飲食店のSNS活用状況を調査。インスタ活用は約8割、「投稿内容」や「フォロワー獲得」に難しさ

2024年6月19日

画像素材:PIXTA
企業や団体がSNSを活用した販促・マーケティングを行うことは、今や当たり前のビジネス戦略。飲食店も例外ではなく、個人店からチェーン店まで様々な店舗が集客や認知拡大などを目的にSNSを活用している。

そこで今回は、飲食店におけるSNSの活用状況を調査するため、飲食店経営者や運営者に対しアンケートを実施。主にどのような目的で使われているのか、どのように運用されているのかなど、リアルな現状を見ていく。

<本調査について>


■調査概要

調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:393
調査期間:2024年5月15日~2024年5月20日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち72%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は49.9%(首都圏の飲食店の割合は67.3%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>


飲食店の9割が何らかのSNSを開設。98.6%が外注せず「自店で運用」


まずはじめに、現時点で定期的に運用している自店アカウントのSNSをすべて選んでもらったところ、最多は「Instagram」で79.1%だった。次いで「Facebook(47.1%)」「X(旧Twitter)(26.2%)」「LINE公式アカウント(18.1%)」と続く。


次に、開設しているSNSアカウントの運用体制について尋ねた。最も多かったのは「自身で運用している(71.2%)」との回答。「外部の委託業者に運用を任せている」としたのは全体の1.1%という結果になり、98.6%の飲食店が自店で運用していることがわかった。


次いでSNSアカウントの運用やコンサルティングなどの外部委託に関して、現状と今後の見通しを聞いた。その結果、74%が「現在外部委託はしておらず、今後も委託を検討していない」と回答し最多に。一方で16.5%は「現在外部委託はしていないが、いずれは委託を検討したい」と回答した。


投稿の多くは「店舗の基本情報」「新メニュー告知」。ネタ切れに悩む飲食店も


続いて、自店のSNSアカウントでどのような内容を投稿しているか尋ねた。すると「営業日・時間の告知」が最多となり79.6%。次に「仕入れ食材や新メニューの告知(72.9%)」「キャンペーンの告知(54.2%)」との回答が続いた。飲食店が運用するSNSでは、現在の基本的な店舗情報を投稿するケースが多いとわかる。


また、SNSアカウントを運用する上で難しいと感じることをすべて選んでもらったところ、最も多かったのは「投稿の内容やネタを考えること」で42.5%。次いで「フォロワー・再生(閲覧)数の獲得(41.7%)」「投稿の継続(34.4%)」「投稿のための作業時間の確保(31.6%)」と続いた。


48.3%が集客・認知拡大でInstagramの効果を実感。半数以上が「さらに注力したい」

その上で、目的別に最も効果を得られたと感じるSNSを選んでもらった。集客・認知拡大・販促面に関しては「Instagram」が最も多く、48.3%との結果に。求人・採用面においては77.4%が「SNSで当てはまるものはない」と回答したものの、12%は「Instagram」を挙げた。


また、今後SNS活用をさらに注力していきたいか尋ねると、集客・認知拡大・販促面においては52.5%が、求人・採用面に関しては28.2%が「さらに注力したいと考えている」と回答した。特に集客・認知拡大・販促面に関しては、SNSの効果に何らかの手応えを感じている飲食店が多い。


上位の回答の理由については、以下のようなコメントが寄せられた。

<集客・認知拡大・販促面において「さらに注力したいと考えている」理由>


一定の効果を感じているため
  • SNSで売上が上がる実感したから(神奈川県/カフェ/1店舗)
  • インスタからのPR効果は高く、予約もコンスタントに入る(東京都/和食/1店舗)
  • (Instagramの)ストーリーが効果がある(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

販促費にコストをかけたくない、かつ費用対効果が高い
  • 費用がかからず、効果的な販促だと思うから(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/101店舗以上)
  • 費用対効果が他の広告より抜群に良い!お客様と信頼関係が構築できる(長野県/中華/1店舗)
  • 無料媒体なので、使えるだけ使わないと損(大阪府/カフェ/2店舗)

時代の流れとして取り組む必要がある
  • 集客はその時代時代のやり方があり、今はSNSだと思うから(大阪府/イタリア料理/1店舗)
  • 若い世代はSNSを介して予約を行うようになっている。予算を掛けてでも注力していきたい(東京都/フランス料理/1店舗)
  • 今はSNSを活用している方々が多く、きちんとしたアプローチができれば集客や認知度アップも期待でき、さらなる発展が見込まれるためです(東京都/バー/1店舗)

現時点のフォロワー(お客)を大切にしたい
  • 一定のフォロワー数を持っているから(京都府/お弁当・惣菜・デリ/6~10店舗)
  • 一定数今運営しているSNSを日常的にみている人がいるので、そこに向けての発信をしていきたいです(東京都/バー/3~5店舗)

その他
  • 効果測定はしづらいが、フォロワー数と言う目に見える数値をオーナーサイドに報告しやすい為(東京都/その他/51~100店舗)

<求人・採用面において「そこまで(注力したいとは)考えていない(現状維持)」とした理由>


他の求人サービスを既に利用しており、そちらで効果を感じているため
  • 求人はSNSよりも求人サイトや店内告知の方が反応が良い(大阪府/イタリア料理/1店舗)
  • 採用面では既存の求人サービスの担当者様が定期的に連絡してくれており、求人面では今後もそちらを継続していきたいと考えています(愛知県/カフェ/1店舗)
  • 求人は今のところ求人媒体を利用しております(東京都/フランス料理/1店舗)

求人自体していない or SNSを使って求人を出したいと思わない
  • もし応募があれば有難い程度の認識です(期待していない)(埼玉県/その他/3~5店舗)
  • 集客には力を入れたい。求人は他で考えている(東京都/ラーメン/2店舗)
  • 集客はまだまだ増やしたい。求人は今のところ困っていない(宮城県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

投稿の参考にするのは「他店のアカウント」が57.8%


続いて、自店のSNSアカウント運用を行う上で参考にしているものがあるか聞いたところ、最多は「他店のアカウント」との回答で57.8%だった。また32.1%が「特に参考にしているものはない」と回答したものの、26.3%が「SNS運用に関する何らかの情報(SNS・Web記事・書籍など)」と回答しており、戦略的な運用を目指す飲食店も少なくないことがわかる。


最後に、日頃どのようなSNSを閲覧しているか尋ねた。最も多かったのは79.9%の「Instagram」。続いて「Facebook(46.1%)」「X(旧Twitter)(44.8%)」「YouTube(41%)」となった。YouTubeは投稿する人の割合は少なかったものの、閲覧利用の割合は4割以上という結果になった。


SNSを開設することは比較的容易でも、飲食店を運営しながらアカウントを継続・効果を出していくのはなかなか大変な作業だ。費用対効果を評価する声は多いが、投稿に時間や人的リソースをかけすぎてしまっては元も子もない。無理のない範囲で、長く続けていける仕組みづくりが求められる。

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