行いますが、バイトリーダーのいる職場では、他のメンバーの指導や育成、指示出しなどを任せることができるため、飲食店の店舗運営において、非常に重要な存在といえます。はじめに、バイトリーダーの定義や役割、設置するメリット・デメリットなどについて解説します。
●バイトリーダーの定義
バイトリーダーとは、アルバイトスタッフ全体をまとめる役割を担う人のこと。自らもアルバイトの一員として日々の仕事をこなしながら、他のメンバーの指導や育成、フォローといったマネジメント業務も行います。社員の右腕となって現場が円滑に回るようにサポートするだけではなく、時には責任者となって管理業務を担うこともあります。●バイトリーダーの主な役割
バイトリーダーの具体的な役割としては、・アルバイトスタッフの配置や仕事の割り振りなどの指示出し
・新人や他のメンバーへの指導・教育
・スタッフからの相談や要望を聞いて、社員に伝える橋渡し役
などがあり、現場がスムーズに回るようにフォローをすることが主です。さらに店によっては、シフト調整や売上管理、本部への報告などの管理業務を任すこともあります。
●バイトリーダーと社員(店長)との違い
店長などの正社員が不在の時には、バイトリーダーが店舗責任者として代理業務を行う場合もあります。前述の売上管理などの管理業務の他にも、店舗の開閉業務、クレーム対応など、社員が行う業務の一部などが考えられます。ただし、重要な役割を任されている場合でも、あくまでもアルバイトという立場です。最終的な決定権と責任は社員(店長)にあるので、その違いは明確にしておきましょう。
バイトリーダーを設置するメリットとデメリット
バイトリーダーを設置することには、店舗運営側だけではなく、アルバイトスタッフやバイトリーダー本人にとってもメリットは多くあります。ただ、デメリットもあるため、両面を理解しておくことが大切です。メリットとデメリット、それぞれにどのようなものがあるか、見ていきましょう。
●店舗運営におけるメリット
店舗運営において、バイトリーダーを設置する主なメリットは、・業務の効率化
・社員不在でも店舗運営がしやすくなる
・社員とアルバイトとの橋渡し役を担ってもらえる
などです。
飲食店経営において人手不足は深刻な問題です。社員の手が回らないという場合でも、バイトリーダーがいればアルバイトスタッフの管理や新人の教育などを任せることができるため、業務の効率化に役立つでしょう。また、責任者として管理業務やトラブル対応を行ってもらえば、社員不在でも店舗運営が可能になります。さらには、社員とアルバイトの橋渡しを担ってもらうことで、双方の意見や提案を噛み砕いて伝えてもらうことができ、伝達がスムーズになることは大きなメリットでしょう。
●アルバイトスタッフにおけるメリット
アルバイトスタッフにとっても、バイトリーダーを設置するメリットがあります。それは、「アルバイトスタッフのまとまりができて、定着率やスキルが上がる」 ことです。アルバイトスタッフの中に統括するリーダーがいると、現場が円滑に回ります。そのため職場環境が良くなり、定着率が上がるため、スキルはアップします。
また、社員には直接相談しづらいことでも、バイトリーダーを通してなら言いやすい雰囲気をつくれます。
さらに、バイトリーダー本人にとってもメリットがあります。
・仕事にやりがいが出て、モチベーションが高まる
・給与が上がる可能性がある
・就職活動でアピールポイントになる
リーダーシップがある人なら能力を存分に発揮できるため、仕事にやりがいを感じることができ、モチベーションが高まります。また、リーダーは通常のアルバイトスタッフより役割や責任が増えるため、リーダー手当が付いたり、時給がアップしたりするなど、給与が上がる可能性もあるでしょう。
学生時代の成果として、就職活動でアピールできることもメリットです。売上や業務改善など、店舗に貢献した実績があれば自信をもってアピールできる強みになるでしょう。
●知っておくべきデメリットと対策
バイトリーダー設置におけるデメリットもあります。注意すべき点は、・バイトリーダーが社員のような立場だと勘違いしてしまう
・適性のない人がリーダーになると、職場の雰囲気が悪くなる
などです。
バイトリーダーはある程度の責任や裁量が与えられますが、あくまでもアルバイトスタッフであり、正社員とは立場が異なります。最終的な判断は任せることができないので、事前に店側がバイトリーダーと話し合い、仕事や責任の範囲を相互確認しておきましょう。
また、リーダーとして適性のない人に任せてしまうと、自分のやり方を他のスタッフに押し付けたり、傲慢な態度を取ってしまったりすることがあり得ます。その結果、職場環境が悪化すればアルバイトスタッフの離職率が上がってしまうため、リーダーを適性のある人に変えるなどの対処を検討しましょう。

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バイトリーダーに向いている人は?
