飲食店の人手不足問題、外国人労働者は救世主となるか? 複数のアンケートを分析

7月11日

画像素材:PIXTA
慢性的な人手不足が問題になる中、今年4月1日に改正入管法が施行され、飲食業界の人手不足の潮目が変わるのではないかと期待されている。そこで今回は、「外国人採用」にまつわる複数のアンケート結果から、外国人雇用の現状や課題を探る。

飲食業界は、他業界に比べて外国人採用に積極的


日本総研「人手不足と外国人採用に関するアンケート調査」によると、現在8割弱の企業は「人手不足」の状況にあるようだ。とりわけ飲食業界の人手不足は深刻で、他の業種に比べて「人手不足」と回答した割合が高い。

企業全体では人手不足の対策として、「外国人を採用する」ことが女性やシニアを採用する選択肢とほぼ同じ程度に考えられている。しかし飲食業界では、外国人採用によって人手不足に対応しようという姿勢が他業種よりも強い傾向にあり、女性やシニアの採用よりも約2倍重要視していることがわかった。

飲食業界が中でも積極的に採用しようとしているのは留学生だ。実際に採用は進んでおり、留学生を「すでに採用・現状維持」していると「すでに採用、一層積極化したい」という回答を合わせると約5割になった。

外国人労働者の国籍は、これまでは中国が中心であったが、近年はアジア諸国に広がっており、ベトナム、フィリピン、ネパールなどが多くなっている。一口に外国人労働者といっても、国籍は多様化しているようだ。

外国人労働者受け入れ、約8割がメリット有と回答、一方で7割が難しさを実感


では次に「求人@飲食店.COM」と「飲食店リサーチ」のアンケート結果から具体的な数字を見ていこう。まず「外国人スタッフと働いたことはあるか」を尋ねたところ、87%が「ある」と回答した。さらに「ある」と回答した人の78%は、「外国人スタッフと働いてよかった」と回答した。


よかった理由としては、「異文化の知識向上(49%)」、「外国語を学ぶきっかけ(37%)」「異国で努力する姿に成長意欲が向上(28%)」「日本人にはない新しいアイデア(28%)」が上位に挙がった。

一方で「外国人スタッフとの勤務で困ったことがあるか」と尋ねたところ、73%は「困ったことがある」と回答した。「困ったこと」の具体的な内容を尋ねると、「日本語でのコミュニケーション(44%)」と「勤務態度やモチベーション(42%)」が上位を占めた。


外国人スタッフと働いて「よかった」と感じた人と「難しい」と感じた人が同程度いるという興味深い結果になった。しかし、それぞれの理由を見ていくと、日本人スタッフにとって刺激になるという点でメリットを感じ、店舗運営においてはデメリットを感じる傾向があることがわかる。

外国人労働者、特に来日間もない「留学生」を採用するとなれば、日本人スタッフとの間には少なからず言葉、文化や慣習の問題は発生するだろう。問題や課題が浮上したときには、「指導」だけでなく「理解」や「育成」の視点も持つことが必要だろう。

外国人労働者にも“人柄”を求める


「外国人スタッフを採用する理由」として最も多く挙がったのは、そもそも「外国人と日本人とを区別していない(48.1%)」という回答。次いで「日本人のスタッフが採用しづらいから(44.2%)」という回答だった。求人の働きかけや企業・店舗努力をしても、人材を確保することは難しくなっていることが改めて浮き彫りになった。

さらに、外国人スタッフを採用する時にはチェックしていることを聞いてみると、上位は「日本語の会話(92.2%)」、「人柄・キャラクター(67.5%)」となった。

外国人スタッフの採用時にチェックするポイントは?

言葉や文化、慣習の問題をクリアにするには、コミュニケーションを深く取ることが基本であり、日本語力は欠かせない。ただ、言葉が通じても、気持ちが通じ合わなければ根本的な解決をすることはできない。日本人スタッフと同様に外国人スタッフに人柄を求めるのは自然なことだろう。

ちなみに、「外国人スタッフを採用したことがない理由」には、「日本語でのコミュニケーションが不安」をおさえて、「外国人採用における条件や手続きが分からない(43.2%)」が挙がった。

外国人スタッフと働いて感じた、具体的なメリット・デメリットは?


最後に、自由回答に挙がった外国人スタッフと働いたときのメリット・デメリットをご紹介する。

■メリット
・単純な作業も一生懸命に聞いて仕事をしてくれる
・留学を終えて帰国する際に、後任の留学生を探してきてくれ、バトンタッチによる採用ができる
・海外からのお客様に細かいサービスが提供できる
・日本人スタッフが海外のお客様への対応を学べる
・コミュニケーション能力が高いため、リピーターのお客様をつけやすい

■デメリット
・どんな状況でも定刻で帰る
・宗教の理由で賄いに制約がある
・一旦帰国すると長期離脱してしまう
・勤務中=プロという意識が日本人に比べて低い
・自己主張が強い

外国人労働者は飲食業界において、すでに貴重な存在になっている。他のスタッフと信頼関係を築き、戦力になってもらうには、手続き面のハードと指導・育成のソフト、両面からの受け入れ体制づくりが求められそうだ。

<調査結果引用元>
「飲食店の外国人スタッフの採用状況」に関するアンケート調査
飲食業界は外国人雇用が拡大中!? 8割が外国人スタッフとの勤務にメリットありと回答
日本総研「人手不足と外国人採用に関するアンケート調査」

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