話題のM&A、飲食店経営者の関心度や検討状況を調査。半数が興味ありと回答する結果に

2019年10月24日

画像素材:PIXTA
「後継ぎがいないため、店を続けることができない」「事業を拡大したいが、新店舗を任せられる人が見つけられない」など、多くの業界で聞かれる人手不足の悩み。これらを解決する手段として、今注目されているのが「M&A」だ。そこで「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者を対象にM&Aの認知度や関心度、検討状況についてアンケートを実施。飲食店のリアルな声をお届けするとともに、飲食店M&Aのメリットや事例もご紹介しよう。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:393名
調査期間:2019年9月12日~ 2019年9月20日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:「飲食店のM&Aの検討状況」に関するアンケート調査

■回答者について
回答者のうち66.4%が1店舗のみを運営しています。また、東京にある飲食店の割合は55.7%(首都圏の飲食店の割合は73.5%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

M&Aを知っている人は85%。飲食店経営者の認知度・関心は高め


M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略語。企業の合併や買収を指す言葉で、さまざまな業界で行われている。まずはM&Aについて、どれくらいの経営者が理解しているのかを見てみよう。M&A(事業売却・買収)という言葉を聞いたことがあるかを聞いてみると、「ある」と回答した人は92.4%。さらにその内容について簡単にでも「知っている」と答えた人は85%だった。

8割以上が知っているだけでなく、9割以上の飲食店経営者が耳にしたことがあるという結果に。M&Aへの認知度、そして関心が高いといえるだろう。

個人店の買収・譲渡が可能なM&A。興味がある人は過半数超え


さらに「M&Aを経験した人が周りにいるかどうか」を尋ねたところ、「いる」と答えた人は35.1%だった。

想像していたよりも多いと感じた人もいるのではないだろうか。M&Aと聞くと大企業同士の話をイメージしがちだが、実際はそれだけではない。大きい企業に限らず、現在は中小企業や個人経営者の間でも行われており、飲食店の場合は個人店が個人店へ事業譲渡するケースも珍しくはない。実際、「M&Aに関して興味がある」と答えた人は51.7%と過半数を超え、興味の高さがうかがえる。

「買いたい」「売りたい」を合わせると半数がM&Aを検討予定


最後に、M&Aに関して「今後検討してみたいか」を聞いてみた。結果、思わないが55.7%に対し、「買いたいと思う」は24.4%、「売りたいと思う」は28%。前述の「M&Aに興味がある」と答えた人と同じく、5割程度が実際にM&Aを検討していることがわかった。

「事業拡大」「後継者問題の解消」など買収側・譲渡側それぞれのメリット


ここまで関心を集めているM&Aだが、行うメリットはいったいどこにあるのだろうか。事業を買収する側と譲渡する側でそれぞれ異なってくるが、まず、買収する側にとっては、スムーズに事業を拡大できるという点が挙げられる。

一から店を作るとなると大変だが、「人材」「物件」「ノウハウ」がすでに固まっている店を譲り受ければ、時間やコストをずいぶんカットすることができる。また競合店から頭一つ抜けるために、別の競合店を買収するというのも、市場競争に打ち勝つための手段といえるだろう。

一方、譲渡側にとっては「後継者を見つけられる」というメリットがある。昨今、日本国内でM&Aは増加傾向にあるが、その理由の一つが「後継者不足」だ。少子高齢化・人材不足などが原因で後継ぎが見つからず、続けたくても続けられない場合、別の経営者へバトンを繋ぐM&Aを検討するケースも多い。

飲食業界で増えるM&A。最近の事例は?


株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、2019年9月、和食レストラン『いっちょう』や焼肉店『萬家』を展開する株式会社いっちょうを買収。さらに同月にNYやシンガポールなどでレストランを運営するアメリカのIl Fornaio (America) LLCを買収するなど、2019年だけでも6件のM&Aを実施。海外での事業展開が加速し、2020年2月期は大幅な増収増益が見込まれている。

また、2019年3月には、株式会社吉野家ホールディングスが国内外でラーメン店を展開する株式会社ウィズリンクを傘下に。これまでにも寿司やうどん、ステーキなど牛丼以外を提供する企業をグループに加えながら成長を続けてきた吉野家ホールディングス。今回のM&Aで、新たな事業分野としてラーメンを強化する動きだ。

売り手にとっても、買い手にとっても、大きなメリットをもたらすM&A。個人店1店舗からでも可能なため、事業拡大や後継者を見つける手段の一つとして検討してみるのもいいだろう。

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