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物件は、中を見るだけにあらず (第42回)

【商店街へのカフェ出店】

今回は、私の住む場所から歩いて行ける2つの商店街で同時期にオープンした店を例に、将来を見極める力について考えたい。
多くの商店街は店舗数が減り、活気がなくなっている。
今回紹介する商店街も、10年ほど前まで商店街として十分機能していた。
一つは、渋谷区の住宅地にある商店街。もう一つは中野区の商店街だ。
どちらも、駅から5分ほど離れた場所にあり、駅というより住宅地に近い。
以前は、生鮮三品(肉・魚・野菜)の店があり、生活雑貨店や花屋、文房具店など、
生活に必要なものはすべてそろう状態で活気に溢れていた。
ところがだんだんとお客が減り、高齢だった経営者の店を中心に、
シャッターを下ろす店がポツポツと目立ってきた。数年前には、どちらもピークを過ぎた商店街となってしまった。
そんな2つの商店街に2つのカフェがオープンした。
どちらも経営者は30代と見受けられる。
渋谷区の方は、パスタがメイン。中野区の方は、食事の他、スイーツにも力を入れている。
どちらもコーヒー単価400円ほどで、10坪弱の店内にテーブル席とカウンター席が設けられていた。


【飲食店の増加が売上げUPに】

その後、2つの商店街が別の道を歩き始める。どちらも生き残りをかけて、様々な仕掛けを始めた。
年に数回行われるセールの規模を大きくするなど、何とか集客アップを図ろうとしたのだ。
そして、3年近い日が流れた今、2つの店はまったく違う結果を迎えている。
渋谷区の店は、商店街の多くの店が入れ替わり、飲食店の比率が上がった。
具体的には10年前の3倍以上の軒数になっていると思われる。
しかし、そうなったことで逆に「食事をしたい時は、あの商店街に行けば何とかなる」という感覚で、
ファミリーやカップルがたくさん歩くようになった。
生活に密着した商店街とは少し離れてしまったが、それでも最低限の生活用品は購入でき、
中央には食品スーパーがあるため、自宅で食事を作りたい主婦も、それほど不便に感じない。
生き残った八百屋は、増えた飲食店に野菜を卸すことで、むしろ繁盛しているように見える。
例のカフェは、若い人が気軽に行ける店として、一定層に支持が広がり、SNSのコミュニティー内でも、
意見交換が盛んに行われる人気の店となった。週末には、満席で待ちが出ることもあった。


【不運が重なり、望まぬ結果に】

一方、中野区のカフェは、悲しい結末を迎えようとしている。
商店会はいろいろな努力をしているが、多くは食料品店が救われるイベントばかり。
例えば、地方の生産者を呼んだ朝市などを開催するが、カフェには何のメリットもなかった。
さらに不運なことに、商店街の中のある商店が、閉店後、猫を放し飼いにしごみ屋敷と化し、
テレビで「ご近所トラブル」として放映されてしまった。
みな迷惑とは思っていたが、どうしようもないほどではなかった。
もちろんテレビで、商店街の名前までは言わなかったが、近所の人から見れば一目瞭然。
客足をさらに鈍らせるには十分だった。2つのカフェができた時、この結末は誰も予想できなかったかもしれない。
「前者の店は運がよく、後者の店は不運だった」と言ってしまえばそれまでだ。
しかし、2つの商店街を歩いていた人の年齢層や属性は、以前から違っていた。
だからこそ、商店会が実行した盛り上げ回復策は違ったし、前者にゴミ屋敷化する可能性のある店はなかったのだ。
外的要因で店がうまくいかなかった時、不可抗力だったと言ってしまえばそれまでだ。同情してくれる人はいるだろう。
でも、だからと言って現実的に手を差し伸べてくれるわけではない。
店を長く経営しようと思うのなら、その物件を取り巻く環境を広く観察し「将来性を見る感性」も必要だ。
物件の中だけを見ていてもしょうがない。外から物件を見つめ、周りにも目を向けることが大切なのだ。




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