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入社手続きにマイナンバーが必要な理由とは
マイナンバーとは、日本に住民票を持つ個人に与えられる12ケタの番号のこと。この番号を使って社会保障・税などに関する個人情報を一元管理しようとするのがマイナンバー制度です。マイナンバーを使った手続きには、マイナンバーカードを利用するのが一般的です。マイナンバーカードは、マイナンバー、顔写真、氏名、生年月日などが記載されているカードで、自ら国に発行申請を行うことで交付されます。2023年6月時点では、日本に住民票を持つ人の約77%が交付を受けています。
参照: マイナンバーカードの申請状況|総務省
もともと、社会保障・税にかかわる手続きには、住民票コードや基礎年金番号、健康保険被保険者番号といったそれぞれ異なる番号や書類が使われていました。採用者の入社の際に非常に煩雑な手続きが発生していたのはこのためです。しかし、マイナンバー制度の登場により、それらの情報をマイナンバーによって管理・照合できるようになったため、各種手続きがグッとシンプルになりました。
マイナンバー法は、社会保障・税に関する手続き書類へのマイナンバーの記載を「事業主の義務」と定めています。そのため、社会保障・税に関する手続き書類を作成する際、企業側は採用者にマイナンバーを提出するよう求める必要があるのです。
マイナンバーを提出してくれない人への対処法
マイナンバー制度は公的手続きの負担を減らすためのものですが、「マイナンバーによって個人情報が管理されていると、知られたくない情報が流出したり、第三者に悪用されたりするのでは?」と不安や不信感を抱く人もいます。こうした理由からカードを取得せずにいる人もいるようです。マイナンバーを手続きに使う際は利用目的を事前に通知する義務があるうえ、法律に定められた目的以外に使うことはできません。もちろん、第三者がマイナンバーだけで個人情報を引き出すこともできません。
また、マイナンバーが適切に管理されているかをチェックする第三者機関が設立されており、万が一不当に利用された場合の量刑は重く設定されているため、不当に利用される可能性はほぼないと言っていいでしょう。マイナンバーの提出に抵抗を持つ採用者には、利用目的をきちんと伝えたうえで、こうした事実についても説明し理解してもらいましょう。
もちろん、それでも提出を拒否する採用者はいるでしょう。従業員側は法律上「マイナンバー提出の義務」を負っているわけではないため、たとえ提出を拒んでも、企業が処罰を行うことはできません。
ただし、企業側はマイナンバーを収集する義務を負っています。提出してもらえないからといって一度で諦めてしまうのではなく、事情を説明したうえで再度提出を求めましょう。
何度催促をしても提出してもらえない場合は、提出を求めた経過を記録に残しておきましょう。記録があれば、企業側が単に義務を怠ったわけではないことを国に証明できます。
そもそもマイナンバーカードを取得していないケースでも、企業がどのようにマイナンバーを活用しているかは伝えておくべきでしょう。
マイナンバーはアルバイトや外国人の採用にも必要?
採用するのが正社員ではなくパート・アルバイトの場合も、マイナンバーを提出してもらわなければなりません。たとえ週の労働時間が2~3日程度であっても、企業はマイナンバーを収集する義務を負います。また、マイナンバーは日本に住民票があることが交付条件のため、日本に住民票を持つ外国人にも交付されています。日本で就労を希望する外国人は中長期在留者の認定を受けており、住民票を持っているため、マイナンバーを所有しているはずです。
もしもマイナンバーの提出を拒むような場合は、中長期在留者認定を受けていなかったり、別人になりすまして就労を希望したりしている可能性があります。トラブルを防ぐためにも、外国人の採用時には必ずマイナンバーの提出を求めましょう。
マイナンバーの提出を拒む採用者には、気持ちに寄り添ったうえで、制度の趣旨や目的を理解し納得してもらうことが大切です。明確な説明をできるよう、まずは採用担当者自身が制度についての理解を深めておきましょう。
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