飲食店のリアルな「食のトレンド」を調査。 57.1%の店舗がインスタグラムから情報収集

2023年5月25日

画像素材:PIXTA
例年、さまざまな食のトレンドが話題となっている。今年も「代替食材」や「韓国グルメ」などが注目されているが、実際に飲食店ではどのようなグルメが注目され、どのように活用されているのだろうか。そこで今回は、飲食店経営者や運営者に対し、「食のトレンド」にまつわるアンケート調査を実施。飲食店のリアルなトレンド事情や、その活用状況についてお伝えしていく。

<本調査について>

■調査概要

調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:399名
調査期間:2023年4月4日~2023年4月11日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち69.2%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.1%(首都圏の飲食店の割合は67.7%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>

82.2%の飲食店が、食のトレンドが「気になる」と回答


まず、飲食店関係者として「食のトレンド(食文化やジャンル、特定の食材や料理、嗜好品などに関する流行)」に関心があるか質問したところ、最も多かったのは「やや気になる」との回答で43.1%。続く「とても気になる(39.1%)」と合わせると、82.2%が「気になる」と回答しており、トレンドを意識している飲食店が多いことがわかった。


次に、食のトレンドをメニューに取り入れた経験があるか尋ねたところ、「積極的に取り入れている」が11.0%、「過去に取り入れたことがある」が25.3%と、「取り入れた経験がある」との回答は、36.3%にとどまった。一方、63.6%は「取り入れた経験がない」(現状ではないが、今後は取り入れる可能性もある=45.6%、現状ではなく、今後も取り入れる予定はない=18.0%)と回答し、トレンドをメニューに取り入れた経験がない店舗が多数派を占める結果となった。


続いて、食のトレンドを「取り入れた経験がある」と回答した方に、どのようなトレンドを取り入れたか尋ねたところ、「レモンサワー」、「SNS映え」、「タピオカ」などさまざまな回答が得られた。

そこで、回答したトレンドを具体的にどのようにメニューに活かしたか質問したところ、各店さまざまな工夫をしている様子が明らかとなった。以下にいくつか抜粋するので、参考にしてほしい。

レモンサワー
  • レモンサワーのバリエーションを増やした(東京都/イタリア料理/1店舗)
  • 他店舗との差別化、ブランド化(東京都/バー/1店舗)

SNS映え
  • SNS映えするように色鮮やかカクテルの制作(東京都/バー/3~5店舗)
  • 盛り付けの彩り、ボリューム感が分かりやすいように盛り付けた(愛知県/その他/3~5店舗

タピオカ
  • 当店の主な顧客は40~60代女性だったのに対して、タピオカドリンクのテイクアウトを通じて若い世代の集客につなげたかった(東京都/カフェ/2店舗)
  • デザートメニューとして(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

食のトレンドを取り入れ、新規客やリピーターを増やした店舗も


トレンドを活かしたメニューの販売促進方法について質問したところ、最も多かったのは「Instagramを通じて」との回答で65.5%。近年は、SNSを使って販売促進をする飲食店も多いことから、トレンドを活かしたメニューの販売促進とSNSの活用は親和性が高いようだ。


続いて、実際にトレンドを活用したメニューを出したときの反響や効果について尋ねたところ、最多は「評判は良かったが、売上や集客にはさほどつながらなかった」との回答で36.6%。次いで、「充分な数の注文があった(28.3%)」、「トレンドメニュー目当ての新規客が増えた(17.2%)」との回答が続く。思ったようには効果が得られない店舗もいるが、全体を見ると、売上や集客に好影響があった店舗が半数を超えるなど、良い影響を受けている店舗も多い。


また、これまで食のトレンドをメニューに取り入れたことがないと回答した方に、その理由を答えてもらった。すると、6割近くが「自店のコンセプトや雰囲気、メニューに合わないから(59.4%)」と回答。「自店のお客様が好まなさそうだから(23.6%)」との回答も上位に入っており、店のコンセプトや雰囲気を大切にしている様子がうかがえる。


さらに、食のトレンドの情報を何から得ているか尋ねたところ、最も多かったのが「Instagram」との回答で57.1%。次いで、「インターネット(50.6%)」、「テレビ、ラジオ(36.6%)」との回答が続く。全体では、約7割の人が何らかのSNSから情報を得ており、食のトレンドの情報収集にSNSが重要な役割を果たしていることがわかる。


今年は「健康志向」の高まりを意識したメニューに注目か


最後に、今年世間的に話題になりそう、もしくは個人的に注目している食材や料理、食文化などを答えてもらったところ、「健康志向」や「アジア各国の料理」、「代替食材」に注目しているとの回答が目立った。このほかにも、さまざまな食材や料理などの回答が寄せられたため、いくつかを抜粋して紹介していく。

健康を意識した食材や料理
  • 体型を気にしている人が増えているので、鶏胸肉を使った料理に注目している(愛知県/和食/1店舗)
  • 野菜をメインにした料理が、ヘルシー指向の女性だけではなく、男性にも受ける(愛知県/カフェ/1店舗)
  • やはり、高年齢化社会が益々加速しますので、健康志向ですかね(東京都/その他/1店舗)

韓国や中国など、アジア各国の料理
  • 中国雲南やインド産スペシャルティコーヒー(千葉県/カフェ/1店舗)
  • 台湾、韓国系は安定してくるので次のトレンドを把握したい(福井県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

米粉や大豆ミートなどの代替食材
  • 最近、グルテンフリーを気にするお客さんが増えているので、小麦粉の代わりに米粉を使った商品の開発を進めています(東京都/カフェ/2店舗)
  • 大豆ミートを取り入れたくて業者の展示会に行ったが、どこも提供していなかった。大豆ミートは今後取り入れたい(愛知県/洋食/3~5店舗)
  • 卵の代替品(埼玉県/洋食/1店舗)

その他
  • ダイエットとは無縁の高カロリーメニュー(埼玉県/バー/1店舗)
  • たまごの高騰により、外食で食べるたまご料理に対して需要と新しい創作性に注目が集まると思う(神奈川県/カフェ/1店舗)
  • 海外の方々が増えて来ていますので、和の日本ならではの料理等(東京都/バー/1店舗)
  • 若年層を中心にお酒を飲まない方が増加傾向に感じる。ノンアルコールドリンクの充実に関心があります(東京都/中華/1店舗)

食のトレンドは移り変わりが早く、思いもよらないグルメが一大ブームとなることもある。今回のアンケートでも、各店がさまざまなグルメに注目している様子が明らかとなった。食のトレンドを意識している飲食店は、常にアンテナをはり、最新の情報をチェックするようにしたい。

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