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支配型リーダーシップとは?
支配型リーダーシップとは、リーダーが主体となり目標を達成するスタイルのマネジメントをいいます。リーダー自身の知識やスキルを活かして、部下に指示や命令を出しメンバーを動かすやり方で、日本で従来から馴染みのあるものです。多くの従業員を一括でマネジメントする際には適したスタイルともいえ、大量生産大量消費が主だった高度経済成長期では支配型リーダーシップは向いていたでしょう。また、スキルや経験の浅い新人が多い環境にも適しているといえます。
一方で、リーダーのワンマンになり現場にまとまりが出ない、職場の雰囲気が重くなりがち、リーダーの指示や命令ありきで動くいわゆる「指示待ち状態」になり従業員の自主性が育ちにくいといったデメリットがあります。
サーバントリーダーシップとは?
一方、サーバントリーダーシップは、仕える、奉仕するという意味である「serve(サーブ)」という英語の通り、「まず相手に奉仕し、その後に相手を導く」というリーダーシップスタイルです。これは、1970年にアメリカのロバート・グリーンリーフ博士が提唱した哲学です。一言で表すと「支援型のリーダーシップ」といえます。支配型のリーダーシップが主に義務感で行動し、リーダーに従うといったスタイルなのに対し、サーバントリーダーシップは、メンバーは主に自身のやりたい気持ちで行動し、リーダーと一緒に活動するイメージです。
サーバントリーダーシップは日本でも近年注目されており、その背景としては、価値観の変化によりリーダーに倫理的な信頼感が求められていることや、IT化やグローバル化といったビジネス環境の急激な変化があります。より柔軟に、そして迅速に対応することが求められている現代において、リーダーのみが判断を下し指示や命令をするやり方では、対応しきれない場合が多くなってきたのです。
そこで、リーダーがメンバー個人の特性と資質を理解し、一人ひとりが能力を発揮できる環境をつくり、個人が自ら成果を出せるスタイルが求められるようになりつつあります。
「NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会」によると、サーバントリーダーの特性として、「傾聴、共感、癒し、気づき、説得、概念化、先見力、予見力、執事役、人々の成長に関わる、コミュニティづくり」という10のキーワードを掲げています。
これらのキーワードによれば、サーバントリーダーは、メンバーの話に耳を傾け、共感したり励ましたり、時に説得を試みます。また、現場をよく観察し未来を予見すること、目標を可視化すること、メンバーのことを考え、メンバーの成長を喜びとし、メンバー同士が協力しあえる職場環境をつくることが求められています。
サーバントリーダーシップの注意点
ただし、気をつけなければいけないのは、サーバントリーダーシップはあくまでも利益を生み出すためのものだということ。単に優しくてものわかりの良いリーダーになることではありません。例えば、メンバーがミスをしたり目標が達成できなかったりしたときには、「なぜそうなったか」「次に成功するにはどうしたら良いか」を、メンバー自身が気づいて新たに行動できるところまで意見交換したりアドバイスをしたりすることが大切。細部まで指導しないと、生産性が下がる、従業員の緊張感がなくなるなどの懸念があります。
また、どんな環境にも適しているわけではなく、経験が浅くスキルが身についてないメンバーが多い環境や、短期間で結果を出さなければいけないプロジェクトにはあまり向いていません。そのような場合は、どちらかといえば支配型リーダーシップのほうが適しているでしょう。
飲食店運営でも取り入れたいサーバントリーダーシップ
飲食店の運営は短期で行うものではありません。また、メンバー同士のチームワークや風通しの良さは重要な要素となっており、顧客への対応では従業員それぞれの自主性や柔軟性が求められる職場でもあるため、比較的サーバントリーダーシップが向いている業種といえます。サーバントリーダーシップという言葉は知らずとも、一部を取り入れている店も少なくないはず。そういった店では前述した10のキーワードを参考に、さらにサーバントリーダーシップのスキルを磨いてみましょう。
支配型リーダーシップでやってきた店舗は、これを機会に取り入れてみてはいかがでしょうか。生産性アップだけでなく、スタッフの成長やモチベーションアップにもつながるでしょう。
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