半数近くの飲食店でアルバイトが減少。コロナ禍における雇用と採用状況を調査
2020年9月3日

そこで「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者や運営者を対象に、コロナ禍における飲食店の雇用と採用状況についてアンケート調査を実施。今回はその結果をお届けする。
■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:535名
調査期間:2020年8月19日~8月20日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:「新型コロナウイルスによる飲食店の緊急事態宣言前後の雇用と採用状況」に関するアンケート調査
■回答者について
回答者のうち66.4%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は59.6%(首都圏の飲食店の割合は74.0%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。
64.1%が営業時間を短縮。テイクアウトやデリバリーが定着している店舗も
まずは、現在の営業状態について聞いた。「営業時間を短縮、または調節して営業」が最も多く64.1%。次いで「通常通りの営業時間で営業」(29.2%)、「テイクアウト・デリバリー販売を継続中」(26.5%)と続いた。約6割の店舗が営業時間を短縮していたことに関しては、東京都をはじめ、大阪府や愛知県などの一部地域に出された短縮営業の再要請が大きく影響していると考えられる。
通常通りの営業時間で営業している店舗は、短縮営業の再要請前(7月20日~ 7月21日)の調査データ(52.6%)と比較すると約2割減少。また、テイクアウトやデリバリーは、再要請前(26.3%)とほぼ同率となっており、一定数の店舗では新たな販売チャネルとして定着しつつあることがわかった。

アルバイトが辞めた店舗は約半数。7割の店舗が新規採用を行っていない
4月の緊急事態宣言以降、既存の従業員(正社員・アルバイト)の雇用状況に変化があったかを聞いたところ、「正社員もアルバイトも変わらない」が最多で48.6%だった。しかし、「正社員は変わらないが、アルバイトが減った(26.5%)」、「正社員もアルバイトも減った(22.2%)」との回答から、半数近くの店舗でアルバイトスタッフが辞めている現状も明らかになった。

新規の採用状況について尋ねると、「正社員もアルバイトも採用していない(72.1%)」が7割を超えた。こうした結果から、今は既存の従業員の雇用を守るだけで精一杯という状況がうかがえる。

営業時間やシフトの調整、セルフサービスの導入などで人件費を削減
コロナ渦の中で飲食店が生き残っていくには、比較的少ない収益からいかに利益を出すかが鍵になるゆえ、適切なコスト削減を行う必要がある。そこで、雇用や採用の質問に絡めて、人件費を抑えるために取り組んでいる工夫について自由回答で聞いた。
・営業時間短縮、セルフオーダーシステムの導入を行った(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・キャッシュレスの導入、販売メニューの絞り込み、客席数を減少させた(東京都/イタリア料理/3〜5店舗)
・シフト調整、調理工程の見直し、作り置きメニューを増やした (埼玉県/イタリア料理/2店舗)
・正社員の休みを増やし、雇用調整助成金を毎月申請している(東京都/イタリア料理/1店舗)
・アルバイトを積極採用して正社員比率を下げ、人件費単価を下げる方向性(東京都/その他/11〜30店舗)
営業時間やシフトの調整をはじめ、調理工程の見直し、セルフサービス導入によるオペレーションの省人化などによって、最低限の人件費に抑えているという。
売上減少で雇用の維持や新規採用が難しい現状。従業員の意欲低下、心身ケアも課題
最後に、現状の人材や雇用に関する悩みを自由回答で聞いた。
・売上が減っているので給料を出すのが難しい。現時点は補助金でなんとかしているが来年どうなっているか分からない(東京都/フランス料理/1店舗)
・先を見て社員を採用したいが、状況が不透明なため躊躇している(滋賀県/和食/2店舗)
・都合のいい時に働いてくれる人が欲しいが、継続的に雇えるほどの資金力は無い(東京都/バー/1店舗)
・売上ダウンに伴い、従業員のモチベーションの維持が困難になった(神奈川県/ラーメン/2店舗)
・苦労して感染予防対策は施しているが、従業員の健康を守るのが難しい (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
雇用を維持することの難しさや、売上ダウンによる従業員のモチベーションの低下、健康への責任などに頭を抱えているようだ。
コロナ渦で売上が伸び悩むなか、無駄なコストを省いていかに従業員の雇用を守るかは、ひとつの大きな課題といえるだろう。今回のアンケートでは、多くの店舗が雇用や人材について悩みを抱えながらも、さまざまな工夫を凝らしてこの苦境を乗り切ろうとしていることがわかった。
飲食店経営者が集う「飲食店リサーチ」
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