適性のない人をバイトリーダーにしてしまうと、店側とアルバイトスタッフ双方にデメリットしかありません。だからこそ、設置の際に適性のある人を選ぶことが非常に重要です。バイトリーダーはどのような人が向いているのか、整理しておきましょう。
●バイトリーダーに求められる業務知識
リーダーとして他のスタッフに的確な指示や指導、フォローなどを行うには、店舗業務に関する深い知識が必要不可欠です。単に勤務歴が長いというだけではなく、ホール・キッチンなど様々なポジションで豊富な経験を積んでいることが理想的。店舗全体の流れや手順の理解、トラブル対応など実践経験で培った幅広いスキルが求められます。さらに、レジの開閉業務やシフト作成・調整など、通常のスタッフが行わないような業務に関する知識も持っている必要があるでしょう。
●バイトリーダーに不可欠なスタンス・資質
バイトリーダーに求められる必須の条件としては、第一にリーダーシップが挙げられます。アルバイトスタッフ全体を牽引するには、トップとしての責任感や的確な指導力、感情に流されない冷静な判断力が求められます。他にも、トラブルが起こった際に臨機応変に対応したり、客観的な視野で物事を捉えたりするスキルなども重要です。
●バイトリーダー適性を見極めるためのポイント
リーダーとして適性があるかどうかを見極めるために、日頃の勤務態度や実績以外にも、他のスタッフからの信頼度が高いかどうかに注目してみましょう。アルバイト全体をまとめる役割をしていくには周りからの信頼が必要不可欠ですし、前述の「バイトリーダーに必要なスタンス・資質」を持っている人であれば、自ずと信頼度も高くなるはずです。ただ、バイトリーダーとしての適性があっても、本人に意欲がなければ成り立ちません。まずは、リーダーをやる気があるかどうかを面談で話し合うなどして積極性を見極めてください。
バイトリーダーの育成方法
バイトリーダーとしての能力を最大限発揮してもらうには、個人の資質だけではなく、店側による育成も重要です。具体的には、成長しやすい店舗風土作りや、期待する役割と目標の共有、OJTとOff-JTによる知識やスキルの習得支援などが必要になります。●バイトリーダーが成長しやすい店舗風土
まずはバイトリーダーの育成に欠かせないものとして、個人が成長しやすい店舗風土が挙げられます。心理学者マズローの『欲求5段階説』という概念があります。人間の欲求は5段階に分かれており、一番下から
1. 生理的欲求
2. 安全の欲求
3. 社会的欲求
4. 承認欲求
5. 自己実現の欲求
とされています。
この2番目の「安全の欲求」が満たされなければ、5番目の「自己実現の欲求」までたどり着けません。
職場での「安全」とは、心理的安全性のことで、個人が成長して自己実現を達成するためには、まずここを満たす必要があります。失敗を恐れずに挑戦できるような心理的安全性の高い環境を作ることで、成長しやすい職場風土が醸成できます。
●期待する役割の明確化と育成目標の共有
バイトリーダーを決めたら、就任する前にどのような役割を期待しているか、責任の範囲なども含めて基準を明確にし、本人に伝えます。次に店舗運営側の「こんな店にしていきたい」という経営理念やビジョンを共有し、達成するためにはバイトリーダーとしてどのような成長を遂げてほしいのか、本人がどう成長していきたいのかについて目標を立て、育成計画を共有しましょう。
●OJTとOff-JTを組み合わせた知識やスキルの習得支援
バイトリーダーにとって必要な知識やスキルを、OJTとOff-JT両方を組み合わせた研修によって習得させます。まずはリーダーとしての心構えや役割をOff-JTによって理解してもらいましょう。バイトリーダーは自分の担当以外の業務指導やフォローも行えるように、店舗全体の仕事を把握する必要があります。そのため、すべてのオペレーションに入り、実践的なスキルをOJTで身につけてもらいます。
また、管理業務なども同様に、OJTで実際の手順を教えることで覚えてもらいます。
●段階的な権限移譲と「任せる」勇気
バイトリーダーとしてある程度の業務をこなせるようになったら、新人教育の補助から教育担当へ、さらにはシフト管理や店舗の開閉、鍵の管理など、社員代理としての業務というように、段階的に権限を広げていきましょう。責任が上がっていくにつれて「任せてしまって良いのだろうか」と不安になるかもしれませんが、相手を信頼し、思いきって任せる勇気も必要です。
