外国人スタッフ採用、お通し問題、喫煙・禁煙問題。飲食業界で話題の時事ネタを分析!

2018年12月7日

Photo by iStock.com/Kritchanut
2018年も残り1ヶ月をきっている。今年も「外国人スタッフの採用」や「喫煙・禁煙問題」をはじめ、様々な事柄が話題となった。そこで今回は、これまで飲食店.COMが実施したアンケートの中から、昨今話題の時事ネタにまつわるデータを分析。飲食店経営者のリアルな声とともにお届けする。

外国人スタッフの採用


飲食業界にまつわる最新の時事ネタといえば、連日メディアで取り上げられている「入管法改正」を思い浮かべる人も多いだろう。同法案は、外国人労働者の受け入れ拡大を図るのが狙いだが、懸念点もあるなど、様々な業界でその動向が注視されている。

慢性的な人材不足に悩む飲食業界もその一つ。人手不足解消のために、外国人スタッフを採用しているケースも少なくない。実際、過去に飲食店.COMが行ったアンケートで外国人スタッフの採用理由を尋ねたところ、「日本人のスタッフが採用しづらいから」(44.2%)という回答が上位に挙がっている。人手不足により、外国人スタッフの採用を始めた飲食店が多いことが伺える。

また、人材不足解消だけでなく、インバウンド対策としての活躍も期待されるなど、需要が高まっている外国人スタッフの採用。しかしながら、採用に際し、言語や文化、習慣など外国人スタッフならではの違いに苦労したという声も耳にする。

「ほとんど日本語を話せない外国人スタッフがいて、言葉がなかなか伝わらないので、ジェスチャーや日本語が上手な同国のほかのスタッフに通訳してもらうなど、仕事を教えるうえで不便さを感じた」(福岡県/ラーメン)

「文化や習慣の違いによる、働く意識の違い 」(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー)

「最初に教えなければいけないことが、日本人よりかなり多い」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

人手不足だから安易に外国人スタッフを採用するということはせず、きちんと受け入れ体制を整える必要があると言えるだろう。

お通し問題


外国人にまつわる飲食業界の話題といえば、「お通し問題」もその一つだ。居酒屋などでお酒を注文すると出てくるお通しだが、海外ではそういった習慣がないため、外国人観光客との間でトラブルに発展することもあるという。日本でも近年、お通しに疑問を持つ人たちの声が聞かれるようになってきた。

お通しを提供する上で気を付けていることとして、「『お通しカット』を可能にしている」(31.0%)「外国人客へは提供を行っていない」(20.7%)という回答が見られるのは、そのような背景があるからだろう。


その一方で、「お通しの質にこだわっている」(52.9%)「定期的なメニュー変更をおこなっている」(51.7%)など、お通しにこだわりをもっている店舗も多い。実際、こだわりのお通しが話題になっている店舗もあるなど、上手く活用すれば店のアピールポイントに繋げることもできる。

「店の味として、認識してもらうためのものと考えています。お客さまが、お金を払いたくないのは、どうでも良いもの、美味しくないものを出しているからで、店側に責任があると思う」(東京都/和食)

「うちはお通しを3品一皿で提供。お米が売りなので、一品は必ず日替わりのお粥をつけます。お酒を飲み始める前にお粥でほっこりしてもらい、飲み進めたあとは、土鍋ご飯でしめてもらう。そこに繋がるストーリーのためのお通しです。特に何も考えずにお通しを出しているのなら、ナンセンスでは」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

「お客さまには気付かれないように、スマートにサービス料を頂戴する方法はないものかと考えています。知り合いの店では、お気持ちとしてレジ横に投げ銭用の容器を用意していますが、良いアイデアだと思います」(東京都/アジア料理)

「お通し、サービス料、チップなど、分かりにくいものは排除して、商品代に上乗せしていいと思います。場合によっては、『サービス料をいただく』『チップを受け取る』というのはありです」(東京都/バー)

お金が関わるデリケートな問題だからこそ、店としてどのような方針を取るかしっかりと検討するのが良いだろう。

喫煙・禁煙問題

最後は、「喫煙・禁煙問題」について。今年は東京都の受動喫煙防止条例や、国の改正健康増進法をはじめ、飲食店の喫煙・禁煙問題が話題になった1年といえるだろう。

喫煙環境の実態についてアンケートをおこなったところ、「全席禁煙」(40.1%)「全席喫煙可」(37.0%)「分煙(エリア)」(14.6%)「分煙(時間帯)」(8.3%)という結果が得られた。つまり、約6割の店舗において何らかの形で喫煙ができる状態になっているというわけだ。国の法案では一部店舗に例外措置が取られているが、多くの店舗が対応を迫られることになるだろう。

こうした対応により、飲食店は原則禁煙の体制へと移行することになるが、実店舗ではどのような影響があるのだろうか。これまでに喫煙可能な状態から全面禁煙または、分煙へと移行した店舗の意見をピックアップしたので、参考にしてほしい。

「女性客が増えた、喫煙者も食事が終わってから近くの喫煙所に行くようになった。そのため客の回転率は前より上がった」(全席禁煙/ラーメン)

「一時的に客数は減ったが半年位で元に戻った。今は禁煙が当たり前になった」(全席禁煙/中華)

「7月に全面禁煙にして喫煙室を設けましたが、売り上げが1割減りました」(エリア分煙/居酒屋・ダイニングバー)

「特に高単価のお客様が減った」(エリア分煙/しゃぶしゃぶ)

過去のアンケートでは、良い影響、悪い影響ともに見られた。国の改正健康増進法は、2020年4月から施行が決まっている。直前になって戸惑わないよう今からしっかりと準備を整えていって欲しい。

さて今回は、飲食店にまつわる時事ネタについてデータを分析するとともに、振り返ってきた。どれも、多くの飲食店が一度は意識したことがある問題だろう。とくに自店に関連する問題に対しては、その動向に今後も注視するとともに、対応策について改めて検討してほしい。

<調査結果引用元>
「飲食店の外国人スタッフの採用状況」に関するアンケート調査
「お通しやサービス料の設定」に関するアンケート調査
「飲食店の全面禁煙化」に関するアンケート調査

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