飲食店の約半数が「健康的なメニュー」を提供。健康志向の高まりに飲食店も対応

7月6日

Photo by iStock.com/Yagi-Studio
近年、世の中の健康志向の高まりから、外食業界でも健康メニューに注目が集まっている。ダイエット中の方や療養中の方だけでなく、人生100年時代到来といわれる現代を生き抜くうえで、さまざまな人に健康食が求められるようになってきた。今回の「飲食店リサーチ」では、「健康を意識したメニュー提供」に関するアンケート調査を実施。飲食店が健康にどれくらい注視しているのか意見を聞いた。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:247名
調査期間:2018年5月1日~2018年5月9日
調査方法:インターネット調査
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■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち68.4%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は56.7%(首都圏の飲食店の割合は71.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

安全性を重視する飲食店は9割以上。ほぼ全店が衛生面に気遣う結果に


食品を扱う飲食業界において、安心できる食を提供することは大変重要だ。食の安全性にどの程度配慮しているかを聞いたところ、「とても配慮している」または「やや配慮している」と回答した飲食店の割合は、92.3%と9割以上にのぼった。近年では飲食店にてHACCPを義務化する流れがあるなど、食の安全や衛生面に関することに一層気遣う飲食店も少なくない。食中毒などのトラブルも見逃せないため、このような結果は当然といえるだろう。

一方で注目したいのが、カロリー・栄養素についてだ。安全性同様、どの程度配慮しているかという質問に対し、「カロリー」に関しては「とても配慮している」「やや配慮している」と回答した店舗が合計で26.8%、「栄養素」に関しては同じく42.5%というデータが得られた。安全性に比べるとぐっと減少したが、カロリーはたとえば、提供している料理ジャンルにも影響を受ける。ラーメンやカレー、焼き肉など、高カロリーメニューをあえて提供している店では、カロリーへの配慮は比較的少ないだろう。それに比べて栄養素への注目が約4割あるのは、高カロリーを提供している店でも、サラダなどの栄養を考えたメニューを提供していたり、ラーメン店などでは野菜たっぷりのラーメンを提供していたりといった傾向があるからだろう。


健康を売りにする飲食店が約半数。世の中の流れを受けた結果か


安全性や栄養素に注目している飲食店が多いが、実際に健康を売りにしたメニューを提供しているかどうかを聞いたところ、「提供している」(42.5%)、「提供していない」(57.5%)と、約半数に分かれた。


また、「提供している」と回答した飲食店に対し、健康を売りにしたメニューは集客に役立っていると感じるかどうかを聞くと、「感じる」(75.2%)、「感じない」(24.8%)という結果になり、7割以上が営業に役立っているという結果となった。このことからもやはり、世の中の健康志向の高まりがうかがえる。


さらに健康を売りにしたメニューを「提供している」と回答した飲食店にメニューや効果について自由記述形式で聞いてみると、さまざまな意見が寄せられた。多く上げられたのが、以下のような女性客に対する意見だ。

「野菜たっぷりで、油を使わない和食を提供しています。特に大きく謳ってはいませんが、『外食で残さず食べられたなんて久しぶり』とか『体が元気になれる気がする』などの声をいただきます。高齢のお客様や女性のお客様から特に喜んでいただいています」(東京都/和食)

「すべての料理において、化学調味料不使用、サラダオイル不使用、エクストラバージンオリーブオイル使用、保存料等の添加物不使用の醤油を使用。とくに女性が喜びます」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

ちなみに近年は女性だけでなく、年齢や性別を問わずさまざまな人が健康食について興味を抱いている。飲食店からも以下のような意見が見られた。

「アルコールを分解しやすくなるタウリンを多く含んだ魚介類や、低糖質・高タンパクな肉類、食物繊維の豊富なキノコ海藻類といったおつまみメニュー。クエン酸やアミノ酸を使った疲労回復のカクテル等も用意している。低糖質でのダイエッターや、ボディメイクしているビジネスマンなどに受けがとても良い 」(東京都/その他)

当初は女性をターゲットにして健康食メニューを展開しても、結果として幅広い層に好まれるということがある。たとえば野菜たっぷりのカレーを提案している『6curry』は、男性からも好評を得ている。

健康食を「必要」と考える店舗が7割。一方で取り入れるのが難しい店も


飲食店で健康食への対応が必要と思うかどうかを聞いたところ、「思う」(70.4%)、「思わない」(29.6%)となり、多数の飲食店が健康食を扱うべきと回答。消費者の健康志向への高まりに応えるべきと考えている飲食店が多いことが明らかになった。また、必要とする理由をさらに詳しく聞くと、以下のような回答が得られた。


「飲食店は儲け重視になると、いかに材料費を安くするかという視点になりがちだが、お客様を重視して考えれば有機食材などの質の高い食材を採用することも必要だと思う」(東京都/カフェ)

「消費者の健康への関心が高まっている以上、健康的なメニューであるかどうかが、美味しさや美しさと同様に店選びの重要な要素になっているということは無視できない」(東京都/和食)

「野菜を中心とした健康食を取り入れることで、お酒を飲まないお客様も食事利用が見込めると思う。最近はたばこを吸わない人も多く、お酒もほとんど飲まない人も見受けられるので、新規の客層を狙うなら健康的でバランスの良い食事利用の機会を増やすことも必要だと思います」(東京都/和食)

幅広い客層に利用してもらうための一歩として、健康食を考えている飲食店が多いようだ。一方で、健康食への対応が必要だと思わない飲食店は約3割。なぜ必要だと思わないのかを理由で聞いてみると、以下のような回答が得られた。

「体に良い材料は使うべきだが、低カロリーなどを気にするのであれば、家で食べれば良いと思う。店舗は家庭ではなく、美味しい料理を提供する場所だと思うから」(東京都/専門料理)

「レストランは自宅では食べることのできない食材や料理を楽しむ空間なので、カロリー計算などを気にする必要はないと思う。食の安全性の観点で考えれば、生産者が見える野菜や無農薬の野菜、国産の食材などにはこだわるべきだと思う」(愛知県/鉄板焼き・お好み焼き)

「食事における健康への配慮は、日々家庭で行ってこそのものだと思います。毎日ご利用いただける食堂やお弁当屋さんでは、重要なことかもしれません。非日常を感じていただきたいレストランにとっては、たまの一食を健康にこだわる意味を感じません」(埼玉県/専門料理)

「健康を意識する店、しない店とそれぞれあるべきで、どこもかしこも意識する、では面白くない」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

カロリーや細かい栄養バランスに関しては、提供しているメニューや店のコンセプトによっては必要としない店もある。しかし、「健康メニューへの対応が必要だと思わない」と回答した飲食店の中でも、食材に対しては体に良いものを使用するべき、という趣旨の意見は多く、個人店を中心とした飲食店の「食の安全性」への責任や意識の高さが垣間見える。

今回のアンケート調査では、世間の健康志向の高まりを意識し、それに対応する飲食店がある一方で、業態の特性などを理由にこれまで通りのメニュー構成を大切にする飲食店があることがわかった。いずれにしても、消費者の健康に対する関心は今後も高まっていくことが予想される。時代の波をとらえるべきか、それとも従来通りのメニューを大切にしていくべきか、飲食店にとっては悩ましい問題になることは間違いない。

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