●定期的な面談とフィードバック
任務を任せたらそれで終わりにするのではなく、定期的に面談を行い意見や報告を聞いたり、どれだけ目標を達成できたかなどの評価をフィードバックしたりするなどのフォローが必要です。日頃から相互コミュニケーションを取って信頼関係を築くことが、効果的な育成の鍵となります。バイトリーダーの導入と運用の注意点
バイトリーダー導入の際には、全アルバイトスタッフへの周知と協力体制の構築のほかに、賃金や労働時間に関する管理や、メンタル面でのサポートなども重要です。また、導入後も定期的に制度を見直して、改善すべき点があれば修正していきましょう。●全スタッフへの丁寧な説明と協力体制の構築
バイトリーダー導入を成功させるには、全スタッフの協力が欠かせません。新たにバイトリーダーを選任した場合、リーダーとしての紹介、存在意義や具体的な役割を全員に周知し、説明を丁寧に行うことでバイトリーダーへの理解を深めてもらいます。そのうえでチーム全体の協力が必要であることを示し、サポート体制の構築を促します。●バイトリーダーの時給・手当の決め方
バイトリーダーの時給は、店の規定によります。時給そのものを上げる場合や、通常のスタッフとしての時給に加えて「リーダー手当」として別途支給するなど様々です。必ずしも時給を上げたり手当を付けたりしなくてはいけない決まりがあるわけではなく、実施しないことが法律に触れることはありません。ただ、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン(※)」では、店長代理などの代理業務を任せる場合などは、同じ業務を担っている正社員と同等のレベルにまで引き上げるなど、待遇差で生じる不合理の是正を要求しています。
また、他のスタッフと同等の給料だと、リーダーとして働くモチベーションが上がりません。責任と業務量の多さに見合った適切な報酬を考慮することが大切です。
(※)「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要①
●バイトリーダーの業務負荷管理
バイトリーダーは役割が多く、心身ともに負荷がかかります。通常業務に加えてやるべきタスクが多いため、過重労働になってしまうこともありえます。
勤怠管理を正確に記録することによって、
・労働時間は適正か
・休暇が取れているか
などの労務的な面でのチェックも行いましょう。
また、面談の際に悩みを聞いたり相談に乗ったりするなど、メンタル面での継続的なフォローも重要です。
●定期的な制度の見直しと改善
バイトリーダー制度を設置した後も、定期的な面談を重ねて意見交換をし、制度を見直して改善すべき点があれば都度修正していきます。定期的にブラッシュアップをしていくことで、よりバイトリーダーが働きやすい制度に進化させましょう。
まとめ:バイトリーダーを育て、強い飲食店を作ろう
バイトリーダーは、店舗とアルバイトスタッフの橋渡し役として、現場を円滑に回すための重要な役割を担います。バイトリーダーがアルバイトスタッフをまとめることで、職場に連帯感や信頼感が生まれるでしょう。そのため、スタッフの定着率アップやスキル向上にも繋がり、お客様の満足度や集客力が高まる好循環が生まれ、安定した店舗運営を望めます。
ぜひ、優秀なバイトリーダーを育成して、「強い」飲食店を作りましょう!
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●Q&A
- バイトリーダーの定義は何ですか?
- バイトリーダーとは、アルバイトスタッフのトップとして全員をまとめる役割の人のことを指します。
- バイトリーダーを設置する主なメリットは何ですか?
- 店とアルバイトスタッフの橋渡し役になってくれるため、社員の手が回らない場合にも職場での業務が円滑に回ります。さらには不在時の管理業務などを任せることができ、業務効率化が可能です。
- バイトリーダーの育成はどのように行えば良いでしょうか?
- OJTとOff-JTを組み合わせたリーダー研修を行い、知識・スキルの習得支援をしたうえで、定期的な面談を行いフォローすることが重要です。
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