2020年の年末はどうなる?「第3波」到来の商戦期、飲食店の対応を調査

2020年12月3日

画像素材:PIXTA
世界中が新型コロナウイルスに翻弄された2020年。その勢いは収まるどころか、いまだ猛威を振るい続けている。第3波の到来とともに、各地の飲食店にはまたも営業時間短縮の要請が出され、Go Toイートにおける食事券の発行も10都道府県で一時停止の状態に。例年であれば、飲食店が最も慌ただしくなる12月に入ったが、今年の年末はどのような動きになるのだろうか。

そこで「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者や運営者に対し、先の読めない2020年の年末対応についてアンケートを実施。今回はその結果をお届けする。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:402名
調査期間:2020年11月25日~2020年11月27日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:「2020年末の繁忙期対策」に関するアンケート

■回答者について
回答者のうち70.1%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は55.5%(首都圏の飲食店の割合は73.4%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

年末に向け48.8%の飲食店が「感染予防対策の強化」を検討するも、9割以上は厳しい現実を予想


はじめに、2020年10月の経営状況について、昨年同月と比較してもらった。その結果、「前年同月より30%減った(16.4%)」との回答が最も多く、次いで「50%以上減った(15.4%)」、「20%減った(15.2%)」と続く。

なお、9月の売上の昨年対比では「30%減った(22.9%)」、「50%以上減った(19.4%)」、「20%減った(14.5%)」となっており、各データの分布はおおよそそのまま推移しているものの、減少の割合自体は減ってきていることがわかる。


次に、10月よりスタートしたGo Toイートキャンペーンへの参加状況について聞いたところ、4割近くの飲食店が「『オンライン飲食店予約』と『プレミアム付食事券』の両方に参加(37.8%)」と回答。オンラインまたは食事券のいずれかのみ参加とした人も含めると、6割以上の飲食店がキャンペーンに参加していることが明確となった。

本アンケートを開始した11月25日は、東京都が酒類を提供する飲食店などに対し、3度目となる営業時間短縮要請を発表。さらに新型コロナによる国内の重症者数は、連日過去最高を更新していた。そうした中、12月の繁忙期に向けてどのような対策を行っているか聞くと、48.8%が「感染予防対策の強化」と回答。次いで「グルメサイトやSNSでの集客(28.4%)」、「特になし(24.6%)」と続いた。やはり、まずは感染拡大防止に努めたいという意識が顕著に見てとれる。


さらに、予定している年末商戦の催しや、集客面での工夫について尋ねたが、最も多かったのは「特に何も予定はない(33.3%)」との回答。しかしながら、32.1%は「2~4名用コースメニューの用意」と答えており、少人数の客をメインターゲットに見据えている現状も見えてきた。

その上で、年末に向けて客足の数は例年並みに回復するかという問いに対しては、9割以上の飲食店が「回復しないと思う」と回答。起爆剤となるはずだったGo Toイートキャンペーンをめぐって、各地でプレミアム付食事券の発行停止や人数制限などが実施されていることもあり、厳しい現実を予想する声が多かった。

今は特別なことをせず、安心安全の面でできる限りのことを粛々と行う飲食店が多数


通常の年末など、いわゆる「かき入れ時」に来店したお客は、その後のリピート顧客へと繋げていくことが重要だ。コロナ禍の年末において「かき入れ」という表現は適さないかもしれないが、集客が難しい今だからこそ、次に繋げていく努力がより必要となるだろう。

そこで、年始以降の再来店を促すために、どのような対策を検討しているか自由回答で聞いたところ、「クーポン券の配布」といったお得感を煽るものの他、「感染防止対策を徹底する」、「接客やサービスにおいて、基本的なことを丁寧に行う」など、まずは安心安全な日常を提供したいとの声が多く寄せられた。

<回答抜粋>

・セルフオーダーシステムの導入で安心感を提供していきたい(東京都/カフェ/1店舗)

・個別盛りや空気の入れ替えなどを行い、安全対策をアピール(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)

・普段通りよい接客を行い、美味しい料理を提供。真面目に営業していくのみ(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
日々来店くださるお客様に、自店で出来る最高のサービスを徹底して行う(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

・忙しくても丁寧な作業、接客、気配りなど普段通りの基本的な部分を疎かにせず、地道に信頼を得ていきたい(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

・コロナ禍での来店感謝キャンペーンとして、幹事様に翌年から使えるサービス券、幹事無料券などを配布する(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

・こまめなSNS発信や、定期的な限定商品の投入を行う(東京都/ラーメン/3~5店舗)

・期間限定メニューを提供する(千葉県/焼肉/1店舗)

また、「第3波」到来と言われている現在、感染防止対策においてこれまで以上に気を付ける点があるか聞いてみると、「寒い季節の換気問題」や「入店人数の制限」といった声が寄せられた一方、「お客様にも協力を呼びかける」、「今までやってきたことを徹底するのみ」といった意見も多く見られた。

<回答抜粋>
・寒い時期の換気対策として、予約のお客様には厚着での来店を促す(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

・夏と違い、入口のドアを全開にすると店内が寒くなってしまう。ドアを閉めても換気可能な設備を整えるため、助成金も含めて申請しています(東京都/ラーメン/1店舗)

・お客様には9名未満で来店いただくよう事前にお伝えし、全体の受け入れ人数の制限を行う(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・お客様に食後のマスク着用や、トイレ後のアルコール消毒の協力を促す(東京都/フランス料理/1店舗)

・大声など、マナーなき行動への注意徹底(静岡県/和食/1店舗)

・すでに十分な対策をとっており、これ以上はないと思っています(東京都/和食/1店舗)

・今まで通りの対策を徹底する(愛知県/フランス料理/1店舗)

最後に、今後再び飲食店へ向けた営業時間短縮要請が出された場合、要請に応じる意向があるかどうか尋ねた。すでに要請が出されている地域においては、現状の対応を答えてもらっている。その結果、約8割の飲食店が「要請に応じる(79.1%)」と回答。かつてないほど増加傾向にある感染者数などを鑑みた、やむを得ない決断だろう。


世界的な感染症の流行という未曽有の事態に見舞われた2020年。困難は来年以降もまだまだ続きそうだが、行政からの最新情報などを常に確認しつつ、この苦境の時世を乗り越えてほしい。

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